黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

農作業の日

2007-12-03 06:38:02 | 近況
 1年に4回、我が家には1日中「農作業をする日」がある。春のジャガイモの植え付け(と、それより前の土作り)と、8月末の大根の種まきと晩秋(この頃)の大根掘り、いつも「忙しい」と言っている癖に、よくそんな時間が取れるね、とよく言われるが、この4日だけは「恒例」となっているので、スケジュールがダブらないように調整して、毎年確保している(これまで2回、7年前にアメリカへ行ったときと、昨年スロベニアに行ったときは僕が参加できず、家人と娘たちが手伝って作業は滞りなく済ませてくれた)。
 ジャガイモは、いつの間にかほぼ1年間食べられるだけの量を植え付けるようになり、大根も4軒分の「タクワン用」と「はりはり漬け用」を植え付けるので、作業は1日中、ということになるのである。それに、せっかく自分で作るのだから「無農薬・有機農法」がいいだろうと思っているので、結構手間暇がかかるのである。土作りのために、秋に近くの公園で集めてきた落ち葉(ゴミ袋に15個ほど)を腐葉土化して畑にまいたり、牛糞や鶏糞をそれに加えるという作業や「タクワン用」の大根は1本1本丁寧に洗い、冷え込んだ日に凍みないように屋根の下につるす(約2週間)、素人百姓なので十分なことはできないのだが、しかしジャガイモにしろタクワンにしろ、できあがったものは自分の手を煩わしただけあって、それなりに美味である。収穫すると友人・知人に配りまくるが、評判は悪くない(タダだから、悪口を言えないのかも知れないが、「タクワン」は九州熊本地方の漬け方を教えてくれる人がいて、その通りにやるようになってから評価はさらに高くなった。自慢の一品である)。
 そんなわけで、昨日は1日中農作業に明け暮れていたのだが、今年の大根の出来映えは、例年になく「不作」(秋口に発芽して順調に育つなと思って、1週間経ったら、猛暑のせいか大量の黒い芋虫が発生し、気が付いたときには3分の1ぐらい食べ尽くされていた。すぐに種をまき直したのだが、時期が少しずれてしまったため、出来が悪くなってしまったのである。それにしても自然界の摂理は偉大で、たったの2週間ほど種まきが遅くなっただけで、収穫に大きな影響が出た。昔のお百姓さんが作った「農事暦」(季節ごとに種まきや収穫の時期を記したもの)は、その意味ですごい)で、どうにかこうにか約束してある4軒分の大根は確保できたかな、という状態である。
 こんなルーティンな農作業がいつまで続くのか分からないが、今朝起きたら普段使わない太ももの裏側の筋肉が痛く、改めて運動不足と年齢を感じてしまった。こんなことではいけないと思いつつ、仕事に追われての運動不足、どうしようもないのかな?来年も2冊書き下ろしを書かなければならないので、机の前に座る時間が減ることはなく、運動不足も解消されないと思うと、何だかげっそりする。
 それにしても、世の中のことや文学のことをすっかり忘れて農作業に終始した1日、それなりに充実した日であった。
 今日から改めて大学教師と批評家の「日常」に戻る。