まろの公園ライフ

公園から世の中を見る

銅版画とマグロ

2012年12月13日 | 日記

足立区千住にやって来ている。
ブラリと町散歩を楽しんだが、もともとの目的はここである。

石洞美術館。
聞き慣れない名前の美術館だったが
金属関係の会社が社屋の一角を美術館スペースにしている。

銅版画家「駒井哲郎」さんの展覧会である。
佐藤千壽さんというコレクターがこの金属会社のオーナーらしい。
恥ずかしながら「銅版画」というものをほとんど知らない。
昔、インスタントコーヒーのCMに山本容子さんという銅版画家が出ておられた。
ブームになった「違いがわかる・・・」シリーズの女性版だったが
卑俗な私は銅版画家がどうしても「同伴画家」に聞こえて仕方がなかった。
ホステスさんの同伴出勤じゃあるまいし・・・



駒井哲郎さんは昭和初期に活躍した版画家である。
同時代の棟方志功に比べるとマイナーだが日本の銅版画の先駆者である。
モノクロームの世界で自己の内面や夢、幻想などを表現する独特の作風で知られる。
サンパウロ・ビエンナーレで入賞、東京芸大の教授もつとめられた。

銅版画とは銅製の金属板に鉄筆を使って絵を描く版画である。
一般にはエッチングなどと呼ばれる。
木を彫るのが木版画、金属に絵を描くのが銅版画。
鉄筆だから木版画に比べると硬質で表現も微細な印象になるようだ。

モノクロームだけでなく青一色の世界もあった。
深海を泳ぐ魚だろうか、どこか深い孤独も感じさせる。
抽象あり、具象あり、デザイン風あり、駒井さんの世界は多岐にわたる。

この魚はホノボノとして、とってもよかった!
版画というと昔、年賀状を版画でつくったことがあるぐらいだが
エッチングもやってみたいなあ・・・と思った。

一番気に入ったのがコレだった。
ずんぐりとした酒瓶にバスケットに入れられたパン。
細かくひっかかれた鉄筆の粗い線と彫り痕が心象風景にも見える。
寒々としているが不思議な気高さがある。

展覧会を観終わった後
昼飯を食おうとブラブラ歩いていたら市場があった。
「千住の魚河岸」というキッチフレーズに思わず惹かれてしまった。

すでに活気のある時間は過ぎて閑散としていたが
場内には仲買人相手の寿司屋やウドン屋などが軒を並べている。

そんな中で選んだのがこの店だった。
かなりくたびれた印象の喫茶店ではあったが
この品書き看板に迫力があった。

うーん、スゴイ、よりどりみどりだ!
いかにも市場らしく営業時間は朝5時から昼の2時までである。
「コーヒー100円」は有り難いし「ゆっくり食事40席」もなかなかいい!
私、市場の食堂は大好きなのである。

いろいろ迷ったが・・・
「海老フライとまぐろブツ」定食にした。
大ぶりでプリプリの海老フライも美味かったが
まぐろのブツは中トロも混じっていて絶品だった、味噌汁もうまかった。
身も心も満腹になった一日だったぜ!