まろの公園ライフ

公園から世の中を見る

水戸黄門様の庭園

2012年01月22日 | 日記

東京ドームと言えば都内を代表する観光施設だが
そのすぐ隣にもう一つの知られざる「名所」があるのを知っていますか?
東京に初雪が降った日、所用を終えた後、ちょっと足を延ばしてみた。

延々と続く白壁がかつての「大名屋敷」を彷彿とさせる。
なんと東京ドームの倍以上の広さがあると言うから驚いてしまう。

東京都の特別名勝「小石川後楽園」だ。
水戸徳川藩の始祖・頼房の中屋敷だった場所を
後に二代目藩主・光圀が回遊式築山泉水庭園として整備したと言う。

とにかく広いなあ・・・というのが第一印象。
この季節の風物詩である「雪吊り」も他の庭園に比べてデカイ!

茅葺きの屋根に降り落ちた名残りの紅葉も風情タップリ。
黄門様もこの東屋の縁台に腰掛けて紅葉を楽しんだのだろうか。
光圀は「天下の憂いに先だって憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」
という意味で後楽園と名付けたと言う。
まさに天下国家を考え続けた副将軍だった訳だなあ・・・

そう言えば・・・亡くなった私の父も「天下国家」を論じるのが大好きだった。
国民学校の教師で応召、陸軍予備士官学校を出て満州から南方戦線へと従軍。
ボルネオの端っこの孤島で終戦を迎えた根っからの軍人だった。
階級は大尉だったから軍人としてはかなりのエリートだったと思うのだが
戦後は自衛隊からの誘いもキッパリと断り、ふたたび教壇に戻ることもなく
一介のサラリーマンとして平々凡々の人生を生きた。
実はその親爺の口癖が「先憂後楽」だった。
これは「先に苦労をすれば後に楽ができる」という意味でもあるのだが
結局、貧乏サラリーマンで終わってしまった自分の人生をどう思っていたのだろうか。
不肖の息子だが、私はそんな父を心から尊敬している。

池の向こうに見えるのが東京ドームの屋根。
ふたたび雪まじりの氷雨が降り始めてとにかく寒い。

そんな中で「フユザクラ」が健気に咲いている。

へえ!「寒ボタン」も咲いている。
藁づくりの囲いで寒さから守ってやるのが定番なんだよねえ。

奥まったところに西行法師の歌碑があった。

   道のへに しみづながるる 柳かげ しばしとてこそ 立ち止まりつれ

西行法師は全国津々浦々を旅して歩いたデラシネの歌人だった。
もともとは北面の武士の家柄で相当なエリートだったのに
すべてを捨てて「漂泊」の人生に身を投じた姿は、ちょっと親爺に似ているような・・・

   願わくは 花の下にて春死なむ そのきさらぎの 望月の頃

降りしきる霙(みぞれ)の中で立ちすくむ女性。
カメラが見えたから写真を撮っているのだと思うのだが
その思いつめたような後ろ姿にちょっと鬼気迫るものがあった。

ちょうど昼時になったので
冷え切った体を温めようと園内の「涵徳亭」という料亭へ。
いかにも由緒ありそうな古い木造の建物で和室の窓からは冬木立が眺められる。

注文したのが630円の「後楽園定食」。
生ビール320円を合わせても1000円しないというリーズナブルさがスゴイ!
お弁当もビールも大変美味しくて大満足。

出口でしっかりスタンプも押して家路についた。
冬の日の小石川後楽園、人も少なくてなかなかおすすめですよ!