小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)7月17日(水)より転載】
奮迅63(7/17)
山本伸一は、話をついだ。
「私は、埼玉を“妙法のロワール”と呼びました。
フランスのロワール地方は、工業も発展していますが、緑が豊かで、美しい古城の多いところです。
ナポレオンもロワール地方に注目し、執政政府時代、外務大臣のタレーランに、ロワールの城のなかでも、とりわけ美しいバランセ城を購入するように勧めています。
そして、ここに各国の要人を招いて、外交の舞台にします。
いわば、洗練された文化の力をもって、ロワールで外交戦を展開させたんです。
私が、『埼玉は、妙法のロワールたれ!』と訴えたのは、“外交で勝利し、世界のどの地域よりも、学会理解の輪を広げてほしい”との意味が託されているんです」
埼玉には、伸一は渉外部長としても、足を運んだことがあった。
彼は、常に勇気をもって、誠実に誠実を尽くして、どんな相手にもぶつかっていった。
ある時、戸田は、伸一に言った。
「外へ出れば、学会全体を代表しているのである。
個人ではない。
学会の代表という自覚に立つことを忘れてはならない」
また、学会員が不当な迫害を受け、その対応のため、現地に出向いた青年幹部がいた。
彼は、抗議もできず、言うべきことも言わずに帰って来た。
すると戸田は、烈火のごとく怒り、指導した。
「会員を守れぬような臆病者は去れ! 意気地なしは学会から去れ! 学会と生死を共にする者だけが真実の同志だ」
勇気のない青年に、勇気を奮い起こそうとしない人間に、戸田は厳しかった。
勇気がなければ――最愛の会員を守れないからだ。
広宣流布の勝利はないからだ。
自分自身をも不幸にしてしまうからだ。
仏・菩薩の生命を具えているがゆえに、勇気は本来、万人がもっているのだ。
要は、それを奮い起こそうとするかどうかだ。
学会活動の場で培った勇気こそが、人生の困難の障壁に体当たりしていく闘魂となるのだ。
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【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)7月17日(水)より転載】
奮迅63(7/17)
山本伸一は、話をついだ。
「私は、埼玉を“妙法のロワール”と呼びました。
フランスのロワール地方は、工業も発展していますが、緑が豊かで、美しい古城の多いところです。
ナポレオンもロワール地方に注目し、執政政府時代、外務大臣のタレーランに、ロワールの城のなかでも、とりわけ美しいバランセ城を購入するように勧めています。
そして、ここに各国の要人を招いて、外交の舞台にします。
いわば、洗練された文化の力をもって、ロワールで外交戦を展開させたんです。
私が、『埼玉は、妙法のロワールたれ!』と訴えたのは、“外交で勝利し、世界のどの地域よりも、学会理解の輪を広げてほしい”との意味が託されているんです」
埼玉には、伸一は渉外部長としても、足を運んだことがあった。
彼は、常に勇気をもって、誠実に誠実を尽くして、どんな相手にもぶつかっていった。
ある時、戸田は、伸一に言った。
「外へ出れば、学会全体を代表しているのである。
個人ではない。
学会の代表という自覚に立つことを忘れてはならない」
また、学会員が不当な迫害を受け、その対応のため、現地に出向いた青年幹部がいた。
彼は、抗議もできず、言うべきことも言わずに帰って来た。
すると戸田は、烈火のごとく怒り、指導した。
「会員を守れぬような臆病者は去れ! 意気地なしは学会から去れ! 学会と生死を共にする者だけが真実の同志だ」
勇気のない青年に、勇気を奮い起こそうとしない人間に、戸田は厳しかった。
勇気がなければ――最愛の会員を守れないからだ。
広宣流布の勝利はないからだ。
自分自身をも不幸にしてしまうからだ。
仏・菩薩の生命を具えているがゆえに、勇気は本来、万人がもっているのだ。
要は、それを奮い起こそうとするかどうかだ。
学会活動の場で培った勇気こそが、人生の困難の障壁に体当たりしていく闘魂となるのだ。
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