まろの公園ライフ

公園から世の中を見る

郷愁の庭

2012年12月07日 | 日記

公園の隅にフェンスに囲まれた「屋敷森」と呼ばれる一角がある。

かつて江戸時代の農家だった場所で
もう建物はないが当時の庭がそのまま残されていて
ジョギングの途中に、時々、覗いてみる。

森の中は公園の喧噪がウソのような静けさだ。
サクサクと降り積もった落ち葉を踏みしめながら歩く。
その足音だけが響く。

邸内にはまだ至るところに紅葉が残っている。
300年以上も前の農家のたたずまいが蘇って来るようだ。

ここに来ると決まって胸に「郷愁」がわきあがる。
私の郷里は島根県の出雲だが
我が家の庭と雰囲気がよく似ていて錯覚してしまうのだ。

ヤツデの花が咲いている。
庭の便所の横にもヤツデがあったなあ・・・などと思う。

確か真っ赤な南天の実もあった・・・

そうそう、母屋の脇に柿の木もあってよく登ったなあ・・・などと
思い出すとキリがないのである。

一番懐かしいのは井戸である。
玄関の横にこれと同じような井戸があって
二、三度ポンプをこぐと冷たい清冽な井戸水が勢いよくほとばしった。
夏は金たらいにスイカやビールを冷やした。
祖母が井戸端で洗濯をしていた光景も思い出す。
近所でも評判の腕白坊主だった私が泥だらけで家に帰って来ると
いつも素っ裸にして体を洗うのが母の仕事だった。
その時の水の冷たかったこと・・・

そんな我が家の庭も樹木が切られて今ではすっかり小さくなった。
鯉が泳いでいた池も埋められ、昔の面影はない。
茫々たる50年の歳月を思う・・・

帰りがけに庭でドングリを拾った。
うーん、デカイ!まるまると太った「クヌギ」のドングリだ。
昔は庭でよく拾ったなあ・・・と、またまた郷愁にひたるオジサンであった。

郷愁にひたり過ぎたら甘いものが欲しくなって
帰り道に「ミスド」を買ってしまった。
医者からは甘いものは止められているので我慢して二個だけにした。
美味しかったが「郷愁」の味はしなかった・・・