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8月 22日

2020-08-21 13:42:50 | Weblog
                         稲の花


     クレヨンで塗る青空や稲の花          細見綾子


     竹薮の裾濃にけぶる稲の花           沢木欣一


     竹竿に乾く鵜網や稲の花            栗田やすし


     稲の花照らす放下の大切子           都合ナルミ


     やはらかき輪中の風や稲の花          上杉和雄


     稲の花母の遺せし鎌錆びし           中根多子


     飢ゑし日の遠くなりたり稲の花         上杉美保子


     稲の花咲くを待たずに逝きにけり        花村つね


     鳥海の裾が明るし稲の花            山本悦子


     田の中に朱き鳥居や稲の花           磯野多喜男



          



     かくれ咲くひとつの蓮や稲の花         水原秋櫻子


     みちのくの星低くして稲の花          正木ゆう子


     水口に石ひとつ置き稲の花           長谷川櫂


     大水が置き去りし岩稲の花           大峯あきら


     遠くほど光る単線稲の花            桂 信子


     大川を渡れば故郷稲の花            沼尻ふく


     さゆらぎて黄泉のあかるさ稲の花        能村登四郎



          


     
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8月 21日

2020-08-20 13:00:54 | Weblog
                         狗尾草、えのころ草、猫じゃらし


     空き地の子ゑのころ草をまぶしめり         細見綾子


     渡し舟待つや岸辺に猫じやらし           栗田やすし


     猫じゃらし風吹くたびに触れ合へり         奥山ひろ子


     空濠はゑのころ草の野となれり           国枝洋子


     夕暮の風と遊べり猫じやらし            太田滋子


     晴れ渡る登呂に赤毛のねこじゃらし         矢野愛乃


     猫じやらし手をつなぐ子のよく跳ぬる        内田陽子


     遺されし徳利に挿しぬ猫じやらし          安藤幸子


     やちむんの里背丈越すねこじやらし         只腰和子


     廃校の花壇一面猫じやらし             坂本操子


     雨過ぎし狗尾草に低き風              中山ユキ



          



     ゑのころの川原は風の棲むところ          稲畑汀子


     猫じゃらしローカル線の走る道           玉井梅子


     握りしむ狗尾草の穂のぬくし            松下 義幸


     草刈機ゑのころ草を噛みにけり           辻桃子


     こそばゆくなる沢山の猫じゃらし          太田土男


     捨自転車狗尾草に沈みをり             舘岡沙緻


     猫じゃらし触れてけもののごと熱し         中村草田男



          
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8月 20日

2020-08-19 14:34:41 | Weblog
                         柘榴・実柘榴


     岩群に翡翠天に石榴の実            沢木欣一


     受験生窓より寺の石榴とる           細見綾子


     下校児が跳んで撫でゆく柘榴の実        上杉和雄


     実柘榴やアルミ格子の相撲部屋         国枝隆生


     常滑の沖まで晴れて柘榴爆ず          矢野孝子


     実柘榴や戦中の惨よみがへる          田畑 龍


     石榴熟る吉野の空の薄曇り           林 尉江


     たわむまま風と遊べり柘榴の実         平 千花子


     水神の屋根にはぜたり石榴の実         加藤祐子


     実石榴に海の日が差す窯場道          掛布光子


     ざくろ熟る子規絶筆の句碑の裏         幸村志保美


     実石榴の一つ紅濃き翁寺            日野圭子



          



     露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す        西東三鬼


     昨日寸前今日また寸前熟れ石榴         林 翔


     石榴裂け吾が中に濃き鬼子母神         野見山ひふみ


     石榴割れたり月光に耐へきれず         夏井いつき


     柘榴の実欲しき顔なりゑくぼ持つ        水原秋櫻子


     実石榴や五戸より増えぬ隣組          手塚美佐


     実石榴や夕日の奥の絵本棚           能村研三



          


     
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8月 19日

2020-08-18 13:52:32 | Weblog
                         秋桜・コスモス


     咲きのこる白コスモスに山の風         栗田やすし


     コスモスの白が終わりのやうに咲く       細見綾子


     海よりの風にコスモス弾みけり         河原地英武


     星の夜のコスモス色を失へり          櫻井幹郎


     黒潮を越えて嫁くる秋ざくら          栗田せつ子


     見はるかす休耕田や秋桜            田畑 龍


     江ノ電に手を振る子等や秋桜          花村登美子


     幼子の声コスモスの迷路より          上杉美保子


     ホスピスへコスモスの道続きたり        牧 和代


     占ひは待ち人遠し秋桜             奥山ひろ子


     コスモスやいつもどこかが揺れてゐし      志知祥子


     川風にコスモスの色混ざり合ふ         鈴木真理子


     秋ざくら母と遊びし夢ばかり          玉井美智子



          



     コスモスに静の里を見すごしし         阿波野青畝


     風去れば色とり戻す秋桜            稲畑汀子


     コスモスの花ゆるがせて鼓笛隊         大河原一石


     コスモスの花の上行く肩車           大高時子


     枯るるまで風に従ふ秋桜            西村和子


     コスモスににらみをきかす赤ん坊        夏井いつき


     コスモスや片襷して水汲女           鈴鹿野風呂



          
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8月 18日

2020-08-17 13:18:04 | Weblog
                        鰯雲・鯖雲・鱗雲・羊雲

          さてさてこれらの雲の名称 違いが分かりますか? サイトの知恵をお借りすれば
          <うろこ雲は、いわし雲とも呼ばれ方もしますが、気象学的には巻積雲の一種に分類されます、
          秋を代表する雲で上空の高いところに発生します。
          また、巻積雲は雲が薄く、太陽がすけるため陰ができません。
          ひつじ雲は高積雲の一種です、巻積雲と比べると発生する場所が低く、雲が厚いため、
          底に陰があります。>うろこ雲といわし雲は見る人の見え方でひつじ雲だけは私たちにも
          区別ができそうです



     朝晴れて空を平らに鰯雲            栗田やすし


     墓はみな地に垂直に鰯雲            沢木欣一


     北陸や雨あといわし雲が出て          細見綾子


     誓子見し隠岐の果てまで鰯雲          国枝隆生


     日の落つる方に延べたり鰯雲          夏目悦江


     ふるさとは入母屋ばかり鰯雲          伊藤範子


     郷の名の失せし地図鰯雲            伊藤旅遊


     鉄の音絶えし船渠や鰯雲            中野一灯


     夕焼けの一鱗づつやうろこ雲          鈴木みや子


     国境の無きこの国や鰯雲            渡辺慢房


     鯖雲や社に小さき鯨塚             武藤光晴


     砂山のクレーンの先に鰯雲           中津川幸江


     よく透る庭師の声や鰯雲            菊山静枝



          



     鰯雲はたらく人を地に撒ける          福永耕二


     鰯雲日かげは水の音迅く            飯田龍太


     杉山に鱗重ねし鱗雲              原 裕


     猿島の猿が囃せり鱗雲             富田潮児


     牧神の午後はまどろむ羊雲           高澤晶子


     羊雲こゝろの犬は斃れたり           攝津幸彦


     御陣乗太鼓沖の鯖雲縞粗く           奈良文夫




          

            ヒツジ雲


     
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8月 17日

2020-08-16 13:35:30 | Weblog
                          蜩・ひぐらし・かなかな 


     降るやうに蜩が鳴く粟畠            細見綾子


     蜩や佐渡にあつまる雲熟るる          沢木欣一


     ひぐらしや竹串焦げし五平餅          栗田やすし


     ひぐらしや細身の大日如来仏          松平恭代


     ひぐらしが鳴き初む青岸渡寺の裏        栗田せつ子


     かなかなや夕日の沈む箱根山          太田滋子


     かなかなの声か細しや里昏るる         武藤光晴


     ひぐらしや出作り小屋に煙立つ         村瀬さち子


     ひぐらしや廊下に子等の足の跡         千葉ゆう


     かなかなや夕闇迫る雑木山           矢野愛乃


     かなかなや夕日とどまる兵の墓         白鳥光江


     ひぐらしや上杉廟の杉襖            ころころ



          



     蜩のこゑの刃先に触れてゐし           福永 耕二


     蜩が杉の林を濃くしたり             廣瀬直人


     ひぐらしの奥にひぐらし日暮来る         秋山幹生


     父のなき母の歳月夕かなかな           近内ひさ子


     かなかなが夕日はなさぬ湖北かな         鷹羽狩行


     ひぐらしのこゑの針なす駒ケ嶽          飯田龍太


     深山十九時ひぐらしの声折れさうに        秋元不死男



          
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8月 16日

2020-08-15 13:49:54 | Weblog
                         燈籠流・灯籠舟・精霊舟・流灯・流灯会


     流燈会我も流るる舟にゐて           栗田やすし


     流燈の月光をさかのぼりたり          沢木欣一


     父母か夫か流灯相ひ寄れり           都合ナルミ


     流燈のみな遡る被爆川             市原美幸


     立ち雲や精霊舟に浄め酒            武藤光晴


     流灯の肩寄せ合ひて波に消ゆ          澤田正子


     両手添へ精霊舟をそつと押す          石崎宗敏


     流燈の堰越ゆる時ためらへり          武田稜子


     瀬に乗れぬ流灯ふたつ寄り添へり        近藤文子


     流灯会火照りの残る石に座す          井沢陽子


     精霊舟夕焼雲へ漕ぎ出せり           山口行子


     小舟より流す燈籠波に消ゆ           服部鏡子


     精霊を送りし後の闇深し            下山幸重



          



     流燈のいちばん先を親父かな          櫂未知子


     いくらでも湧く上げ潮の流燈は         今瀬剛一


     出漁の波流燈をくつがへす           岡本 眸


     鵜の嶋に流燈こぞる夜の雨           飯田蛇笏


     流灯や生者は橋を引き返し           杉 良介


     流燈の沈むひとつのはなやげり         吉田鴻司


     流燈の終のひとつを闇が追ふ          能村登四郎



          

            栗田やすし先生 流磴句碑
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8月 15日

2020-08-14 13:20:22 | Weblog
                      敗戦忌・終戦日・八月十五日


     生きのこり黒き句集や終戦日          沢木欣一


     靖国の靖はわが名敗戦忌            栗田やすし


     子規堂へ土足で上がる敗戦日          河原地英武


     苦瓜の爆ぜて真つ赤や終戦日          都合ナルミ


     ただならぬ雨来る気配終戦忌          国枝隆生


     スヌーピーの飛行船飛ぶ終戦日         鈴木みすず


     米櫃に米を満たせり敗戦忌           栗田せつ子


     叩いても鳴らぬラジオや終戦日         牧野一古


     珊瑚積む墓標八月十五日            関根切子


     早稲の穂の重く色づく終戦日          武藤光晴


     引揚げの白き埠頭よ敗戦忌           谷口千賀子


     色褪せし父の肩章敗戦日            丹羽一橋


     敗戦忌父かりかりと時計巻く          渡辺慢房


     日に一つの肝油ドロップ敗戦日         ころころ



           



     敗戦忌強ひ語りしてうとまるる         能村登四郎


     隣へ貸す八月十五日の大鍋           寺井谷子


     ハモニカのとんぼ印や敗戦日          政木紫野


     甲高きラジオの時報終戦日           片山由美子


     裸寝の覚めて出歩く終戦日           林 徹


     終戦日夕焼くさき水を飲めり          福永耕二


     終戦日妻子入れむと風呂洗ふ          秋元不死男



          


     
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8月 14日

2020-08-13 14:09:57 | Weblog
                    踊・盆踊・踊の輪・踊唄・踊笠・阿波踊・念仏踊


     盆踊り汗水節といふ曲も            沢木欣一


     踊り見に来て川音のよろしもよ         細見綾子


     星近し一揆の里の盆踊り            栗田やすし


     産土にひびく雨乞踊り唄            下里美恵子


     艶めきてやがて荒ぶる阿波踊          下山幸重


     宿に干す赤き鼻緒の踊下駄           服部鏡子


     盆唄の声は畳屋父祖の里            和久利しずみ


     父母遠し踊り太鼓を背戸で聞く         金田義子


     土砂降りに昂る踊一揆の地           山本光江


     抜け道をして出合せり盆踊           小栁津民子


     百八の門火へ放下踊かな            幸村志保美


     田面吹く夜風袂に盆踊             上村龍子


     軒端までのびてちぢんで踊の輪         武田稜子


     綿菓子の棒をはなさず踊りの子         ころころ






          



     暗き沖へ手あげ爪立ち盆踊           西東三鬼


     念佛のやうに返して踊唄            黒田杏子


     盆踊恋の仕種をはばからず           井沢正江


     風出でて泣かむばかりの踊唄          岡本 眸


     ぐいぐいと潮の引け刻盆踊           鷹羽狩行


     てのひらの波の寄せくる盆踊          嶋田麻紀


     麻痺の手の思はず動く盆踊り          前田芳子




          
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8月 13日

2020-08-12 11:41:32 | Weblog
                       盆・魂祭・盆棚・棚経・盆仕度・盂蘭盆・精霊棚


     草刈つて蟹の横ぎる盆の道           沢木欣一


     盆花の白き桔梗を貰ひたる           細見綾子


     真白なる十団子を吊る峡の盆          栗田やすし


     棚経の僧つかつかと来て帰る          丹羽康碩


     幼子の太刀に倒るる盆休            上杉和雄


     百日の嬰子を囲み盆供養            上田博子


     盆なれば亡き友も来よ同窓会          武藤光晴


     自転車に裾まくりあげ盆の僧          森 妙子


     魂まつり木匙で掬ふ寄せ豆腐          中野一灯


     古畳ふいて迎へし盂蘭盆会           塩坂恵子


     棚経の声伸びやかや若き僧           矢野愛乃


     盆料理色の褪せたる母のメモ          木全一子


     鷺群れて白の際立つ盆の川           相澤勝子



          



     迎火のうすうすと地のこゑ水のこゑ       吉田鴻司


     土間よりの馬の匂ひの盂蘭盆会         瀧澤伊代次


     水際の水の側なる魂迎             正木ゆう子


     霊棚に点じて一火まづ浄し           能村登四郎


     ほゝづきのわかき青さや魂まつり        鈴木真砂女


     ささやかな魂棚庭の花剪つて          山口青邨


     立ちかこむ杉真青に盂蘭盆会          水原秋櫻子



          
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