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11月 20日

2021-11-20 06:16:49 | Weblog
                        水鳥・浮寝鳥・鴨・鴨の陣


     尻向けて水鳥のみな無防備に        栗田やすし


     地を歩くときの楽しさ鴨の顔        沢木欣一


     鴨射ちの下げたる鴨の目は見ざり      細見綾子


     水鳥が宙で捕へしパンの耳         河原地英武


     荒波にしやくられづめの浮寝鳥       矢野孝子


     鴨の陣ひとつが抜けて崩れける       丹羽康碩


     賀茂川の夕日かきまぜ鴨遊ぶ        武田稜子


     はばたいて浮寝鳥とはまだなれず      鈴木みや子


     夕鴨の水脈を連ねて遠ざかる        小長哲郎


     早暁の水面を揺らす鴨の群         武藤けい子


     浮寝鳥コンビナートの灯と揺るる      橋本 淳


     百の鴨翔たせて湖の乱反射         熊澤和代



          



     鴨のこる池が真中競馬場          飯島晴子


     その夢も薄墨いろか浮寝鳥         鍵和田釉子


     浮寝鳥橋の下まで夕日さす         角川春樹


     かたまつてゐて水鳥の隙間かな       綾部仁喜


     水鳥に瞑る昼のありにけり         宇多喜代子


     鴨飛来水没村の墓碑をかすめ        伊丹三樹彦


     水鳥の胸の寄り合ひつつ流れ        石田郷子



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。あと少しです
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11月 19日

2021-11-19 07:02:21 | Weblog
                       落葉・落葉山・落葉道・朴落葉ほか


     朴落葉少しの風に遠く飛ぶ         細見綾子


     頬杖の卓屋根滑る夜の落葉         沢木欣一


     音立てて踏む子規庵の柿落葉        栗田やすし


     城跡へ踏むたび匂ふぬれ落葉        岸本典子


     トンネルの奥の奥まで椎落葉        丹羽康碩


     平家谷くるぶしまでの朴落葉        佐藤とみお


     朴落葉はりつく雨後の石畳         伊藤範子


     堆き銀杏落葉の明るさよ          武藤光晴


     はけに沿ふ小径に乾く柿落葉        藤本いく子


     むくろじの落葉踏みしむ翁道        河合義和


     夕風に落葉急なる桶狭間          坪野洋子


     幇間の碑の辺落葉の吹き溜まり       ころころ




          


          



     手が見えて父が落葉の山歩く        飯田龍太


     セーヌ流れわが靴音に落葉降る       深見けん二


     からからと落葉追ひ来て追ひ越しぬ     星野立子


     こつそりと絵馬掛けてきし落葉径      今橋真理子


     ニコライの鐘の愉しき落葉かな       石田波郷


     わがための珈琲濃くす夜の落葉       福永耕二


     むさしのの空真青なる落葉かな       水原秋櫻子



          

           すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。あと少しです
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11月 17日

2021-11-17 05:09:38 | Weblog
                       枯蟷螂・蟷螂枯る


          蟷螂(かまきり)は、あたりが枯れゆくに従って保護色の枯葉色に変わってゆ き
          しだいに生気もなくなりやがて死んでしまい、この様態を蟷螂枯 るといいます



     手を合はせ行き所なき枯蟷螂        細見綾子


     疑えば卓の蟷螂褐色に           沢木欣一


     人の顔して蟷螂の枯れゐたり        下里美恵子


     枯れてゆく蟷螂すがる指の先        栗田せつ子


     枯れ蟷螂戸口の風に揺れてをり       藤田岳人


     蟷螂の枯れて日向に仁王立ち        伊藤旅遊


     枯れきつて蟷螂の目の赤み増す       足立サキ子


     暮れてなほ窓を離れぬ枯蟷螂        平松公代


     つまみあぐ枯蟷螂のみどりの目       武山愛子


     枯蟷螂ふるれば斧をふり上ぐる       垣内玲子


     荒壁に夕日浴びゐる枯蟷螂         掛布光子


     枯蟷螂俳聖殿に斧かざす          林 尉江



          



     枯れてなほ蟷螂の眼に夢の色        兼久ちわき


     一条のみどり残れる枯蟷螂         横山房子


     逆しまにポストをのぞく枯蟷螂       尾沼チヨ子


     電流の枯蟷螂に走りけり          奥坂まや


     蟷螂の枯れゆく脚をねぶりをり       角川源義


     枯蟷螂生きる証の斧動く          栗山妙子


     逆しまにポストをのぞく枯蟷螂       尾沼チヨ子


           今日ご紹介の兼久ちわきさんはころころのブログ友だちです
           山口県宇部市在住で現在「早苗」「馬酔木」同人、当地で様々な俳句指導をされています

           枯れ逝く蟷螂の眼に夢の色を見た、その夢は何だったのでしょう
           私は98歳で逝った祖母の慈眼をはたまた
           先ほど逝去された寂聴さんの手を合わせながらの笑顔の説法が浮かびました

           
      



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。あと少しです

          (明日18日のブログはお休みさせて頂きます)
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11月 16日

2021-11-16 05:45:41 | Weblog
                        実南天・南天の実


          南天の花は6~7月ころ六弁の白い花を付けて、10月ごろ結実し翌年春まで残り枝先に群がった
          実は晩秋から初冬に真っ赤に色づく。「難を転ずる」に通じることから、
          鬼門や水周りに植え る事が多いのです



     南天の実に惨たりし日を憶ふ          沢木欣一


     ふるさとに南天の実と石路の花         細見綾子


     船倉の壁に影濃き実南天            栗田やすし


     南天の実の赤々と師の忌日           澤田正子


     表札の墨褪せてをり実南天           山 たけし


     実南天蔵に出入りの藁草履           栗田せつ子


     酢の倉の庭に鳥居や実南天           幸村志保美


     四間道の低き軒端に実南天           伊藤登美江


     灯籠に触れて色濃き実南天           大津千恵子


     実南天町家に残る屋敷神            日野圭子


     実南天朝日に紅を深めたり           関根近子


     実南天綾子生家に蔵二つ            熊谷タマ



          



     しぐれたるあとの日が射し実南天        鷲谷七菜子


     一株は白南天や石道寺             星野麥丘人


     うつくしき夕映のあり実南天          角川春樹


     存命の父母を軽んず実南天           正木ゆう子


     とやかくの家相を払ふ実南天          能村登四郎


     長命寺の尾長鳥けふ来ず実南天         石田波郷


     南天の実太し鳥の嘴に             高濱虚子



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。あと少しです



     
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11月 15日

2021-11-15 05:59:46 | Weblog
                       小春・小春日・小六月


     佐渡小春肩ゆたかなる百済鐘        沢木欣一


     めがね拭くことを幾度も小春かな      細見綾子


     若き日の友の文読む小春かな        栗田やすし


     叺干すそば屋の庭や小六月         岸本典子


     島小春礎の叔父の名をなぞる        佐藤とみお


     川下る舟に手を振る小春かな        小原米子


     木洩れ日に羽虫の光る小六月        武藤光晴


     奈良小春茶房に買へり干支ねずみ      谷口千賀子


     小春日や案内板に五カ国語          関根切子


     島ことばひとつ覚えし旅小春        小石峰通子


     潮風が匂ふ蓮如の寺小春          吉田幸江


     乳母車連なつてゆく小春かな        北村美津子



          


          



     あけ放す窓は上野の小春哉         正岡子規


     どの道をゆくもかへるも園小春       上村占魚


     小春日や孤りかたぶく十字墓        石田 波郷


     出かけたく家居もしたく小六月       石井とし夫


     小春日の肘になじみて袖机         鷹羽狩行


     うなぎ屋のうの字のながき小春かな     倉田春名


     お待ちする小春心をふくらませ       竹下陶子



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。あと少しです
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11月 14日

2021-11-14 05:54:13 | Weblog
                       藪巻・菰巻・菰巻く 


          菰巻きはマツカレハなどの害虫から守るために、松の幹に藁でできた菰を巻きつける。
          啓蟄にこの菰を越冬した虫とともにはずすのが恒例になっているようです 写真の菰巻きには結び目に
          縄で飾りがしてありました お洒落ですね
          また藪巻きとも呼ばれ躑躅や桜の若木をぐるぐる巻きにされている物もあります
          菰巻き・藪巻きは冬の、菰はずしは春の季語になっています
          東京文京区にある大名庭園六義園では例年は立冬のころからその準備に入るようです



     菰巻かれ三河黒松獣めく             下里美恵子


     菰巻の結ひしばかりの縄匂ふ           内田陽子


     菰巻くや亀甲荒き松の幹             小田二三枝


     藪巻や飾り結びの一と並び            平松公代


     木賊にも藪巻したる陸奥の寺           近藤文子


     腰高に菰巻く松や皇居前             内藤雅子


     菰を巻く仕上げの縄の花むすび          ころころ



          



     藪巻や晴を見にゆく日本海            森 澄雄


     藪巻や思はぬみちに植木畑            石川桂郎 


     松は菰巻かれはべりぬ浮見堂           片山由美子


     藪巻の松千本や法隆寺              細川加賀


     聞えさうなる菰巻きの息づかひ          国保泰子


     杜の端の藪巻が飛ぶ力溜め            佐藤鬼房


     菰巻の蘇鉄筋肉隆々と              山口誓子



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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11月 13日

2021-11-13 05:46:27 | Weblog
                       八手の花・花八手 


     炭を切る筵明るし花八ッ手           沢木欣一


     空広く声たまにくる花八ツ手          細見綾子


     暗きより牛が貌出す花八手           下里美恵子


     あと幾度訪ふ故郷や花八ツ手          小長哲郎


     猫出入り自在の地窓花八手           伊藤範子


     花八ツ手庫裡立て替への杭を打つ        神尾朴水


     出格子の残る商家や花八ツ手          山 たけし   


     花八つ手明神下に平次の碑           日野圭子


     白壁の剥げし味噌蔵花八ツ手          関根近子


     花八手引出し浅き楽譜入れ           松本恵子 


     白極む室生の里の花やつで           鈴木英子


     花八手活く煤色の野焼壺            玉井美智子



          



     どの路地のどこ曲つても花八ッ手        菖蒲あや


     花八ッ手生涯母は紅ささず           中嶋秀子


     老いはかく音もなく来る花八つ手        林 翔 


     君発たせ来し駅裏の花八ツ手          寺井谷子


     ぶつかつてきたる雀や花八つ手         石田郷子


     日の落ちて土の香しるき花八手         片山由美子


     出家には遺書などいらぬ花八手         無着成恭



          

           すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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11月 12日

2021-11-12 06:05:59 | Weblog
                       葱・葱畑・根深汁・根深引く・根深・ひともじ


     二人居の一人が出でて葱を買ふ       細見綾子


     教え子が来てどかと置く葱と蕪       栗田やすし


     ボーナスに縁なきくらし根深汁       国枝隆生


     漉き土間に朝採りの葱泥まみれ       栗田せつ子


     神輿蔵前ひと畝の葱の青          伊藤範子


     妻の留守温め直せる根深汁         丹羽康碩


     合掌家あふるる水に葱洗ふ         江本晴子


     のんべゑの父でありしよ根深汁       千葉ゆう


     窯詰めを終へたる夜の根深汁        武田稜子


     御油並木抜けて色濃し葱の畝        河井久子


     白ねぎを薄暮に抜けば匂ひ立つ       鈴木英子


     門灯をつけて葱抜く屋敷畑         市原美幸



          



     下仁田の土をこぼして葱届く        鈴木真砂女


     葱煮るや還りて夢は継ぎ難し        森 澄雄


     洗ひ上げて葱真白なり真直なり       林 翔


     この街は顔を洗ひし葱ばかり        櫂 未知子


     友訪わむさかさに提げて葱青し       寺山修司


     四五本の葱を束ねて船厨          井桁衣子


     深谷葱着きぬ鍋もの何々ぞ         水原秋櫻子



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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11月 11日

2021-11-11 06:09:02 | Weblog
                       冬菫・寒菫


     言葉少き日の縁下の冬すみれ          細見綾子


     教会の庭に屈めば冬すみれ           栗田やすし


     冬すみれ八雲ゆかりの猟師町          矢野愛乃


     赤土の崖すそ冬のすみれ咲く          金田義子


     城郭の日当たるところ冬すみれ         武藤光晴


     鷹匠の墓に一輪冬すみれ            奥山ひろみ


     戒名の無き母の墓冬すみれ           渡辺慢房


     アスファルト割つて一列冬すみれ        千葉ゆう


     冬すみれ咲く王陵の珊瑚垣           倉田信子


     冬すみれ潮騒の音吹き上ぐる          服部鏡子


     病院へ長きスロープ冬菫            小原米子


     椅子ひとつほどの日溜り冬すみれ        ころころ



          



     犬より荒き少年の息冬すみれ          鍵和田釉子


     磐石の割れ目に咲きて冬すみれ         津田清子


     藁葺きの王妃の館冬すみれ           三国眞澄


     子を生まぬこと冬菫愛さぬこと         夏井いつき


     風呂敷に形見を包む冬菫            伊藤敬子


     勝ち牛も負け牛も踏む冬すみれ         石 寒太


     冬菫校舎の上に海展け             宮津昭彦



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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11月 10日

2021-11-10 05:29:57 | Weblog
                       白菜・山東菜・山東白菜


     白菜の尻つややかに積まれあり       下里美恵子


     白菜を着けこむ庭や湖見ゆる        福田邦子


     白菜の尻を朝日に並べ干す         国枝洋子


     白菜を供へ明かるき飛鳥仏         沢田充子


     四つ割りの白菜山の日に並べ        中村たか


     色褪せて白菜畑にころがれり        佐藤きぬ


     大白菜ばさつと割りて縁に干す       青山美佐子


     白菜の四ツ割干せる陣地跡         二村満里子


     括られて白菜影を濃くしたり        夏目悦江



          

          



     白菜の山に身を入れ目で数ふ        中村汀女


     灯の洩れるあかるさ拾ひ白菜売       中山純子


     山の神と云はれ白菜漬上手         渡辺恭子


     丸洗いする白菜と腕時計          永瀬千枝子


     白菜は甘くあしたは恐ろしき        櫂 未知子


     白菜を離島の如く採り残す         能村研三


     鍋煮立つしゆんと白菜放り込む       星野 椿



          

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