黒古一夫BLOG

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「民主主義」が壊れていく――「日本を取り戻す」の実態

2014-11-13 09:52:49 | 近況
 昨日は、現在「キッチュ(まがい物)」が蔓延していると指摘したが、その最たるものが「日本を取り戻す」とか「戦後レジュームからの脱却」などという「空疎」で「観念的」な言葉を全面に押し出し、そして「アベノミクス」なる一部にしかその実態(経済効果)が及ばない経済政策で、すっかり国民を幻惑した安倍自公「極右」政権の思想・在り様に他ならない。
 つまり、安倍「極右」政権は、その「歴史修正主義」――その姿勢を象徴するのが、戦前期の「軍国主義=帝国主義的侵略主義」を肯定する「靖国神社参拝」であり、「村山談話」や「河野談話」を否定する「侵略の定義は歴史上・国際上定まっていない」とする発言である――に典型化されているが、戦後の「平和と民主主義」を否定して、戦前のような「絶対主義天皇制」下の社会=統治形態を密かに「理想」としているということである。「アベノミクス」による格差社会の拡大は、まさにそのことの具体的現れに他ならない
 ただ1点、戦前の権力と安倍「極右」政権とがいくらか違うのは、グローバル化した世界を反映して「対米従属」を強めていることだけである。もっとも、この安倍政権による「対米従属」の強化は、明治維新期における福沢諭吉の「アジア蔑視」(その裏返しとしての「欧米尊重」であり、「和魂洋才」思想もまた同じ「アジア蔑視」から生じた考えである)以来の伝統とも考えられるが、安倍晋三氏の「ネオ・ナショナリスト」ぶりを見ていると、彼の「対米従属」思想も、「欧米崇拝・アジア蔑視」が簡単に「大と上共栄圏の建設」と「鬼畜米英」に代わったように、いつ「反米」に転じるか分からないような「不定見」なもののように、僕には見えるのだが……。
 そんな狭量な「ナショナリズム」=反民主主義思想(=封建的思想)がいかに現代に蔓延しているかをまざまざと見せてくれているのが、端から「歴史」を学ぼうとしないところから生まれた「ヘイトスピーチ」だと思うが、実はもう一つ、安倍「極右」政権が「女性」を取り込もうとして「女性の登用」を訴えていることに、何とも皮肉だが、結果的に「水を差す」ことになった、「男女平等思想は、反道徳の妄想である」とする女性国会議員(次世代の党所属)の発言である。
 この「男女平等思想は、反道徳の妄想である」、つまり「日本では、女性と男性の役割がはっきりしていた(つまり、男は外で仕事、女は家の中で子育てや家事しろということだろう)、と衆院で議論されている「女性活躍推進法案」(これ自体が「キッチュ」でしかないが)にかかわる委員会で質問に立った杉田水脈(みわ)という議員が発したのも、この国全体が「右傾化=戦前回帰」していることの証拠であるが、それにしてもこのような「女性差別」発言が、若い女性国会議員から飛び出すこの国の「民主主義度」、もうあきれるしかない。
 このような発言をする女性議員は、「万死に値する」つまり国会議員を辞めてもらうしかないが、このような国会議員(元日本維新の会?)を選んだ国民にもまた「当然責任=罪」がある。繰り返し言っていることだが、「騙される側の罪」を今こそ僕らは考えなければならないからである。
 それにしても、いよいよ「大儀無き」解散・総選挙が間近に迫ってきたようである。「日本を取り戻す」とか「戦後レジュームからの脱却」がいかに虚妄であったか、ここは、腹をくくって、「目先の利益」だけを考えるのではなく、僕らは子・孫・ひ孫、……の代まで「平和」でより改善された「民主主義社会」であり続けることを願って、投票所に足を運ぶべきである。
 「ニヒリズム」に陥っている暇はない、というのが僕の認識である。

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