まろの公園ライフ

公園から世の中を見る

サーカスの興奮

2012年12月23日 | 日記

先日、閉幕間際の「ルオー展」を観に行って来た。

ジョルジュ・ルオーはピカソやマチスと並ぶ
20世紀のフランスを代表する「フォービズム」の画家で
その激しい筆致と色彩表現で俗に「野獣派」などとも呼ばれている。

場所は汐留のパナソニックミュージアム。
史上最悪の赤字を抱え、数万人単位の人員削減に踏み切ったパナソニック。
ゴルフイベントなどのスポンサードも次々と打ちきりを決めたが
この美術館は大丈夫だろうか・・・と思いいつつ。

ルオーはかなり好きな画家である。
版画技法から学んだと言われる太く黒々とした輪郭線。
赤、青、黄などの原色を多用した輝くような色彩。
その激しいタッチは社会的な不正義への怒りの表現だと言われる。

今回は「サーカス」がテーマになっていた。
ルオーと言えば宗教画を思わせるキリストの絵などが有名だが
作品の3分の1はサーカスをテーマにしたもので
パリでは足繁く「サーカス小屋」に通い詰めて道化師などを描いた。
サーカスが大好きなオジサンだった。

会場もサーカス仕様になっていて楽しかった。
私もサーカス大好きだから絵を観ているだけでワクワクして来た。

やはり「道化師」の絵が圧倒的に多い。
鮮やかな色彩で描かれているが、どこかもの悲しさが漂う。
厚化粧と滑稽な動作で人を笑わせる「ピエロ」はサーカスにはつきものだ。
内面を偽って冗談や強がりばかり言っている人がいるが
私も含めて、誰しも「ピエロ」的な要素はある。

絵を観ていたら・・・
子供の頃に見た「木下大サーカス」を思い出した。
郷里の島根県時代、祖父と地元の興行主が知り合いだったこともあって
近くの空き地で催されるサーカスによく連れて行ってもらった。
子供心にも、あの赤いテントの中は実にスペクタクルな「小宇宙」であった。
空中ブランコ、猛獣ショー、曲芸、ピエロのパフォーマンス・・・
見るモノすべに興奮し、胸が高まった。
皆さんは、「木下大サーカス」、見たことありませんか?
今もあるのだろうか・・・と調べてみたら「木下大サーカス」は健在だった。

木下大サーカスのダイジェスト版をお楽しみください!

どうです、スゴイでしょう!
猛獣ショーも空中ブランコも迫力満点に進化していた。
私はオートバイが金網の中をグルグル回るショーが大好きだった。
いいなあサーカスは!非日常の極致だなあ!
新宿で唐十郎の「赤テント」を見た時も同じような興奮だったけれど・・・

東京・汐留のビル街を歩く。
誰だったか「人生はサーカスのようだ」と言った人がいた。
確かにそうかも知れないなあと思う。
人の世も光と影、悲喜こもごも
サーカスの舞台裏のように「猥雑さ」に満ちあふれている。