7月 14日

2020-07-13 13:52:04 | Weblog
                       万緑・萬緑

          万緑の中や吾子の歯生え初むる          中村草田男

          萬緑(万緑)」という語を季語として初めて用い定着させた一句です
          辺り一面が草木の緑に覆われた状態を万緑(ばんりょく)と言う。
          初夏の新緑のみずみずしい緑よりも強い、真夏の深い緑の頃



      万緑の目にしむ伊賀と思ひをり          細井綾子


     万緑や書を借りて出る赤煉瓦           栗田やすし


     万緑の正殿に置く石一つ             国枝隆生


     万緑を描くやときには赤も塗り          櫻井幹郎


     万緑にせり出す寺の大舞台            伊藤範子


     万緑や鳥語それぞれ美しき            武藤光晴


     万緑の底に瀬音と磨崖仏             内田陽子


     万緑や噴煙なびく阿蘇五岳            中野一灯


     万緑にとけこむ寺の読経かな           黒田昌子


     万緑や山より子猿転げ出づ            森田志げを


     美人画展出て万緑に浸りけり           神尾朴水


     万緑に開きし森のエレベーター          利行小波



          



     万緑や動かぬ山の近づき来            永田耕一郎


     万緑の仕上げの雨の五六粒            岡本 眸


     水軍の島万緑に盛りあがり            西村旅翠


     万緑や産声を待つ控室              浅見まき子


     万緑の上にみどりの伊吹山            福田蓼汀


     雲水の声万緑の堂に満つ             加藤耕子



          


     
コメント (2)
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