黒古一夫BLOG

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内閣支持率の摩訶不思議

2014-10-29 10:59:08 | 近況
 昨日は、2ヶ月に1度の「定期検診」(高血圧症と糖尿病予備軍、それに痛風が今のところの持病)と薬をもらいに病院に行ったのだが、いつも時間が掛かる調剤の時間の間、薬局に用意されていた「読売新聞」を読んでいて、なるほどと思うと同時に、前から思っていた「内閣支持率」というものの「不可思議さ」について、あらためて考えざるを得なかった。
 「読売新聞」の記事には、小渕優子経産大臣と松島みどり法務大臣の辞任後に行われた読売新聞と日本経済新聞、朝日新聞の「世論調査」による「内閣支持率」の変動が出ていたのだが、それに拠れば(いま手元に記事がないので、記憶に頼れば)、読売新聞「62%→53%(9%減)」、日経新聞「53%→48%(5%減)」、朝日新聞「46%→49%(微増)」という結果とのことで、安倍政権に批判的な記事が目立つ朝日新聞の調査で「微増」、普段は安倍政権の後押しをしているようにみえる読売新聞と日経新聞が「かなりの減」というのも「不思議な現象」と言わねばならないが、それにも増して不思議なのは、集団的自衛権行使容認論や特定秘密保護法の制定、原発再稼働について「反対」が60~80%に達し、また消費税率を10パーセントに上げる問題や生活保護費の切り下げ、「40人学級」の復活、「非正規労働者の固定化」→格差の増大、等々にも「反対」が過半数を超えているのに、内閣支持率だけが相変わらず50%近い高さを保っているということである
 おそらく、理由の大半は、国民の多くが、一部では「破綻した」と言われている安倍政権の経済政策「アベノミクス」=大企業優先の経済政策に、未だに惑わされているところにある。高度経済成長期からバブル経済期の見せかけの「豊かさ」を知っている日本人は、「国民全体が豊かになる」という幻想を振りまき、一部の企業(大企業)だけが儲かる仕掛けになっているアベノミクスなる経済政策に、半ば期待し、残りの半分は絶望しながら、しがみつかざるを得ない、そんな状態に現在在る、というのが正確な状況把握なのではないか、と思っている。
 だから、「集団的自衛権行使容認」や「原発再稼働」などの個別案件に対しては多くの人が賛意を表しているという現実がありながら、内閣支持率だけが異常な高さを誇る、という「ねじれ」現象が起こってしまうのだろう。そして、権力(安倍政権)はそんな高い内閣支持率を隠れ蓑に、「国民全体」の幸せとはほど遠い、象徴的に言うならば国民が血を流す「戦争のできる国」への道、それは明らかに歴史が教えるように「破滅への道」であるにもかかわらず、そんな曲路線をを一直線にひた走る。
 「内憂」が存在することを隠蔽するために、強いて「外患」を作り出して、何とかその場を凌ごうとするのが権力者の常套手段だとしても、安倍政権の場合は、「非道すぎる」。
 前に僕は何度か>「騙される側の罪」について書いたが、昨日の読売新聞の記事にある内閣支持率の「摩訶不思議さ」を知り、もう一度ここで「騙される側」にも「大罪」があるのだということを、改めて強調しておきたいと思う。そして、僕自身の自戒を込めて言うのだが、今度こそ(次回の意思表示ができるときには)、「おのれの利益」をとりあえず横に置いて、この国が「破滅への道」を歩まないように、、大所高所から「清き1票」を行使しなければならないのではないか、と思う。
 権力者の「甘言」「軽口」には、もう決して騙されないという「決意」こそ、いま求められているのではないか、とおもっている。

 ところで、前回、刊行が近づいてきた拙著のタイトルを『葦の髄より中国を覗く――「反日感情」見ると聞くとは大違い』としましたが、今日になって、版元との競技の末「ことわざ事典」などにあるように、
 『葦の髄から中国を覗く――「反日感情」見るときとは大違い』に訂正しました。ブログを見て、興味を示してくれた一階亜mした。僕としては、サブタイトルと同じように、中国(武漢)での2年間で「見るときとは大違い』の経験をたくさんしてきたことを書き、近頃流行りの「反中」「嫌中」とは違った、「事実」に基づいた中国観を示すことができたと思っています。
 多くの人が読んでくれればな、と思っています。
 (30日・追記)
 なお、なぜ『葦の隋から中国を覗く』という自分を「卑下」したかのようなタイトルを付けたかというと、外交の専門家でも、また歴史家でも、政治学者でも、はたまた教育学者でもない僕が、広い国土と膨大な人口を持つ現代に中国につて語るというのは、「おこがましい」思いがあり、またテレビや新聞などに登場する「専門家」と称する人たちの「上から目線」に対して、「違う!」という気持が強く持ったということもあり、自分の「狭い」体験や見聞で中国を語るのであれば、「謙虚」になる必要があるのではないか、と痛切に感じたからです。
 読者の皆さんが、そんな僕の気持ちを理解してくれればいいな、と思っています。

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2 コメント

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だから? (黒古一夫)
2014-10-31 06:33:45
 あなたに言われるまでもなく、僕も中国の「覇権主義」がいいとは思っていません。
 これから発刊される拙著でも中国における「中華思想=自己中心的な考え方」に何度も煮え湯を飲まされたことを書いています。4000年(5000年)の歴史を持つ中国の「中華思想=覇権主義」が、尖閣諸島問題などの「領土」問題に波及しているのだ、と僕は思っています。
 しかし、そのような中国の「覇権主義」と安倍内閣の専制的な態度を比べて、「まだましだ」として肯定するあなたの考えには、全く賛同できません。僕らは日本で生活する人間として、安倍内閣の専横を許していいのか、と思うからです。
 あなたは「日本人(たぶん、そうなんでしょう)として、安倍内閣の現在の在り方を、どう思っているのででしょうか。
 貴方の論法は、今流行りの薄っぺらな「反中」「嫌中」に乗って、安倍内閣を擁護する保守派(ナショナリスト)と全く同じです。自分の足元を見ないで「評論家」気取りにしか見えません。
 そして、人を批判する場合、自分の立場を明らかにしてから行うのが礼儀です。「2チャンネル」のように、「匿名」をいいことにあることないこと言いたい放題、本当に失礼です。「批判」だって、弱くなります(まあ、そんなことは承知で、いかにも「客観的」であるかのように装い、言いたい放題を言っているのでしょうが)。
 なお、何度も言っているように「匿名」によるコメントには応じないという原則は、これからも貫きます。
 どうぞ、あなたももし僕を批判するのであれば、名前ぐらい明かしてください。それが人を批判するときの「最低の礼儀」だと思いますが、まあ、そんな「礼儀」も、また「勇気」もないから、「匿名」にしているのでしょうが……。
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Unknown (Unknown)
2014-10-31 04:56:24
安倍政権が非道すぎるなら

日本だけじゃなくフィリピンやベトナムとも領土問題で強硬な政策を推し進め、台湾への武力侵攻も否定せず、香港の民主化にも応じず、内憂が存在することを中国共産党の権力を持って隠蔽し、ネットを検閲し、強いて外患を作り出して毎年10%以上の大軍拡をして複数の正規空母を建造している中国共産党は、一体どのくらい非道なのでしょうか

少なくともその規模と徹底振りは安倍内閣の比ではありません
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