黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

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この日本はどこへ行くのか(4)――安倍内閣の二枚舌

2016-10-29 06:31:17 | 仕事
 本当かどうか分からない「高い支持率」がもたらした「傲り」としか思われない安倍首相の「軽口」や「はぐらかし」、「虚言(嘘)」、「はったりは、今に始まったことではないが、国連における「核兵器禁止条約に向けた交渉は始める」(核兵器禁止交渉決議)という決議に「反対」票を投じると言う行為は、図らずも安倍内閣の「核」に対する姿勢を明らかにしたという点で、今更驚くには当たらないが、どうにも「怒り」を押さえることのできない出来事であった。
 安倍首相(安倍内閣)は、毎年八月六日・九日の広島・長崎における平和記念式典で、(毎年同じような文面であるが)「核廃絶を希求する」旨のスピーチを行ってきて、また今年は「核兵器禁止交渉決議」が行われた国連で、アメリカなどの核保有国と共に「核軍縮決議」を提案し、多くの賛同を得てきた。
 しかし、国連で「核軍縮」の提案することと「核兵器禁止条約」を交渉することに「反対」することは、誰が見ても矛盾することであり、諸外国から見れば「日本は二枚舌を使っている」「本気で核兵器を禁止しようと思っていないのでは何か」と思われるということを、安倍政権は全く考えていないのではないか、ということである。つまり、安倍政権(歴代の保守政権も同じだが)はアメリカの「核の傘」=核抑止論の有効性を認めることを前提として、「核」の問題を考えているということである。ここには、「日本は唯一の戦争被爆国である」という認識はない。さらに言えば、安倍首相(安倍政権)ら「戦前回帰」を目指す日本会議の影響下にある指導者(政治家)たちは、近い将来「日本の核武装を目指しているとしか思えない、ということでもある。
 この「日本の核武装」という考え方と連動しているのが、原発再稼働であり、使用済み核燃料の再処理工場の運転、核燃料サイクルの維持(高速増殖炉政策の維持)だということも、忘れるわけにはいかない。
 また、この「日本の核武装」という考え方は、憲法違反を承知で「集団的自衛権行使容認」を推し進め、沖縄県民お代多数が反対している普天間基地の辺野古沖への移転(新基地建設)や「ヘリパッド(オスプレイ訓練基地)」建設の強行し、憲法改正を目指す自民党政治のやり方と通底している、ということも僕らが真剣に考えるべきことである。
 換言すれば、安倍政権が目指す「戦前回帰」は、まさにあの治安維持法の下で「表現や思想の自由」が完全に奪われ、軍国主義が大手を振るっていたファッシズム体制だということである。そして、それはいつまで経っても「道半ば」という「アベノミクス」=成長経済を基とした経済政策を隠れ蓑にした、とんでもない「復古主義」だということである。
 今、僕は今月末までの締め切りで、長崎で被爆した芥川賞作家林京子さんの『谷間 再びルイへ』(講談社文芸文庫)の「解説」を書いているのだが、改めてヒロシマ・ナガサキの出来事やフクシマ(原発事故)のことについて書かれた作品や格に関する様々な本などを読み、「核と人類は共存できない」というのは、間違いのない審理だと思った。そんな時期における日本政府(安倍政権)の国連での「核」に対する姿勢、もう「怒り」しかなかった。
 僕らは、これらの事実をよく見極め、目先のことだけではなく、子供や孫に続く世代のことも考えて、自分たちの生き方を定めなければならないのではないか。つくづくそう思った

なお、国連総会における「核兵器禁止交渉決議」は、賛成:123カ国(北朝鮮を含む)、反対:38カ国(アメリカ。ロシアなど核保有国が中心)、棄権:16カ国(中国など)であった。
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この日本はどこへ行くのか(3)――安倍晋三(内閣)の正体(続き)

2016-10-26 09:36:36 | 仕事
 前回の「この日本はどこへ行く(2)」の記事(北海道の友人から送られたメールの紹介)に、僕のコメントとして「この佐高信と岸井成格の対談本『偽りの保守 安倍晋三の正体』の紹介部分には、安倍晋三に大きな影響を与えている「日本会議」についての言及がない」と付したが、件の友人から早速以下のようなメールが送られてきたので、紹介しておきます

 岸井成格・佐高信「偽りの保守・安倍晋三の正体」(講談社+α新書)は、
「日本会議」については、以下のように言及しています。十分に分析しておらず、イマイチの感があります。


翼賛団体としての日本会議と日本青年会議所

佐高 安倍的ナショナリズム、あるいはファシズムと言ってもいいと思うんだけど、その基盤をもう少し具体的に特定しておきたいという気がする。宗教団体の生長の家なんかが母体となっていると言われる「日本会議」というグループがあるよね。このところ不気味な存在感を増している。このあいだ菅野完という人が『日本会議の研究』一扶桑社新書一という本を出したけど、版元の扶桑社を身内と思っていた日本会議がこの本の出版差し止めを要求したとか、やたらと売れて書店の店頭からなくなったとか、ずいぶん話題になっているよね。日本会議については集英社新書でも出るみたいだし、青木理も書くようだ。

岸井 著者の菅野完は自分のことを右派と自已規定しているんだけど、記述はわりと客観的で、よく調べている。でも、この本を読んでもいまだに日本会議の全貌はわからない。日本会議は生長の家が母体だよね。その後変質していく過程で生長の家から離れ、組織を拡大し、今では神杜本庁をはじめとする様々な神道系の宗教団体や新興宗教団体が関わっていて、安倍政権の誕生には深くあずかっている。それ以前から、改憲や教科書右傾化や元号法制化などの運動を草の根レベルで執鋤に続けてきている。市町村議会を動かしてきたんだな。ただ、徹底した秘密主義を取っていることもあり、組織実態と、権力との結びつき方は把握しきれないところがある。伊勢志摩サミットで安倍が伊勢神宮訪問にこだわったことは海外メディアからは賛否両論だった。安倍の姿勢を「読売新聞」は「保守層への配慮」と報じたが、これは明らかに日本会議を中心とする保守層、ということだろう。

佐高 各国首脳を伊勢神宮で迎えた鷹司尚武という宮司は、日本会議の顧問らしい。ファシズムというのは国民の精神を組織することでもあるから、安倍政権の宗教的基盤については厳しく注視する必要があるね。岸井は神杜本庁とはけっこうつながりがあるでしょう?

岸井 つながりがあるというよりも、私の個人的な趣味が古代史だからな。

佐高 岸井は実はオカルティストの一面があるから(笑)。

岸丼 オカルティストじゃないって。正統派の古代史研究だ。「NEWS23」の反省会で、行きたい桜の名所ランキングが話題になったことがある。一位が五稜郭、二位が吉野の千本桜なんだよ。私が、「時間があれば奈良に卑弥呼のお墓を捜しに行くんだ。邪馬台国は遷都されて奈良でほぼ間違いない。吉野は壬申の乱の前に、天武天皇と持統天皇が隠遁した場所で、あそこから『古事記』と『日本書紀』が始まったんだ」というようなことを話したら、皆呆然とした顔をしていた。

佐高 我々の年代だって、そんなことに興味を持っているのはそう多くはない。

岸井 私の趣味はともかく、日本会議について佐高はどう見る?

佐高 私は日本会議は風呂敷はでかいけれど、実動部隊としてはJC(日本青年会議所)も見逃せないと恩っている。経営者の二世ボンボンで名前を上げたい人たちの集まりだよね。小林よしのりが火を点けた「新しい歴史教科書をつくる会」もJCの支援なしにはあり得なかったし、改憲運動や教育現場への右翼的介入も露骨になってきている。日本会議と共闘する局面も増えていると聞く。

岸井 自民党と宗教団体の関係で言うと、新宗連(新日本宗教団体連合会)もはずせないな。立正佼成会を中心として反創価学会を掲げる新宗連も、一時は政界に強い影響力を及ぼしていた。票目当てで、自民党員が競って新宗連に入っていたものだよ。

佐高 統一教会は選挙になると、保守系の候補のところにタダ働きに行くという。かつて、それを田中秀征は断ったらしい。すると次の日、選挙区で「容共田中秀征」というビラを撒かれたそうだ。今の副総裁の高村正彦は、弁護土時代は統一教会の顧問弁護土だった。

岸井 安保法制を強く主導してきたのも高村だ。もともとは三木派なんだけど、岸信介以来の、外交・防衛の情報畑なんだ。情報畑というのはアメリカと一体だからね。後藤健二さんの事件の時も、「金を出すつもりはない」と言い、殺害後には「あれは勇気ではなく蛮勇で、自已責任だ」と言い放った。安倍が中東まで行って、イスラエルの首相と並んで会見をしたことへの反省がまるでない。こういうところも無神経になっているよな。安田純平さんが拘束されても、政府は助けようとしていない。メディアもほとんど報じない。

政府が助ける人間と助けない人間

佐高 安田純平には去年「佐高信政治塾」の講帥を三回頼んだ。三回目の時、連絡が取れなくなって、調べたら中東で拘束されている可能性がある生言われたんだ。岸井は人質事件への安倍政権の対応を「無神経」と言ったけど、それどころではなくて、今の政府は助けるべき人問と助けない人間をはっきり分けている。一括して「国民」と呼びはするけれど、政府が「非国民」と思う人間は殺されてもいいと思っているわけで、「非国民」とされた側からすると、この国は税金だけタダ取りされているようなものだよ。

 友人もコメントしているように、この「対談」における「日本会議」への言及は弱いし、これでは一般の読者はよく分からないのではないか。
 なお、僕の「日本会議」への言及は、今いろいろと調べているので、もう少し後にな留のではないか、と思う。ご了承してください。

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この日本はどこへ行くのか(2)――安倍晋三(内閣)の正体

2016-10-23 17:11:41 | 仕事
 前にも何度か紹介したことのある北海道の友人(元北海道新聞記者)から、次のような内容のメールが届いた。
 もしかしたら、ここで紹介されている本『偽りの保守・安倍晋三の正体』を読んだ人もいるかも知れないが、「硬派の書籍」を余り読まない昨今の状況を踏まえて、少し長くなるが、全文紹介する。



 友人に薦められて読んだ岸井成格・佐高信「偽りの保守・安倍晋三の正体」(講談社+α新書、2016年6月、本体価格800円)が、ナカナカのスグレモノでした。
岸井と佐高は慶応大の同期生仲間。また岸井は毎日新聞の記者として「私は安倍のおやじさんの晋太郎には非常に可愛がってもらって」、安倍晋太郎のゴーストライターを務めたことまであって、安倍晋三首相のガキ当時からとことん、知り尽くしています。
 サワリのごく一部を引いておきます。

岸井成格(1944~)毎日新聞特別編集委員。父は元衆議院議員の岸井寿郎。

佐高信(1945~)「週刊金曜日」編集委員。「先住民族アイヌの権利回復を求める署名」呼びかけ人。「湛山除名―――小日本主義の運命」(岩波現代文庫)

安倍政治は保守の「傍流」

佐高信 岸井は保守本流の政治記者だよね。毎日新聞の政治部長、論説委員長を経て、主筆。私のようにずっと体制に噛みついてきたわけではないし、思想的にも左派ではない。
岸井成格 政治記者という仕事柄もあるけれど、たしかにそうだね。ただ、環境問題や原発問題では体制に厳しく物申してきた面はあるけれど、本質的には佐藤栄作内閣末期から政治記者としてやってきて、ずっと保守本流、それも吉田茂の日本自由党の系譜に位置してきたと言えるだろう。これは改めて論じたいんだが、保守本流とは何か、自民党主流とは何かを、私は知っているつもりだ。だから逆に、保守傍流から見ると「なんだあの野郎は」というのかあるかもしわない
佐高 安倍は傍流なんだよ。
clip_image002岸井 ああ、傍流も傍流だ。
佐高 それが主流に躍り出て、ドヤ顔で独裁政治をやっている。安倍にとってみれば、自民党主流の歴史を知り尽くしている岸井の存在は目障りなんだろう。
 (中略)
突然、菅義偉が乗り込んできた

佐高 今、岸井の存在が際立ってしまったということの時代背景には、状況が右に行きすぎて保守本流の政治記者だった岸井までもが危険人物になってしまったということが一つと東日本大震災以降、岸井が反原発の姿勢をいよいよ旗幟鮮明にしたので目をつけられたということがあると思ったけど、岸井自身にとっては、弱者の側から社会を見るという変わらない姿勢があったわけだね。その姿勢が、人間というものを否定する体制と、いよいよ対峙時せざるを侍なくなってきている、と。
 (中略)
岸井の私的な勉強会に菅義偉(官房長官)が訪ねてきたということを聞いたことがあるんだけど、もう少し詳しく説明してほしい。
岸井 企業各社の中堅と企業幹部が集まって、私が話をするという勉強会を長いことやっているんだ。
佐高 それは岸井がメンバーを集めて?
岸井 いや、私が講師を務める、十人から二十人くらいの小規模な勉強会だ。
佐高 メディアの人ばかり?
岸井 いや、企業の幹部が中心だな。
佐高 そこに突然、菅が来たのか。来ると聞かされていたわけ?
岸井 いや、全然知らなかった。黙って来た。誰かから聞いて知ったんだろう。最初から最後までいたよ。終わると「今日はいい話を聞かせていただいて、ありがとうございました」と言って帰っていった。怖いよな。
佐高 菅は岸井にプレッシャーをかけに来たという感じかな。
岸井 そう思わせないのが菅の怖いところだ。
佐高 思わせなくても、結果的にそれはプレッシャーだよ。
岸井 「どこで何を話しているか、全部知っていますよ」ということを見せているわけだ。「でも入っていけますよ」というメッセージかもしれない。

アベノミクスは経済の軍事的再編

岸井 毎日新聞は2011年、東レの榊原定征(さだゆき)会長に毎日経済人賞を出したんだけど、私はこれを後悔している。主筆として私が表彰したんだ。なぜ彼があそこまで現政権に首を突っ込んでいるのか。そして、なぜ東レが経団連会長なのか。今、束レは自民党に多額の献金をしている。今度の参議院選挙にしても、民進党は資金面でとてもじゃないけど太刀打ちできない。これは何を意味するか。束レは武器輸出の中心に位憤しているんだ。炭素繊維が戦闘機の軽量化の基本を担っている。民間航空機にはすでに使い始めている。軍需産業といえば重化学工業という時代からの変化があるんだ。
佐高 企業も戦争体制に紺み込まれつつあるということだね。
岸井 彼らは、自らの産業基盤そのものをアベノミクスに賭けている。楽して儲かるという意味では、防衛産業、軍需産業がいちばんだよ。後年度負担だから、五年も十年も保証される。こんなに儲かるものはない。
佐高 かつてそれに抵抗したのが、たとえばソニーの井深大だった。井深は、経団連ではなく経済同友会に足場を置き、軍需製品ではなく家庭用製品の開発にこだわり続けた。その系譜は、今や見る影もない。特定秘密保護法、武器輸出、安保法制はセットになっていて、アベノミクスもそこに組み込まれている。
岸井 組み込まれているというよりも、もともとアベノミクスの目的自体がそうだったんだ。安倍の言葉はドナルド・トランプと同じだよ。「強い日本を取り戻す」と。
佐高 アベノミクスはミリタリミクス(ミリタリー十エコノミクス)ということだな。ここがアベノミクス批判のキーポイントでなくてはならないわけだろう。
岸井 間違いなくそうだ。そして原発も同じだよ。原発輸出なんてまぎれもなく国家犯罪だ。
佐高 東芝の不正会計問題はその視点で批判しなければならないね。あれは不正会計なんてものではなく、明らかな粉飾決算だけど、あんなことをやっても司直の手が入らないということは、東芝が国家産業であり安倍政権に保護されているということを示している。東芝は、粉飾決算後のリストラでも、軍事と原発に関わる部門にはほとんど手をつけていないでしよう。
岸井 軍事を中心に日本経済が大きく変わりつつある。極めて不気味な動きだよ。

菅と安倍の怨念

佐高 亀井静香(警察庁官僚から衆議院議員に。清和会に属し大臣職などを歴任)が問題にしたことがある。官邸が大臣から人事権を奪ったため、官僚が大臣の言うことを聞かなくなって官邸のほうばかり気にしている、と。
岸井 大臣の質はどんどん劣化しているけど、官邸はむしろそれでいいと思っているんだ。
本当に心配だよ。
佐高 言うことを聞くだけの大臣のほうがいいわけだ。松田賢弥の『影の権力者内閣官房長官菅義偉』(講談杜十α文庫)が売れていると聞いて読んでみた。菅の故郷は私のおふくろが生まれたところのすぐ近くなんだ。おふくろは山形で、菅は秋田。県境を挟んで、ほとんど隣の集落なんだね。私としても、同じ地方出身で風土を共有した者の苦闘にどこか少しだけ共感してしまう部分と、しかしそこから権カヘの道をひた走る菅という人物への嫌悪と、複雑な思いが駆けめぐった。幼少期に魚を手づかみで獲った話や、集団就職の世代として上京して東京の町の底であがいた頃の話が出てきて、今の苦労知らずの政治家は菅にはとてもかなわないだろうと改めて思ったね。菅は生きることの原点を知っているというか、ある種、動物的な生存体験をしている。それは牧歌的な自然児ということではなくて、権力をめぐる生存闘争を生き抜く強さを身につけているということだ。
岸井 菅には怨念も含めて本能的な強さがあるんだ。しつこいんだ。途中で妥協するという発想がない。
佐高 雪国の人間は、他の人間に対して最初から怨念があるからね。雪国に生きるうえで、妥協することは死ぬことだから。
岸井 菅の個性がそういう環境で形づくられたのは間違いないと思う。一方、安倍はそういう生まれ育ちではないのに、菅に近似する怨念を持っている。安倍の場合は複雑に入り組んだコンプレックスだな。私は安倍のおやじさんの晋太郎には非常に可愛がってもらって、ある意味で逆指名的に私が彼を担当しているようなところがあったんだ。唯一、私が新聞記者としてやってはいけないことに手を染めたのは、さまざまな著名人が自ら執筆する「若い日の私」という運載を「毎日新聞」でやっていたのだけど、安倍晋太郎の回を私が書いたんだ。それは晋太郎の母恋物語で、晋太郎が「なぜそんな『母をたずねて三千里』みたいな話を書くんだ」と反対したが、私は「ここがいちばん面白いから」と説得した。
佐高 それに土井たか子(日本社会党委員長、衆議院議長)が感激したらしいね。
岸井 当時、おたかさんは外務委員会の理事だった。それを読んでから、おたかさんは晋太郎に厳しい質問を全然しなくなったという(笑)。晋太郎とは、毎日新聞の政治記者という先輩、後輩の関係もあり、先のコンコルドに乗った話もメディアでたった一人の同行だったから、欧州からアメリカを回る間、毎日一緒に食事をしたり、若い頃の話や晋三についても話を聞く時間があったんだ。晋太郎は晋三に、「晋三、私は岸の娘婿じゃないからな。間違うなよ。私は安倍寛の息子だからな。反戦平和だからな」と言ったそうだ。
 (中略)
保守がタカ派に乗っ取られた

佐高 安倍は親父に怒られていた鬱屈があるから、私が「晋太郎の無能な秘書だった」なんて書くと、相当カッときていると思う。その時代を岸井はよく知っているわけだね。さきほど、晋太郎が安倍家は岸ではなく安倍寛の平和主義だと安倍に言い聞かせたという話があったけど、そういう意味では安倍にも平和的な保守に行く分岐点はあったのだろうか。
岸井 晋太郎が急死せずに総理になっていれば、晋三は秘書官になっていただろう。そうなれば晋三の政治的志向も多少違っていたかもしれない。
佐高 清和会の中でも、晋太郎と福田赴夫はわりとハト派だった。中国との関係では明らかにタカ派とは違ったわけです。一方で福田に近いところで、石原慎太郎が極端なタカ派集団の青嵐会をつくるわけだけど、当時は、まさか青嵐会が政治の表舞台に出てくるなんて誰も思わず、キワモノ扱いだった。それが今や政治的主流になってしまった。
岸井 保守がタカ派に乗っ取られたんだ。官僚、特に外務省にも同じ変化がある。つまり、外務省には根っからのタカ派がいる。日米関係重視と言いながら、露骨な反米じゃないかと言いたくなるくらいのタカ派がいるんだ。その少数派が今や主流になりつつある。そうじゃないと外務省では生きていけないんだろうな。

なるほどと思わせるが、残念なのは、この本(コピーした部分)には、安倍首相や稲田防衛相ら「自民党極右勢力の中心」に強い影響を与えている「日本会議」(若い頃、新興宗教「生長の家」・谷口雅春の思想に共鳴した人たちが中心になっている)について、一言も言及していないことである。
 「日本会議」について、いずれこの欄で取り上げるが、とりあえずは、安倍政権(安倍晋三)と「日本会議」とは、「影響」などといったレベルを越えた深い関係があること、そのことだけの指摘にとどめておく
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この日本はどこへ行くのか(1)――機動隊員の「土人」発言に怒りを!

2016-10-21 10:17:02 | 仕事
 昨夜、沖縄の知人から電話があった。彼は「『立松和平の文学』読んでますよ。立松さんと沖縄は、深い関係にあったことを改めて思いました。」と言い、今沖縄で起こっていること、翁長沖縄県知事とはいとこの関係にあること、そのために今度『翁長知事講演会の会長になった」とのこと、及び「沖縄新報」の記者時代、八重山地区の担当になったとき、たてまつが援農でサトウキビ刈りに行った与那国島のこと、等々について、昔と変わらず朴訥な感じで話した。 彼と知り合ったのは、1997年の初夏、彼が『水滴』で芥川を受賞した目取真俊の文学について「琉球新報」に存分に書いて欲しい(結果的に、目取真俊については都合5回書くことになった)と依頼してきたからである。その後は、沖縄へ行くたびに時間が許せば、酒場で泡盛を飲みながら、喫茶店でコーヒーを飲みながら、沖縄の現状や全共闘世代として学生時代を過ごした東京の話し等について話し、また立松が学生時代に旅した台湾からの帰途、お金がなくなってアルバイトした沖縄時一の歓楽街波上(ナンミン)の「無許可営業のバー」を案内してもらったりした。
 折しも、沖縄北部のやんばるの森に沖縄県民(住民)の反対を押し切って建設中の「ヘリパッド」(アメリカ軍のヘリコプター・オスプレイ訓練基地)を強行するために動員された本土からの機動隊員500人のうち、大阪府警の20代の機動隊員2人が「ボケ、土人が」、「黙れこら、シナ人」と怒鳴ったというニュースがマスコミを騒がせていたが、、先の友人に僕は「沖縄は酷い状態になっているね。本土も安倍政権下でめちゃくちゃになっている」としか言えなかった。
 特に件の暴言を吐いた機動隊員に対して、「行き過ぎの発言はあったが、ご苦労様でした」とねぎらいの言葉を発した松井一郎大阪府知事が、そのあとの釈明会見で「沖縄の反対派住民も相当酷い言葉を機動隊員に浴びせていた。機動隊員は、よく我慢し頑張っていた」という主旨の発言をしたことを知り、大阪維新の会も安倍ファシスト首相の任期を延長するために「総裁任期」の延長を決め、沖縄県民の強固な反対が合っても強引に辺野古沖の新基地建設を推し進めている自民党と同じように、「国民」(沖縄県民)の切実な願いなど関係なく、自分たちの「野望」(その本丸は、第9条を中心とする憲法改正)を実現しようとする「強権政治」の信奉者なんだな、と思わざるを得なかった。
 件の機動隊員の言葉、それは失敗が見えているのに「アベノミクスは道半ば」と言い張る続け、また国会の所信演説で「自衛隊員・警察官・海上保安庁職員に敬意を表しよう」と居並ぶ国会議員に拍手を強要したる安倍首相やそれを「是」とする国会銀たちの在り方の反映である。「国民不在」・「差別の温存」、この国はもう壊れかけているのではないだろうか。
 嫌な時代だ、としか言いようがない

 実は、本音を言えば、連日マスコミ・ジャーナリズムを騒がせている小池東京都知事による「豊洲新市場問題」や「東京オリンピック・パラリンピック問題」をはじめとして、農水大臣による「TPPの承認は、今国会中に強行採決で」発言、あるいはあたかも今にも帰ってくるかのように報道されている北方領土問題――歯舞・色丹の2島返還青確約させ「日ロ平和条約」を結ぶという「幻想」が振りまかれている――、専門家のみならず「格差の拡大」「労働条件の悪化」等々から誰もが「失敗」と認めるアベノミクスに未だにすがりついている安倍首相はじめ自公の政治家たち、とアベノミクスの成功を信じたいと思っている国民の存在、等々、ほとほと嫌になっており、もう静観するしかないのかな、と思っていたのである。
 劇場型政治」や「虚言・軽口」が罷り通っている社会が「健全」であるはずがないと思卯が故に、それでも声を上げ続けるしかないのだろうか
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新規まき直し、元気です(7)――ノーベル文学賞の季節に、今日「すっきり」(日テレ)に出ます。

2016-10-13 04:56:17 | 仕事
<お知らせ>
 最早年中行事のようになった感のある「村上春樹は果たして今年こそノーベル文学賞を受賞するか」という空騒ぎ、今年はイギリスのブックメーカー(賭け屋)が「1位」に付けたというのに、いつもなら2,3件あるマスコミからの取材や問い合わせがなく、例年に比べて温和しいな、と思っていた矢先、一昨日の夜日本テレビから村上春樹の文学とノーベル賞受賞の可能性についてコメントが欲しいので時間を作って頂きたい、とディレクターから連絡があり、昨日(12日)の午前中1時間ほど電話で取材された。
 日テレの番組はすっきりというワイドショートで取り上げるとのことで、予測したように、僕の役割は「受賞しない」派を代表してコメントを寄せることであった。担当のディレクターはかなり勉強家のようで、拙著『村上春樹批判』(昨年刊行)も、また昨年寄稿した産経新聞の記事はもちろん、「受賞する可能性大」とする批評家や研究者の著書や論文にも目を通していて、取材がスムーズに進んで、それはそれで面白かった。
 なお、日テレに出るといっても、僕が群馬に住んでいるということもあり、それは「写真」で、コメントも僕の「生」の発言ではなく、僕から取材した内容をディレクターがまとめたものです。
 余り期待されても困りますが、「記録」ということで、お知らせしておきます。
 朝、このブログを目にした方、時間があったら「すっきり」を眺めてください。
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