年の瀬で忙しいと言うのに・・・
年内の仕事がまだ終わってないのに・・・
美術館に行って来ました。
広尾の山種美術館です。
展覧会は「東山魁夷と日本の四季」です。
年末になると決まって「あの絵」が見たくなるのです。
東山魁夷は国民的な人気を誇る日本画家です。
若い頃は余りに完璧過ぎるその「様式美」が鼻もちならなくて
正直、好きではありませんでした。
でも、年を重ねるに連れてその様式美の向こうにある深い精神性に気づき
ドンドン、好きになって来たのです。
文句のつけようがない構図です。
赤と黄の鮮烈なコントラストが目に焼き付いて離れません。
でも、画家が本当に描きたかったのは紅葉の彼方の山の稜線ではないでしょうか。
薄暗いブルーが心の奥底を震わせるようです。
「白い朝」という作品です。
雪景色の中で寒そうに体をすぼめているのはキジバトです。
「デデッポー」と鳴きます。
どこにでもいるありふれた野鳥ですが気品を感じます。
絶筆となった「夕静寂」です。
個人的には風景画にこれほどの「孤独」を感じる作品はありません。
もちろん独断と偏見ですが・・・(笑)
見たかったのはこの作品「年暮る」です。
暮れになると決まってこの絵が見たくなってしまうのです。
時は大晦日、音もなくしんしんと雪が降りしきる京都の町屋の屋根です。
作家・川端康成から「早く描かないと京都が消えてしまうよ」と奨められて描いた作品です。
実際、いまの京都にはもうこんな風景はありません。
これも静寂が支配するブルーの風景ですが
私は白々とした屋根の連なりに不思議な「温もり」を感じます。
皆さんはいかがでしょうか。
今年もご来訪ありがとうございました。
どうかいいお年を・・・