牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

繁殖雌牛の育成(14)

2009-04-17 20:01:54 | 雌牛


⑤鼻環を装着する。
鼻環については、肥育牛の場合は不要と考えているが、繁殖雌牛の場合は、鼻環があった方が捕獲し易いことは事実である。
ただ、牛には鼻環があるが故に、鼻環を人が掴むことでの痛みがあるために、常に人から避ける体勢を取っているようである。
もともと無ければ、牛と人とのコミュニケーションにより、捕獲をいやがらないケースも多々ある。
群飼いで、連動スタンチョンを設置して管理する限りでは、鼻環は不要である。
足腰を鍛えるための引き運動をする場合や分娩癖の悪い牛の場合などは、鼻環がある方が便利なことはある。
また、共進会などに出品する場合も、鼻環がある方が格好が付く。
さて、鼻環の装着法であるが、農耕牛であった頃は100%鼻環が必要であった。
その当時、鼻環を装着する器具と言えば、梅など木質の硬い木を削った穿孔棒で鼻孔内の鼻中隔軟骨の最も薄い隔膜に穴を開け鼻環を付けていた。
その後65年頃から鼻環全体が塩ビ製でそれを装着する器具が出回るようになった。
その器具は鋏状のもので、鋏の刃の部分に丸い輪っぱがあり、予め鼻環をその輪っぱにセッティングしておくが、鼻環の両端は2cm程度離れたままである。
また鼻環の両端に工夫がなされ、片方が鋭利に尖り、もう一方の端は、片方の尖った先端がカチッとはまり込む構造となっている。
器具にセッティングしたまま、その尖った部分を鼻孔内鼻中隔軟骨の最も薄い隔膜に当てて、両方の柄を思い切り挟み込むことで、軟骨を突き抜け、鼻環の両端同志がうまくドッキングしてロックがかかり、鼻環装着がワンタッチに出来る構造になった。
それが現在でも一般的に利用されている。
鼻環が装着されたら、頬綱を付けて鼻環を固定するのが一般的なようであるが、むしろ固定しないほうが、鼻孔内の軟骨は丈夫で早く回復する。
将来、調教や共進会を目指す場合は、手綱を括る位置が木製の台木付きで従来型の鼻環が格好が付く。