牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

繁殖雌牛の育成(10)

2009-04-13 18:54:50 | 雌牛


③任意で家畜共済などに加入する。
家畜共済については、牛に掛ける健康保険様のものであるが、畜主全員が加入しなくてはならないというものではなく、任意での加入となる。
和牛の繁殖牛と肥育牛や酪農とは、加入の内容が若干異なっているようである。
肥育牛などでは、生産地の地元農業共済が管轄する範囲内によって、疾病率や死廃率が高ければ、その地域の共済掛け率も高く、低ければ掛け率も低くなるシステムになっている。
また家畜共済は、疾病にかかる保険と死廃にかかる保険の2本立てから成っている。
疾病時の診療については、初診料が通常1,050円で、土日祝日と夜間は2,100円を畜主が負担するが、診療費については保険が適用される。
この共済制度は、加入後、無制限に保険が適用されるものではなく、疾病等の診療についても死廃についても、その上限が設定されている。
経年的に、診療等の利用率が少なく、その限度額に大幅な差が生じている場合は、3年ごとの見直しで、掛け金率も下がるが、加入者の要望で掛金のランクを引き下げることも出来る。
その場合、保険金額の上限がさらに下がったり、死廃の対象還付額が低くなるケースもあるが、いずれにしても、自らの飼養管理の結果、疾病率等と掛金とのバランスを考慮にして、効率的な加入を考慮することも必要ではないだろうか。
要は、共済制度のシステムを熟知してから加入しないと、死廃等が生じた時に、思惑違いの結果を招くことがある。

最近は、獣医師自身が畜主という例もあり、また牛をテキスト通りに支障なく飼養管理したり、それ以上の熱意で管理している畜主などで、疾病率や事故率が極力少なく、飼養管理に自信のある場合は、未加入のケースがあると聞く。
同共済に加入することは、疾病牛の治療を専門家に委ねることでのプラス面が多々あったり、患畜が出た際に、的確に対処できるのも獣医師である。
獣医師の指導を受けることで、徐々に疾病率が低下することにより、健康を取り戻すとともに、掛金率が下がるなどのメリットも生じてくる。
飼養管理の良し悪しによっては、必ずしも掛け損に至るとは言い難い。
繁殖雌牛の場合、餌の給与量の急変や盗食等による食滞、繁殖障害による診療などが予測できるため、同共済への加入は考慮に値する。