廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

Barry Harris を堪能する

2014年03月08日 | Jazz LP (70年代)
ピアノ・トリオの音盤が溢れかえり、みんなが自分の個性を前面に押し出そうと躍起になる中で、いつも変わらず淡々と弾き続ける人です。
だから、新しい刺激を求めていろんな音盤を漁り続ける日々の中で、時々無性にこの人を聴きたくなるのは本来の自分に戻ろうとする意識の表れから
なのかもしれません。 彼の音盤で一番好きなのは、これです。


Barry Harris Plays Tadd Dameron ( Xanadu 113 )

Argo盤やRiverside盤も悪くないですが、この盤の魅力にはやはり勝てません。 タッド・ダメロンの素晴らしい楽曲の魅力もありますが、
それを素直に表現するバリー・ハリスのピアノとそれをサポートするジーン・テイラーとリロイ・ウィリアムスの淡麗でいて深みのある音楽が
たまらない。

バド・パウエル直系の、という受け売りがよく付いてまわりますが、私はこの人のピアノを聴いてバド・パウエルを感じたことは1度もありません。
ビ・バップが彼のスタイルの基礎になっているのはその通りですが、だからといって短絡的にパウエルの名前を出してくるのはお門違いも甚だしい。

私の感覚では、例えばこちらのほうが遥かにパウエルの精神的息吹を感じます。


Abe Rabade Trio / Simetrias ( Xingra.com XC-0502-CD )

かつては高額廃盤CDの代表格としてその名を馳せたんだそうですが、もちろん私はその当時のことはまったく知りません。 
最近再発されて、DUで試聴可能だったので聴いてみたら、その尖った個性全開の演奏が素晴らしかったので買った訳です。 
全編オリジナル曲で固めた意欲作で、硬質でスピード感のあるタッチは直感的にパウエルを思い出させます。 どれも似通ったタイプの曲なので
最後まで聴き通すのはしんどいですが、内容は本当に素晴らしいと思いました。

上述のバリー・ハリスのレコードはそういう技術的な卓越さや音楽的な興奮とは無縁ですが、最初から最後まであっと言う間に聴き通せて、
尚且つもっともっと聴き続けたいという想いが残るのです。

これはかつて紙ジャケCDとして発売されて今では廃盤CDセールの常連になっていますが、ザナドゥのCDはソニー・クリスも含めて音場に立体感が
なく、聴いていて違和感ばかりが残ります。 ところがレコードのほうは3人の音が綺麗に分離されて立体感があり、聴いていて気持ちがいい。
特に、ベースの音がくっきりと再生されます。 これはレコードで聴くべきですね。 値段も中古CDの半分以下で買えます。


近年の録音の中では、やはりこれが素晴らしいです。


Barry Harris / In Spain ( Nuba Records 7754-2 )

ずっしり重くて漆黒く濡れたようなピアノの音が絶妙なブラッシュワークと絡み合ってのっそりと進んでいく様は何度聞いても身震いします。
深い静寂を感じさせる音場をつくる録音も素晴らしく、バリー・ハリスの辿り着いた音楽的頂点がここにあります。





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