急に暑くなった今週も、相変わらず軽くつまみました。
■ Count Basie Orchestra / Long Live The Chief ( DENON COCY-7101 )
結成50周年を記念して日本で制作された作品で、2人の日本人プロデューサーはこの企画を会社が認めなかったので、退社して別の会社に移ってこの作品を
作ったそうで、これは気合いの入り方が違います。
84年に亡くなったベイシーの代わりにフランク・フォスターがリーダーで、フレディ・グリーンを筆頭にベイシー健在時の主要メンバーらによるこの楽団
でしかきくことのできないドライヴ感溢れる黄金のサウンドが聴けます。 やっぱり、カウント・ベイシー・オーケストラはSP音源ではなく、LP録音のほうが
その魅力をより享受できるように思います。
この楽団の演奏は当たりハズレのようなものは基本的にはなく、どの時代(つまり、アレンジャーが誰か)のものが好きかで聴く音盤を選べばいいのですが、
そういう特定の色がついていないこういう演奏だとバンドの素の姿が剥き出しになるので、このバンドの魅力が却ってよくわかります。
スターソリストがいたオールド・ベイシーはそのトップ・ホーンのソロを聴くのが何よりの愉しみでしたが、ニュー・ベイシーの魅力は何と言っても
このキラキラと眩しく輝く分厚い金管楽器のハーモニーと最高にドライヴする黄金のテンポ感。 クラーク・ボラーン・オーケストラも一生懸命真似ようと
したこの恐るべきサウンドは、やはりこの楽団の演奏でしか聴くことはできません。 実際の速度はミドルテンポなのに、体感速度はその倍のスピードに
感じてしまうこの不思議な感覚は一体何なんでしょうか。
"April In Paris"、 "Corner Pocket"、"Lil' Darlin'"、"Shiny Stocking" などのベイシー・スタンダードを網羅した日本企画ならではの内容です。
私はDENONのこのPCM DIGITAL録音物がその痩せた音のせいで昔から大嫌いなのですが、この音盤は低音不足気味の腰高なところがイマイチながらも、
楽器の輝きや鮮度は珍しく悪くない感じだし、とにかくフレディ・グリーンのギターの音がよく聴こえるのでそれだけで合格です。
■ Sun Ra / Lanquidity ( Evidence ECD 22220-2 )
赤と黒のまだら模様を見るとサン・ラーを思い出す、ということでもないですが、DUに行けば必ずチェックするサン・ラー。
ようやくこの名盤に辿り着きました。
これは、傑作です。 紫煙が漂うかのような妖艶なムードの完全レア・グルーヴ・アルバムで、ジョン・ギルモアの最高のテナーサックスが聴けます。
切ない雰囲気のエレピで始まるアルバムタイトル曲の冒頭のメロディーはジミー・ロールズの "The Peacocks" の出だしと同じ旋律で、これが何とも
物悲しい。 その雰囲気がアルバム最後まで全体を支配していき、ゆったりとした心地い気怠さに身体が包まれて行く。 そんな半覚醒状態の中から
突然現れるテナーサックスの劇的に素晴らしいソロ。
湯浅氏の書物によると、ファンク、ディスコが流行り出した当時、あるディスコミュージックのレコードをサン・ラーが持ってきてバンドのメンバーに
聴かせたところ、バンドメンバー達が「師匠、こんなのは音楽じゃありません」と口々に言い出したが、「こんな音楽でも、ある種の人々には有益な
音楽なのだから、そんなことを言ってはいかん」と諭して、このアルバムを制作したんだとか。 意外ときっかけはお粗末だったんですね。
それでもここまでの極みに達するんだから、サン・ラー、恐るべし。 この振れ幅の大きさは、我々地球人には到底理解が及ばないのでしょう。
このCDはオリジナルの2トラックテープを使って作成されたそうで、すごく音がいいです。 自然なアナログ感が上手くトランスファーできています。
■ Count Basie Orchestra / Long Live The Chief ( DENON COCY-7101 )
結成50周年を記念して日本で制作された作品で、2人の日本人プロデューサーはこの企画を会社が認めなかったので、退社して別の会社に移ってこの作品を
作ったそうで、これは気合いの入り方が違います。
84年に亡くなったベイシーの代わりにフランク・フォスターがリーダーで、フレディ・グリーンを筆頭にベイシー健在時の主要メンバーらによるこの楽団
でしかきくことのできないドライヴ感溢れる黄金のサウンドが聴けます。 やっぱり、カウント・ベイシー・オーケストラはSP音源ではなく、LP録音のほうが
その魅力をより享受できるように思います。
この楽団の演奏は当たりハズレのようなものは基本的にはなく、どの時代(つまり、アレンジャーが誰か)のものが好きかで聴く音盤を選べばいいのですが、
そういう特定の色がついていないこういう演奏だとバンドの素の姿が剥き出しになるので、このバンドの魅力が却ってよくわかります。
スターソリストがいたオールド・ベイシーはそのトップ・ホーンのソロを聴くのが何よりの愉しみでしたが、ニュー・ベイシーの魅力は何と言っても
このキラキラと眩しく輝く分厚い金管楽器のハーモニーと最高にドライヴする黄金のテンポ感。 クラーク・ボラーン・オーケストラも一生懸命真似ようと
したこの恐るべきサウンドは、やはりこの楽団の演奏でしか聴くことはできません。 実際の速度はミドルテンポなのに、体感速度はその倍のスピードに
感じてしまうこの不思議な感覚は一体何なんでしょうか。
"April In Paris"、 "Corner Pocket"、"Lil' Darlin'"、"Shiny Stocking" などのベイシー・スタンダードを網羅した日本企画ならではの内容です。
私はDENONのこのPCM DIGITAL録音物がその痩せた音のせいで昔から大嫌いなのですが、この音盤は低音不足気味の腰高なところがイマイチながらも、
楽器の輝きや鮮度は珍しく悪くない感じだし、とにかくフレディ・グリーンのギターの音がよく聴こえるのでそれだけで合格です。
■ Sun Ra / Lanquidity ( Evidence ECD 22220-2 )
赤と黒のまだら模様を見るとサン・ラーを思い出す、ということでもないですが、DUに行けば必ずチェックするサン・ラー。
ようやくこの名盤に辿り着きました。
これは、傑作です。 紫煙が漂うかのような妖艶なムードの完全レア・グルーヴ・アルバムで、ジョン・ギルモアの最高のテナーサックスが聴けます。
切ない雰囲気のエレピで始まるアルバムタイトル曲の冒頭のメロディーはジミー・ロールズの "The Peacocks" の出だしと同じ旋律で、これが何とも
物悲しい。 その雰囲気がアルバム最後まで全体を支配していき、ゆったりとした心地い気怠さに身体が包まれて行く。 そんな半覚醒状態の中から
突然現れるテナーサックスの劇的に素晴らしいソロ。
湯浅氏の書物によると、ファンク、ディスコが流行り出した当時、あるディスコミュージックのレコードをサン・ラーが持ってきてバンドのメンバーに
聴かせたところ、バンドメンバー達が「師匠、こんなのは音楽じゃありません」と口々に言い出したが、「こんな音楽でも、ある種の人々には有益な
音楽なのだから、そんなことを言ってはいかん」と諭して、このアルバムを制作したんだとか。 意外ときっかけはお粗末だったんですね。
それでもここまでの極みに達するんだから、サン・ラー、恐るべし。 この振れ幅の大きさは、我々地球人には到底理解が及ばないのでしょう。
このCDはオリジナルの2トラックテープを使って作成されたそうで、すごく音がいいです。 自然なアナログ感が上手くトランスファーできています。