牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

繁殖雌牛の育成(9)

2009-04-12 08:00:56 | 雌牛


②導入したら移動報告を行う。
日本でも牛海綿体脳症(BSE)の発症が確認され、その後トレサビリティーなる取り組みが実施されるようになり、国内に生存する全ての牛について、2004年12月から個体識別番号を記した黄色い耳標(タグまたはタッグ)の装着が義務づけられる様になった。
生まれた仔牛にも、しかるべき手続きの上、耳標を装着するとともに、牛を他所に移動した場合は、相手先の電話番号を付記して異動一括報告カードを家畜改良センター個体識別部へ報告することになっている。
最近は、インターネットの普及によりネットでの報告が一般的なようである。
当然繁殖用素牛を導入した場合も、上記により個体識別部へ移動報告することが義務づけられている。
この個体識別番号は、牛が一生涯同一でなければならないが、枝肉になり店舗でバック詰めされるまで、同番号が付記されて販売されている。
この個体識別番号制度は、それにより何時何処の誰による生産なのか、品種性別などと生まれてからの移動の経過が判るようになって、万が一BSEが発生した時に、その履歴によって発症の原因究明に役立っている。
当初は、10桁の数字に違和感があったが、時が経ち慣れることによって、肥育現場などでは、群内における個々の牛の識別が容易になったり、食肉市場から届けられる仕切り書なども同番号が付記されているために、格付け結果や仕切り内容などの個体確認が容易になった。
同システムが正確に運用されることにより、牛の盗難や不正が極端に減少する結果にもなっている。

写真は、鳥取全共でのチャンピオン牛であるが、全共などの共進会や子牛市や肥育牛の市場出荷などでも、この個体識別番号が確認され受付される。
牛の異動の全ては、同番号から始まる。