黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

いい加減にして欲しい

2007-12-09 09:46:57 | 近況
 再三言明しているように、僕は「ナショナリスト」ではない。しかし、今の国会で論議の中心になっている「新テロ特措法」やそれと深い関係のある防衛省贈収賄問題、米軍(移転)再編問題、「思いやり予算」など「国家」的な諸問題について考えるとき、何故こうまでしてアメリカに追随(おべっかを使う)しなければならないのか、不思議な気持ちを抑えることができないのである。
 9・11の同時多発テロの報復として考えられた「アフガニスタン侵攻作戦」のお先棒を「テロ防止」という美名の元で担いだ日本は、あれから6年余の間、ずっとアメリカが要求するままにインド洋(ペルシャ湾)に自衛隊を派遣して給油活動をしてきたが、それで果たして「テロ防止」の役に立ったのか、中等における「戦争」を泥沼化するのに手を貸しただけではないのか、こんな形でしか日本の「国際貢献」は不可能なのか、これは「テロ防止」という大義名分を掲げることによって自衛隊の海外派遣(派兵)をスムーズに実現させる(日米の)意図によって遂行された「壮大な逸脱」(いつか来た戦争への道)なのではないか、疑問の種は尽きない。
 何よりも、アフガン戦争、イラク戦争で失敗したブッシュ(アメリカ)が「死に体」(レームダック)になっているというのに、1時間弱の「儀礼訪問」を行うために大金(税金)を使って訪米した福田首相(日本)の在り方こそ、不思議でならない。マスコミは余り騒がなかったけれど、この福田訪米こそ現在の日米関係を象徴するものはなく、かつてキャッチボールなどして日米が「対等・平等」な同盟関係にあることを演出した首相(小泉純一郎)もいたが、本質は「従属」関係にあり、腹立たしいことであるが、「51番目の州」などと揶揄されるのも、無理からぬところがある。
 おそらく、占領期を経て(というより、本質的には幕末に「日米和親条約・通商条約」を結んだときから)最大の強国アメリカのおこぼれを拾って「経済大国」になってきたこの国は、悲しいかな、もう根源的にアメリカへの「依存体質」から抜けきれないのかも知れない。朝鮮戦争特需、ベトナム戦争特需、を始め、「平和国家・日本」は、アメリカが起こす「紛争」「戦争」のお蔭で経済的に「豊かさ」を増してきた。僕らが現在それなりに「豊かな生活」を維持できているのも、アメリカのお蔭というわけである。しかし、そのアメリカによって保証された「豊かさ」が「いつか来た道」に繋がっているとしたら、僕らはここで立ち止まり、在るべき「日米関係」についてじっくり考える必要があるのではないか。小泉さんや福田さんが考える日米関係ではない、「もう一つの日米関係」について、である。そうしないと、食糧自給率が40パーセントを割り、石油を始めとする資源に乏しいこの国は、また「破滅」への道を歩き出すのではないか、と思わざるを得ない。
 たぶん、僕らの世代は「いい思い」のまま消えていくだろう。しかし、娘たちの世代、あるいは孫たちの世代が「破滅」への道を歩かなければならないとしたら、それは僕らの責任でもある。僕が、昨今の「日米関係」、防衛省問題、等にいい加減にして欲しいと思うのは、以上のような理由による。