牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

繁殖雌牛の育成(5)

2009-04-04 13:48:03 | 雌牛


牛を飼うからには、役に立つ教本を身近に置くと便利である。
この様な技術本は、飼養技術に関する中身が日進月歩の如く進歩するために、少なくとも10年間隔で更新されたものを身近に置いて、参考にすることが何かと役に立つ。
最近発行の冊子が有る。それは日本飼養標準 肉用牛 (2008年版)で、平成21年3月25日に発行された。
以前のものより、肉用牛を飼養するための諸々の説明が詳細に記されている。
この一冊を身近に置くことで、牛に必要な栄養分やミネラル・ビタミン類や飼料成分表など餌に関する全てが理解できる。
本書では、枝肉評価や、疾患などの詳細も掲載されており、諸に牛飼いの目安となっている。
飼養標準に関する留意点なども詳細に記されている。
以前は、肥育牛に関しては、発育段階の体重毎の蛋白質や養分総量などを参考に、畜舎廻りにある粗飼料や濃厚飼料を当誌巻末にある飼料成分表を基に飼料計算して給与量を検討していたに過ぎなかった。
新版によると、総じて、頁数も増えて牛飼いの手引き書的になっている。
また、巻末にソフト(養分要求量計算プログラム)CD-ROMが添付されていて、個々の単味飼料の給与量を入力することで総量が計算でき、電卓を叩く必要がなく便利になっている。
牛飼い諸氏にも、是非本書を一冊入手して、健康的で効率の高い牛飼いを実践するための参考とされればと紹介した次第である。
本稿は繁殖雌牛の育成がテーマであるが、雌牛についても、生時から妊娠、授乳中の飼料設定が掲載されており、繁殖雌牛の育成の力強い手引き書になるはずである。
勿論、繁殖雌牛の日常管理と妊娠分娩や肥育についても同様である。
但し、子牛の飼い方に関しては、肥育現場が欲する飼い方であるかは、その肥育場での肥育法の違いにより、飼養標準が100%だとは言い難い面はある。
それは、研究機関などによる様々な実験結果がその基準となっているからである。
筆者もその関係機関に籍を置いた経験者であるが、子牛の育成や肥育レベルが実際の産業現場とは、かなり異なっているからである。
願わくば、これらの現場のデータが取り入れられていれば、より信頼性の高いものになったのではないかが筆者の感想である。

本紙は、中央畜産会が発行している。価格は1冊3,500円。
近くの畜産振興協会などで注文を受けている。


4月2日早朝、全国的に精液が供用され著名な勝忠平号が、急死したことをコメンターから知らされた。
平茂勝号の跡継ぎとして期待されていた種雄牛であった。
勝忠平号の功績を讃えるとともに、貢献に感謝し、冥福を祈る次第である。