まろの公園ライフ

公園から世の中を見る

冬の茨木のり子

2016年11月30日 | 日記

北風がピープー吹き抜けていきます。
冬来たりなば・・・なんて詩のフレーズが浮かびましたが
春はまだまだ遠い夢物語ですねえ。

やっと原稿を書き終えてホッとひと息。
条件反射で猛然と本が読みたくなって本棚を漁りました。
最近は新聞に目を通すのがやっとの状態で
ゆっくりじっくり本を読む時間がないのがとても残念です。
こんなことでは人間が堕落するなあ・・・
などと思っていたらこんな本が目に止まりました。



世田谷文学館の「茨木のり子」展に行った時の図録です。
確か二年前の四月だったか五月だったか・・・
すっかり忘れていてホコリをかぶっていました。
心に沁みるようないい展覧会でした。
詩の原稿や草稿はもちろん、詩人仲間との書簡集などもあって
実に興味深く会場を見て回った記憶があります。
とくに東伏見にあった彼女の自宅が
お気に入りの家具やこだわりの雑貨とともに再現されていて
すっかり興奮してしまいました。
彼女の詩は頭の中で構築した難解な言葉ではなく
生活の中から自然に紡ぎ出した言葉だったのでしょうね。



ポートレートが数多くありました。
どこか向田邦子さんに似ていると思うのは私だけでしょうか・
理知的で品があってキリリとした気骨を感じます。

  「倚(よ)りかからず」

  もはや
  できあいの思想には倚りかかりたくない
  もはや
  できあいの宗教には倚りかかりたくない
  もはや
  できあいの学問には倚りかかりたくない
  もはや
  いかなる権威にも倚りかかりたくはない
  ながく生きて
  心底学んだのはそれぐらい
  じぶんの耳目
  じぶんの二本足のみで立っていて
  なに不都合のことやある
  倚りかかるとすれば
  それは
  椅子の背もたれだけ

彼女はいつも胸に「決意」を光らせて
詩と格闘していましたね。



茨木のり子の詩が他の人と違うのは
その言葉の奥底に深いユーモアがあることですね。

   「一人は賑やか」

  一人でいるのは 賑やかだ
  賑やかな賑やかな森だよ
  夢がぱちぱち はぜてくる
  よからぬ思いも 湧いてくる
  エーデルワイスも 毒の茸も

  一人でいるのは 賑やかだ
  賑やかな賑やかな海だよ
  水平線もかたむいて
  荒れに荒れっちまう夜もある
  なぎの日生まれる馬鹿貝もある

  一人でいるのは賑やかだ
  誓って負け惜しみなんかじゃない
  一人でいるとき淋しいやつが
  二人寄ったら なお淋しい

  おおぜい寄ったなら
  だ だ だ だ だっと 堕落だな

  恋人よ
  まだどこにいるのかもわからない 君
  一人でいるとき 一番賑やかなヤツで
  あってくれ

一人が賑やかと感じる感性は素晴らしいですね。
私も一人が大好きな人間ですが
一人でいると「よからぬ想い」も湧いて来ます。(笑)


グローバリズム

2016年11月29日 | 日記

週末の公園は大賑わいでした。
紅葉狩りならぬ「銀杏見物」の人、人、人。
神宮外苑のイチョウ並木も相当な人出だったようです。

もう間もなく師走ですねえ。
2016年は歴史に残る年になるような気がします。
6月には英国のEU離脱決定、11月には米大統領選でトランプ勝利。
いずれも歴史的快挙と呼ぶべき想定外の「事件」でした。
世界中のマスコミや有識者が束になっても
誰一人予想できなかったというのが何とも痛快です。
この二つの事件は一見無関係に思えますが
本質的にはほとんど同一のものではないでしょうか。

今や世界の常識となった「グローバリズム」。
確かにヒト・モノ・カネは自由かつ大量に国境を越えましたが
その結果もたらされたのは何だったのか?
世界規模で貧富の差が急拡大し
持てる者と持たざる者とに国民が二分された格差社会。
同時に移民の増大によって社会や教育が混乱し
テロなどの治安の悪化を招きました。
グローバリズムの恩恵に預かったのは大企業と
エスタブリッシュメントと呼ばれる一部の支配層だけで
中産階級の庶民は完全にカヤの外でした。

政府、金融、メディアなど支配層が推し進める
弱肉強食のグローバリズムによって生まれた大量の社会的弱者。
その悲惨に敢然と立ち上がったのが
移民排斥と自由貿易からの撤退を掲げるトランプであり
移民とEUのグローバリズムに反逆する
英国民ではなかったでしょうか。
いわばその「怒り」が今回の歴史的快挙を生んだ!
いささか偏った見方でしょうか。



トランプは品のない
無教養の不動産屋かも知れませんが
コア・アジェンダである移民排斥と自由貿易の破棄は
かなり本気でやるような気がしますね。
世界は一気に混乱と反グローバリズムの時代へ突き進みます。
そのトランプに何の戦略もなく
真っ先にヘコヘコと会いに行った安倍首相には
いったいどんな世界観があるのか・・・
日本もこれからが大変ですよ。


夏蜜柑の見かけ倒し

2016年11月28日 | 日記

冬が来るのに
夏ミカンとはコレいかに?
なんて馬鹿なことを言ってみたくなります。



夏ミカンが鮮やかに色づいています。
見ているだけで酸っぱい唾がこみあげて来ます。
でも、なぜ冬なのに夏ミカンなのか・・・
実はこの季節の夏ミカンは余りに酸っぱすぎて
とても食べられたものではないそうです。
年が明けて初夏の頃になってようやく食べ頃になるので
誰が名づけたか夏ミカン。
厚い皮を剥くと中から鮮烈な果汁がほとばしって
ああ、考えただけで酸っぱい唾が・・・(笑)

夏ミカンと言えば山口県の萩を思い出します。
藩政時代、武士の内職に夏蜜柑の栽培が奨励された萩は
今も城下町のいたるところに立派な夏ミカンの古木が残っています。
この季節、武家屋敷の塀沿いには黄色い夏蜜柑が鈴なりで
それはそれは風情のある眺めです。
でも、冬場の夏ミカンは見かけ倒しです。(笑)



こちらにも夏ミカン・・・
と思ったら、カリンの実でした。
楕円形の果実が見るからに美味しそうに色づいてますが
これも渋くて固くてとても生では食べられません。
砂糖漬けや果実酒にするのが一般的で
夏ミカンと同様に
色はいいけど「見かけ倒し」と言ったところでしょうか。

連日、退陣要求のデモが続く韓国。
一国の大統領がここまで晒し者になるのも
国民の批判に対して頑なに沈黙を守り通す態度も
あきらかに異常事態です。
就任当初は「国民統合のオモニ」として人気も絶大だった朴大統領。
どこでどう間違ってこんな事態になったのでしょうか。
骨の髄まで地縁、血縁が沁みついた韓国社会。
もはや逮捕は避けられない状況で
この人もとんだ「見かけ倒し」でした。



カワウソ君の名前は?

2016年11月27日 | 日記

コンビニの前で喫煙中。
どこからともなく犬連れのご婦人がやって来て
犬をつないで店内へ消えました。

小さくて可愛らしい犬です。
その顔が何かに似ているなあと思いつつ
なかなか思い出せません。
犬の種類に関しては全く門外漢なのでさらにわかりません。
この手の耳が垂れた犬はよく見かけるのですが・・・

ご主人様の姿が見えなくなったら
不安なのか周囲を見回してはキョロキョロ、ソワソワ。
どうも落ち着きがありません。
正面からちゃんと写真を撮ってやろうと思うのですが
なかなかこっちを見てくれません。

店内から宅急便のおにいちゃんが出て来ました。
よほどの犬好きなのか
ワンちゃんを見るなり嬉しそうに駆け寄って来ました。

  「おお、お前、カワウソにそっくりだなあ!」

そうか、カワウソか!
その言葉で一瞬にして腑に落ちました。
確かにカワウソによく似た愛嬌のある顔をしています。
おにいちゃんはカワウソ君の頭を撫でようとしたのですが・・・

  「グルルル・・(唸り声)」
  「そうか、そうか、イヤなのか」

おにいちゃんは残念そうな顔で去って行きました。



やっと正面を向いてくれました。
何ともトボけた味があって可愛い犬ですねえ。
もっと近づいてアップを撮ってやろうと思ったのですが・・・

    「グルルル・・(唸り声)

私も嫌われてしまったようです。
このカワウソ君は何という種類の犬なのでしょうか。
どなたか教えて頂けませんか?


吉例!べランダ紅葉

2016年11月26日 | 日記

お待たせしました!
めでたいかどうかはよくわかりませんが
今年もベランダ紅葉の季節です。

しがない団地暮らしでも
この季節が来るとちょっと心が浮き立ちます。
残念ながら今年も「紅葉狩り」には行けませんでしたが
せめてベランダから紅葉を楽しみたい。
いじましいような庶民の知恵です。

団地の紅葉も今がピークです。
赤も黄色もオレンジも緑も混然一体となったベランダ紅葉。
幸い周囲は樹木の種類も多くて
わざわざ高い金を払って観光地に出かけなくても
居ながらにして紅葉が楽しめます。
ハイ、もちろん無料です。

紅葉は見上げるのが一般的ですが
上から見下ろす紅葉というのもなかなか迫力があります。
世の中を睥睨し天下を取ったような気分です。
取ったことありませんが・・・
毎日毎日、時々刻々と葉っぱの色合いが変化して行きますねえ。
味気ない団地暮らしでも確かな「自然」を感じます。

ケヤキの奥深いグラデーションがいいですねえ。
手前の赤はイロハ紅葉でしょうか。
一昨日はこの紅葉が一面の雪化粧となって美しかったです。
あの時ならぬ11月の積雪以来
急に冷え込んで来て股引を引っ張り出しました。(笑)

いかがですか?
ベランダ紅葉お楽しみいただけたでしょうか。
最後に杉作選による紅葉の名句を・・・

   日の暮の 背中淋しき 紅葉哉 (一茶)

   うらを見せ おもてを見せて 散るもみぢ (良寛)

   古寺に 灯のともりたる 紅葉哉 (子規)

また来年の紅葉でお会いしましょう。