やっと仕事が一段落ついて
昨日は心置きなく「公園のオジサン」となった。
まばゆい初夏の陽射しを浴びて走る。
紫陽花もちらほら咲き始めてそろそろ梅雨の気配だ。
蝶が「無心」で飛び回る姿を見ると心が和む。
人慣れしているのかカメラを近づけてもじっとしている。
ん、草むらに何か赤いものが・・・
ヘビイチゴだった。
蛇が食べるからその名がついたという説もあるし
イチゴを食べに来る小動物を蛇が食べるから名前がついたとも言われる。
いったいどっちやねん!
泰山木の花も開き始めた。
匂いを嗅いでみたいが高くて届かない。
泰山木を見るといつも「泰然自若」という言葉が浮かぶのは何故だろう。
映画監督の新藤兼人さんが亡くなったという知らせを聞いた。
享年100歳、まさに「泰然自若」として生きた映画人だったと思う。
ついこの間、新作「一枚のハガキ」の公開にあたって
お元気な姿を拝見したばかりだったのでちょっと意外だった。
二度ほどお顔を拝見したことがある。
若い頃、私が通っていたシナリオ学校に講師で来られた。
親しくお話をしたことはないが、柔和な笑顔で朴訥な広島弁が印象的だった。
ただ、映画を語る時は「眼光鋭く」ちょっと怖い感じもあった。
一般的には映画監督だが、優れた脚本家でもあった。
ご自身は「社会派」と呼ばれる骨太な映画をコツコツと作り続ける一方
他の監督の映画にも脚本を提供され、ヒット作も多かった。
黒沢明が映画界を代表するスター監督なら、それとは見事に対照的だった。
つねに資金繰りに窮する弱小映画会社「近代映画協会」を率い
まさに「地を這うよう」に映画をつくり続けた雑草の趣があったように思う。
その後、ATGを始めとする数多の独立系映画会社が雲散霧消する中
近代映画協会は今なお健在で、世に作品を送り続けている。
それはひとえに新藤さんの力ではなかろうか・・
心に残る作品はいくつもある。
音羽信子さんとの運命的な出逢いとなった「愛妻物語」は忘れられない。
中でも「裸の島」は鮮烈だった。
セリフが一言もない「映像詩」でありながら実にドラマチックな作品だった。
心をわしづかみにされるような映像の力に感嘆した記憶がある。
それにしても100歳はすごいなあ、と思う。
先日、引退宣言はされたものの「生涯現役」だった。
私も生涯現役でありたいとは思うが、果たしてそんな情熱を維持できるかどうか・・・
生きていても「死んでいるような」人間が多い中
晩年の新藤さんは色紙を求められると、決まってこの一言をしたためたと言う。
いみじくも山田洋次監督が口にしたように
「仰ぎ見るような」映画界の巨人だったと思う。合掌!