廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

ブラックホークが産み出す名演

2022年11月13日 | Jazz LP (Verve)

Cal Tjader / Saturday Night Sunday Night At The Blackhawk, San Francisco  ( 米 Verve V6-8459 )


例えばウィントン・ケリーの "Kelly at Midnight" のように毎週セールに出てくるレコードもあれば、安レコであるにも関わらずまったく見かけない
レコードもある。ウィントン・ケリーのレコードを手放す人の気持ちはよくわかるし、このカル・ジェイダーのレコードを手放さない人の気持ちも
よくわかる。何回か聴いてすぐに飽きるものは持っていてもしかたがないんだし、何度聴いてもいいものはやっぱり手許に置いておきたいものだ。

カル・ジェイダーのレコードはクセの強いものが多くてなかなか買うのが難しいと思うけれど、このアルバムは王道ストレートな内容でとてもいい。
バックのピアノ・トリオは完全に無名の人たちだけど演奏に過不足なくジェイダーを下支えしている。その上をなんともなめらかでメロディアスな
ヴィブラフォンが歌うように流れて行く。涼やかで美しい音色が素晴らしい。週末の夜にこんな演奏が聴けるなんて、なんと素晴らしいことだろう。

サン・フランシスコのブラックホークでのライヴだが、ここで録音された演奏には名演が多く、東のヴィレッジ・ヴァンガード、西のブラックホーク
という感じだ。名演を産み出す何かがあったのかもしれないなあと思う。

ベースの音がしっかりと鳴るサウンドが心地よく、音質面も良好。何より、ジャケットの雰囲気がいい。飾っておきたくなる。
凝ったことや難しいことは何もしておらず、ありがちな室内楽みたいな雰囲気もなく、まったくの普段着の演奏だが、そこがいい。
良質なストレート・ジャズが聴ける佳作である。


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