小部屋日記

映画、音楽、本…好きなものに愛をこめて・・
コメント、TB大歓迎です!

カレンダー・ガールズ

2006-12-31 | カ行の映画
Calendar Girls(2003/イギリス)【DVD】

監督: ナイジェル・コール
出演: ヘレン・ミレン/ジュリー・ウォルターズ /シアラン・ハインズ

ひと月ごとに綴られる
彼女たちの心の冒険・・・
感動の実話の映画化。


●ストーリー●
アニー(ジュリー・ウォルターズ)の夫が他界し、クリス(ヘレン・ミレン)は、女性連盟が毎年制作するカレンダーの収益で彼の居た病院への寄付を提案。
売上を伸ばすため、彼女たちが思いついたのは自らがヌードモデルになることだった。(シネマトゥディ)


イギリス映画は話が面白いし、ウィットに富んでいて、かつ温かい。
労働者や田舎の人たちの家族を含めた人間模様、暮らしぶりを描くのがうまいですね。

これは実話です。
1999年にイギリスのヨークシャーに住む女性たちが「婦人会ヌードカレンダー」を制作したのだ。
アニーを演じたジュリー・ウォルターズが言うのです。
「中年の女性のヌードなんて、誰が見る??(笑)」
彼女らは勇気と信念を持ってカレンダー・ガールズになった。
アニーの夫が白血病で亡くなり、友人のクリスはアニーを励まそうと、大胆な計画を立てる。それは女性連盟(婦人会)のヌードカレンダーを作って、その売り上げでアニーの夫が世話になった病院にソファーを送る。

田舎の退屈な暮らし、女性連盟の催しはケーキをつくったり、ジャムづくりなど、刺激のないことばかり。クリスはうんざりしていた。それは他の女性も同じ・・・
自分を変えてみたい!変わりたい!!生きてる実感がほしい。
そしてカレンダーは作られた。

見どころはカレンダーの撮影シーンですね。
下着の線が出ないように、2時間前からはずす。
はじめは尻込みしてた彼女達ですが、きれいに撮ってほしいという気持ちから積極的になってくる。撮る男性カメラマンも必死!(笑)
撮影中は夫たちが別室に待っているところが微笑ましい。

出来上がった写真は、セピア調で品があってアートな作品でとてもきれい。
植木に水をやってたり、オルガンをひいてたり、コミカルでもある。
ひまわりの黄色がワンポイントになってます!
なぜ、ひまわりかというと「ヨークシャーの花は女性に似ている、太陽を常に懸命に探しているこの花が好き」と、アニーの夫が言っていたのです。
ひまわりは、この女性たちを代表する花。

特典映像では、本物のカレンダーも観られますが、ほぼ映画と同じ感じでした。
思うのですが、女性はいつまでも美への執着が強いと思う。
ピチピチした若い頃の体ではないけど、自信を感じるのです。


せまい田舎でヌードカレンダーのモデルになるということは、勇気がいるし、当然好奇の目にさらされ、家族たちの反発もある。
でも彼女らは屈しなくて、とうとうハリウッドまで招かれる。
時の人となる彼女ら。
今までの収益は、すべて白血病の基金に寄付されてます。もちろん、映画化も寄付するための素晴らしい機会になりました。

キャストではヘレン・ミレン、ジュリー・ウォルターズはさすがの演技。
女優さんたちもヌードになるので、だいぶ緊張したらしい。
役と本人がリンクされていて、リアルな作品。

彼女たちの友情物語にもなっていて、ホロッとさせられました。
女性は強いと感じるし、すべての女性たちに元気を与えるストーリー。
ヨークシャーの自然も楽しめます。
落ち込んだら、そこに立ち止まらず一歩だけ進んでみよう。
爽やかなミス12月たちに拍手!!


                  

ところで2006年の更新はこれが最後になりました!
カレンダーも今日が最後。この記事とうまくつながったかな^^

来年もたくさんの人たちとブログで語り合いたいです。
来ていただいた方、読んでくれた方に感謝を込めてありがとう~
2007年もどうぞよろしくお願いいたします!!


「カレンダー・ガールズ」公式サイト

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プルートで朝食を

2006-12-27 | ハ行の映画
Breakfast on Pluto(2005/アイルランド・イギリス)
【DVD】

監督・脚本 ニール・ジョーダン
出演:キリアン・マーフィー /リーアム・ニーソン/スティーヴン・レイ

女の子の心をもつ、青年のお話。
「私の人生の物語」・・・・・


●ストーリー●
親から捨てられた乳飲み子のパトリック(キリアン・マーフィー)は、リーアム神父(リーアム・ニーソン)に助けられブレイデン家の養子になる。美しく中性的な青年“キトゥン”へと成長したパトリックは、アイルランドの田舎町では浮いた存在だった。あるとき、自分は孤児だと知ったことで、実の母(エヴァ・バーシッスル)を探す旅に出る。(シネマトゥディ)


監督は『クライング・ゲーム』『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のニール・ジョーダン。この作品もジェンダーを題材にしてます。
36章に分かれていてテンポがよくて見やすい。台詞がいいですね。

プルートとは冥王星。
かわいそうに、太陽系から削除されてしまいました・・・^^;
太陽から遠く離れた惑星。
主人公キトゥン(子猫)も、集団から遠く離れた存在かもしれない。
差別に果敢に挑んでますが、ひょうひょうとしてて軽やかなんですよねえ。


本名はパトリック。
神父と家政婦の間に生まれ、そして捨てられ、近所のおばさんに育てられる。
小さい頃から女装好きで空想癖がある。そして純粋。
制服のセーターにボタンやスパンコールをつけたりと、お裁縫が好きで
とってもおしゃれなキトゥン。
まわりには気持ち悪がれるが、友達をとても大事に思っている。尽くすタイプですね~
その友達がIRAが仕掛けた爆弾で亡くなったりして、キトゥンの悲惨な人生はもう始まっているのです。
政治の話も絡んできて深刻。


変わった奴といわれながらも、自分を捨てた母を探すためにアイルランドからロンドンへやってくる。自分は何者なのか?を探る旅でもある。
人に利用されたり、見せ物の道具に扱われたり、警察につかまったり住むところもなくて、いつ行き倒れになってもおかしくないのに、キトゥンはいつも前向きなのだ。
結構したたかなんです。
「真剣」「真剣」って口ずさんでも、まわりからは調子づいてる奴って思われちゃう...
でも健気なのでほっとけないのよね。

いろんな試練にあいますが、キトゥンは無事母親に会うことはできるのか!
70年代のファッション、どこかで聞いたことのある懐かしい曲。
冒頭と最後に流れる 「シュガー・ベイビー・ラブ」 は、私の頭の中でグルグルまわってます(笑)


キトゥンを演じた、全編女装姿のキリアン・マーフィーはとってもきれい。
DVDのジャケットは、てっきり女優さんだと思っていました。
かわいい女の子から美しい女性に変身するのも見どころ。
ニール・ジョーダン監督作常連のスティーヴン・レイも健在。
後で知りましたが、ブライアン・フェリーも出てたのねー。

ヘンな奴って言われてもいいじゃない!
人生辛いこともあるけど、街のどこかには、たくさんの愛が待っている。
ありのままの自分を受け入れる、我が道をいくキトゥンに元気をもらいました♪


「プルートで朝食を」公式サイト

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ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT

2006-12-25 | ワ行の映画
The Fast and the Furious: Tokyo Drift(2006/アメリカ)
【DVD】

監督:ジャスティン・リン
出演者:ルーカス・ブラック/バウ・ワウ/千葉真一

人気シリーズ第三弾。
今回は東京が舞台。
巷の評価はよくなかったらしいけど、私は楽しめました(それなりに・笑)
メカについては音痴でも、カーアクションはスカッとする。
劇場で観たかったですね。ドリフトレースは迫力があります。

●ストーリー●
過激なカーレースで3度も逮捕され、カリフォルニアにいられなくなった高校生ショーン(ルーカス・ブラック)は、軍人の父を頼って日本にやってくる。
幼い頃に別?黷スきりだった父との暮らし、言葉や文化の違いに戸惑うショーンだったが、アメリカからの留学生仲間に連れられ、深夜の立体駐車場へやってくる。
そこはスピード・フリークが集まるアンダーグランドのレース場。
ショーンはヤクザとつながりを持つD.K.(ブライアン・ティ)とさっそく勝負するが、ドリフトを知らない彼は惨敗してしまう。



日本が舞台なのに、アジアが混じってるところがご愛嬌^^;
日本に逃げてきた異国の者が、ドリフトレースに生き甲斐を見いだす話ですが、
出演者たちが日本語を一生懸命しゃべっていることに好感がもてました。
今までのシリーズとちがって、ヤクザも出てきてダークで安っぽい(苦笑)けど、仕方ない。


主人公ショーンや他のアメリカ人の高校生は、どうみても歳が上に見える!
日本人の幼いこと^^;
妻夫木聡はあれだけの演技で引き受けたんですね。。
スタートする時の「レディ!」「セット!」って叫ぶ日本人の女の子は渋谷で遊んでる普通の子・・・オーディションなかったのか。汗
ショーンのパパが住んでる家が、思いっきり日本家屋でセットではなくて人が住んでる家みたいで、びっくり!
日本人タレントが大勢出演していて、驚かされます。


なんといってもレースシーンはいい!
東京の公道での撮影はできないので、ロサンゼルスの道を封鎖して、東京に似たセットをつくって撮影したらしい。
もちろん運転はみなプロのスタントドライバー。
俳優たちも体感してもらうために、レースの練習はしたらしい。
なので本編は本人が運転してるような臨場感。
いい車がつぶされるのはもったいない気も・・・
山での対決シーンは盛り下がった。
シリーズ1,2がよかっただけに、今回は残念な出来でもある。。

うれしかったのは最後の“あの人”の登場!!
シリーズのファンとしては最高♪
続編に期待!(あるかな・・)ポール・ウォーカーの復帰もね

ショーン役ルーカス・ブラック、子役出身ですが大きくなりましたねえ(当然)
ガクランをくずさずに着て欲しかったな。
細かい部分は気にしないでみれば楽しめます。

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武士の一分

2006-12-24 | ハ行の映画
(2006/日本)【劇場公開】

監督:山田洋次
出演:木村拓哉/檀れい/笹野高史/桃井かおり/坂東三津五郎/緒形拳 /小林稔侍

冒頭の雰囲気から「蝉しぐれ」に似てるなあと思ったら、原作は藤沢周平だったのですね(原作:盲目剣谺返し)。
「武士の一分」とは、侍が命をかけて守らなければならない名誉や面目の意味。
一分を奪われた武士の物語。同時に美しい夫婦愛を描く時代劇。
主人公の下級武士を演じた木村拓哉の集中力を感じました。
いいか悪いかは別にして、武士を演じても、やっぱりキムタクでしたね~

●ストーリー●
三村新之丞(木村拓哉)は、近習組に勤める下級武士。
毒見役という役目に嫌気がさしながらも、美しい妻・加世(壇れい)と中間の徳平(笹野高史)と平和な毎日を送っていた。ある日、毒見の後、新之丞は激しい腹痛に襲われる。
あやうく一命はとりとめたが、高熱にうなされ、意識を取り戻した時は、視力を失っていた。
人の世話なしで生きられなくなった自分を恥じ、一度は命を絶とうとしたが、加世と徳平のために思い留まった。
ある日、加世が外で男と密会しているという噂を聞く。新之丞は徳平に尾行をさせ、加世が番頭・島田(坂東三津五郎)と密会していることを知る……。(goo映画)


とってもシンプルな作品です。
藩主の毒味役をつとめる下級武士の新之丞。
あまり好まない仕事をしているけど、妻の加世とつつましい暮らし。
しかし失明するという不幸な目に。
人に頼らなければ生きていけない自分が、情けなくなる。自暴自棄。
妻は夫をなんとかしたいという気持ちで助けようとするが、罠にはまってしまう。
そして、夫は復しゅうするのだ。

毒味役というのが、とても興味深い。とにかく武士は毎日が命がけですよ・・
主人公の夢は将来、子供たちに剣を教えること。
でも人生はうまくいかないもの。絶望するが、そばにいる妻も同じことなのです。
夫婦の愛が試される。

夫がご飯を食べるシーンが多いですが、
妻は夫の食べ方でその日の調子をうかがっている。
妻あっての夫なのです。
これ、愛妻物語ですよねえ。
妻の加世はできた人です。


その妻も夫のためにと思ってしたことが、夫を苦しめてしまう。
結局二人とも傷つきますがお互いに命をかけてるところが、武士とその妻の宿命でしょうか・・・
妻の一分でもある!

キムタクの影響なのか現代劇を観てるような感覚。
一番興味の木村拓哉の演技は、はじめはドラマと同じ軽め(フッと笑うところなど^^)でしたが、進行していくうちに深みを感じた。特に目の演技は力がある!
感情をむき出しにするところは、迫力がありますね。
華奢な体と思っていたけど、意外にがっちりしてます。
目が見えない役なので、妻役の壇れいの手を取るシーンが多々ありますが、キムタクの手がゴツゴツしてる~。これは発見だったなー(笑)


どうしてもキムタクに目がいってしまうけど、脇のベテラン俳優がとにかく盛り上げてくれました。
笹野高史はいい。夫婦にまじめに奉公する役ですが、場が和む。
夫婦の絆をつなぐ重要な役でもありますね。
妻役の壇れいは、はじめて見る女優さんですが、美しいし奥ゆかしいし、古き良き日本女性かも!
桃井かおりらのまわりの人物は、笑わせてくれました。

キムタクが全面に出てしまって、作品の意図が薄れてしまった気がしないでもないかな。それだけ木村拓哉の存在は大きいということですが・・・
でも剣術のシーンは素晴らしかったし、端正な容貌に色気も感じた。
坂東三津五郎との対決は、風が舞っていて西部劇みたいだったなあ。

変にまじめにならない、なにかホッとさせてくれるというか、温かい作品ですね。
つがいの文鳥を飼っているところが微笑ましい。
なまりが印象的(がんす・・・)
劇場で時代劇を見たのは初めてでしたが、とてもよかったです。

★★★★(5段階☆は0.5)

「武士の一分」公式サイト

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The OC

2006-12-23 | 海外TVドラマ
The OC(2003/アメリカ)
【DVD】

監督:マックG / ダグ・リーマン / ジョシュ・シュワルツ(製作総指揮)
出演:ミーシャ・バートン/ベンジャミン・マッケンジー / アダム・ブロディ

「スーパーマン リターンズ」(記事はコチラ)のボーナスディスクとして入っていた、アメリカで人気のTVドラマ。
1枚目に本編、2枚目に「The OC」と「スーパーナチュラル」。
レンタルで2枚組とは珍しい!
「The OC」は 「ビバヒル」の現代版みたいなものでしょうか。
OCとは、カリフォルニア州オレンジ・カウンティのこと。
自由な雰囲気がいっぱいの高級住宅街に暮らすリッチな高校生たちのお話。
アメリカでは今秋、シーズン4がスタートしてます。

第1話 「出会い」 Pilot
兄に強要され、車を盗んだ共犯として逮捕された少年ライアン(ベンジャミン・マッケンジー)。
公設弁護人のサンディ・コーエン(ピーター・ギャラガー)は、行くあてのないライアンを引き取ってひとまず自分の家があるニューポート・ビーチにいく。
そこは今までとは違うセレブな暮らし。とまどうライアンだったがコーエン家の隣に住むマリッサ(ミーシャ・バートン)と出会う。




ライアン役のベンジャミン・マッケンジーは、誰かに似てると思ったら、ヘレン・ハントだ~笑 鍛えてるのか、マッチョでもある。私のタイプではない・・・

主人公ライアンは頭はいいが、家庭は崩壊。
弁護士の計らいで、高級住宅地に暮らすことになるのです。
不良っぽいけど、中身は誠実そう。

弁護士一家の息子セスは、ゲーム好きなオタク少年でいかにもぼっちゃん風。
ワイルドな魅力のライアンと息があいそう。
ひ弱に見えますが、演じてるアダム・ブロディがキュート。
「Mr.&Mrs. スミス」に出演してましたね。

環境の違いに戸惑うライアンですが、いきなりファッションショーに招待される。
それも住宅街でのチャリティもかねてるショー!
娘がモデルになり、母親は娘にブランド服を着せたがるのです。
セレブな人たちですよ。
高校生といっても、パーティを開き、ドラッグ、飲酒は当然。
今が楽しけりゃ、それでいいさ!みたいな奴ら。
おぼっちゃま、お嬢様だらけですが、悩みもそれなりにありそう。

恵まれない人生を送ってきたライアンと、隣に住むお嬢様マリッサ(彼氏はいる)は、出会った時から惹かれあうものがあるのです。これからの展開が楽しみです。


マリッサ役ミーシャ・バートンはこのドラマで人気爆発!
ファッションリーダーでもあるらしい。
にしてもデカイ!!170cm以上はあるなあ。
ヘイデン・クリステンセンとの共演の「Virgin Territory」は来年全米で公開。

音楽もおしゃれだし、登場人物たちのファッションが目の保養になります。
ズルズルみてしまうんだろうなあ(『ビバヒル』がそうだった・・)

「The OC」公式サイト

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敬愛なるベートーヴェン

2006-12-18 | カ行の映画
Copying Beethoven(2006/イギリス・ハンガリー)【劇場公開】

監督:アニエスカ・ホランド
出演:エド・ハリス/ダイアン・クルーガー/マシュー・グード

クラシックファンでなくても見応えあり!!
特に第9の初演シーンは感動しない人はいないかも。
音楽家ベートーヴェンの歴史に隠されたもうひとつの真実。

●ストーリー●
第九の初演を4日後に控えた1824年のウィーン。
楽譜が完成しない中、ベートーヴェン(エド・ハリス)のもとに写譜師としてアンナ(ダイアン・クルーガー)が派遣されてくる。ベートーヴェンはアンナを冷たくあしらうが、彼女の才能を知り、仕事を任せることに。
尊大で傲慢なベートーヴェンだが、ただ一人の肉親である甥のカールだけは溺愛していた。しかしカールがその一方的な愛を疎ましく感じていることに気づかない。
やがて初演の日がきた。難聴から指揮を怖れるベートーヴェンを助けたのはアンナだった。・・・(goo映画)



ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven)といえば、誰でも知ってる大音楽家。
知ってる曲の中では「エリーゼのために」や交響曲第6番「田園」は好きかな。
有名な肖像画から推測すると、情熱家で頑固者のイメージが強いです。
この映画のベートーヴェンは、すでに音楽家としての地位を得ているが、耳が聞こえないなど肉体はぼろぼろ、苦悩の生活を送っているのです。
音楽家で耳が聞こえないというのは、致命的ですよ。

孤独な人でもあって、無神経、粗暴。
ネズミが這い回るほど部屋も汚いし、人を寄せつけない人。
はっきりいって変人でわがままなおじさんって感じです・・(>_<")
でも森の中を散歩しながら、曲づくりをしているベートーヴェンは活き活きとしてるのです。
天才は違う・・・

映画のタイトルにもなっているコピスト(写譜師)とは、作曲家が書いた楽譜を清書する職業。
史実としてベートーヴェンに3名のコピストがいたとされてますが、3人目は明らかにされてない。
3人目として映画では作曲家をめざす若い女性アンナを登場させました。

この物語はフィクションです。
ベートーヴェンが主人公ですが、アンナというひとりの女性の自立物語だとも思った。
修道院に暮らしていて、そこは安全な場所。でもアンナは作曲家になりたいという夢をもち、あえて気難しいベートーヴェンに師事する。
昔は女性が自立するのは大変なことなのです。

一番すばらしいのは、ベートーヴェンとアンナの音楽に対する情熱が一致したこと。
はじめはアンナが作曲した音楽を馬鹿にするが、自分の一番の理解者はアンナだと気付く。
師弟愛をこえた愛がみえたと思う。
ベートーヴェンの体をアンナが拭いてあげるシーンはとっても官能的だった(私だけ?)



第9の初演シーンは「あなたの声が、私の中に満ちていく・・・」の映画のサブタイトルそのまんま。
不安でいっぱいの耳が聞こえないベートーヴェンに、アンナが拍子をとり教える。
二人が指揮する第9。流れる音楽、ベートーヴェンとアンナは一体になる。
そして合唱・・・感動して涙が出ました。

あまりにもこのシーンが強烈だったので、最後は拍子抜けしたかな^^;
1時間45分にしては、短く感じられた。もっと観たかったですね。
ジャンルを問わずいい音楽は人の心を揺さぶるものだと、改めて感じました。
ベートーヴェンは偉大な音楽家ですね。
この当時のウィーンの街の暮らしぶりや文化も興味深いです。アンナの服装(帽子も含め)が意外とかわいい。

キャストではベートーヴェンを演じたエド・ハリスは熱演してます!!この人大好き!
風貌が違うなと思ったのは、眉毛を染めてるせいとカツラのせいですね。^^
指揮者の役は難しいと言われてますが、さすが名優です。
アンナ役のダイアン・クルーガーは気の強い凛とした女性を好演。
透明感があって美しい。
某ヘアケア会社のトリートメントジャーニーのキュートな彼女も好きですけど!(笑)

★★★★(5段階☆は0.5)

「敬愛なるベートーヴェン」公式サイト

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映画指定バトン by 「ベスト2」

2006-12-16 | バトン
肉球シネマブログ! アニーさんより、バトンをいただきました!
ありがとうございます♪
ほんとに遅くなってごめんね~

ルールは,以下の通り 回してくれた人からもらった「指定」から
連想したワードを下記の「」の中に入れて答えること

■最近思う「」
■この「」には感動!
■直感的「」
■こんな「」はいやだ!
■次に回す人5人!指定付き


アニーさんからのお題は「ベスト2」です。
ではいってみましよ!

「最近見た映画のベスト2」
「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」
なんといっても硫黄島プロジェクト2部作。
今まで知ることのなかった第二次大戦末期の激戦地だった硫黄島の戦いを、日米双方の視点で描かれた画期的な作品。
違う角度から観ることによって、より詳しく戦争の実態がわかったこと。
国のタブーにつっこんでいること。
イーストウッドの細やかな演出もさすがでした。
「手紙」の日本人俳優の演技は期待に応えるものでした。
新しく生まれ変わった「007/カジノロワイヤル」も予想外によかったですねー。

「感動作ベスト2」
「ムーラン・ルージュ」
悲恋ミュージカルものですが、主演ユアン・マクレガーとニコール・キッドマンの歌のうまさに感激!
感情が込められていてうっとりしてしまった。
デュエット曲「カム・ホワット・メイ 」は何度聞いてもいい!
「輝くダイヤモンド」と呼ばれるナイトクラブのトップダンサー役ニコールの美しさ、スピーディな展開、華やかな映像、夢の中にいるようでした!

「リトル・ダンサー」
何度見てもいい作品、家族ってすばらしい!と思う。
1980年代のイギリスの社会の現状(失業問題など)も見て取れる。
主人公ビリーがいう。「踊っていると、炎になるんだ、鳥になれる・・・」
母がいない悲しさ、裕福ではない環境、11歳のビリーにとって踊っている時だけがなにもかも忘れさせてくれる瞬間。
ラスト、25歳になったビリーが登場しますが、スペシャルなダンサーが演じてますよ。エンドクレジットに流れる「アイ・ビリーヴ」はとてもいい曲です。


「直感的映画ベスト2」
「ブレードランナー最終版」
近未来、汚染された地球で遺伝子工学が発達し、人間はレプリカント(人造人間)をつくりだす。
逃げ出したレプリカントとブレードランナーとの対決。
この作品は10年前のオリジナルをリドリー・スコット監督が編集し直したもの。
映像美に堪能しました♪ ラストの折り鶴が意味深・・・・
人間にはなれないレプリカントの哀しみ、怒りを爆発させたレプリカントのリーダー、ルトガー・ハウアーの演技は迫力満点!!

「A.I.」
評価が分かれた作品だと思いますが・・・
世界最速の試写会にいってきて(日本が最初の公開だったらしい)後半は号泣してました^^;
人間の親を愛することをインプットされたロボットの話。しかし親は見放した・・・
親をさがして、○○年(!!)もたってしまったお話(このシチュエーションは唖然としたけど)
ロボット役ハーレイ・ジョエル・オスメント君の目が開くシーンが、とても印象的だった。“子供、愛、切ない”は女性にはウケがよかったのでは?
ふたつともロボットの話で一致。

「苦手映画ベスト2」
「マグノリア」
「彼女を見ればわかること」

群像劇は苦手・・というか頭の中で整理がつかないのです。
単に自分の理解不足ということなんですが・・・
「マグノリア」は途中でやめてしまったし、「彼女を見ればわかること」も特別感じることがなかったというか、できなかった・・・映画はその時の気分にも作用されますね。

「次にお渡しするバトンのお題は・・・・
映画指定バトン by 「エロサス」

■最近思う「エロサス」
■この「エロサス」には感動!
■直感的「エロサス」
■こんな「エロサス」はいやだ!
■次に回す人5人!指定付き

ってことで、回答よろしくね!

「エロサス」って死語かな?笑
エロチックサスペンスもの、好きな人多いんじゃないかなあ?
「エロサス」といえば、私の直感的「エロサス」は「バッド・エデュケーション」&「ワイルドシングス」
「バッド・エデュケーション」は主演ガエル・ガルシア・ベルナルのたくましき女装姿がgood♪目が色っぽい!
「ワイルドシングス」は二転三転するところ、女に翻弄される男の姿にスカっとする。


お渡しする方は、こちらからお願いにうかがいますね。
もちろんスルーでも、全然結構です(^_^)v
我こそは!と思う方は、バトンをもぎ取っても構いません。
自由に持っていてくださいませ!!

2番目のキス

2006-12-11 | ナ行の映画
Fever Pitch(2005/アメリカ)【DVD】

監督:ピーター・ファレリー/ボビー・ファレリー
出演:ドリュー・バリモア/ジミー・ファロン/ジャック・ケーラー

原作はイギリスの作家ニック・ホーンビィの「ぼくのプレミア・ライフ」(コリン・ファース主演で映画にもなっています)。イングランドのサッカークラブチーム、アーセナル狂の話。
ハリウッド版はMLBの熱狂的ファンが多い、名門ボストンレッドソックスに置き換えてます。
最近では松坂投手をポスティングで落札したチームですね。
私の好きな松井秀喜がいるNYヤンキースの永遠のライバルチームです。

ストーリー
ビジネス・コンサルタント会社で働くリンジー(ドリュー・バリモア)と、生徒にバツグンの人気を誇る高校教師ベン(ジミー・ファロン)。
住む世界のまるで違う2人は、ある秋の日に出会う。
リンジーは優しくてユーモアたっぷりの彼に好意を持つが、女友達からは「このトシで独身なんて絶対ヘン!とんでもない秘密があるんじゃない?」と脅される。
それでも彼との交際を始めたリンジーは3月のある日、ついに彼の秘密を知る。
ベンは野球チーム「ボストン・レッドソックス」の熱烈なファンだったのだ!・・・(goo映画)



アメリカでも勝ち組、負け組なんてあるんですねえ。
リンジーは友人の中で、キャリアでは一番の出世頭。
みんなからうらやましがられているが、結婚相手に恵まれないのが悩み。
優しいベンと知り合うが、友人が疑ったとおり、彼は熱狂的なレッドソックスファンで、人生の中で大部分を占めている。
シーズン中の彼とシーズンオフの彼は別人^^;
リンジーは彼にあわせようと、知らない野球の本も読み、仕事をあとまわしにし、彼につきあう。


しかし無理がでてくるのは当然で、試合中にも仕事をする始末・・・↑
徐々に重荷になってくる。

将来、彼と一緒に生きていくことはできる? リンジーは悩む・・・

育った環境、趣味も違う相手。同じ趣味なら盛り上がるのだけど、まあ興味がわかないこともあるわけで、相手に合わせることは努力が必要。
どちらかというと、女性が男性に合わせることが多いんじゃないかなあ?
ほどほどならいいけど、ベンのように極端だとかなり手強い。

歩み寄ろうとして努力しても噛み合ない。
さあ、二人の愛はどうなるか?
これ誰でも経験ありますよ。ベンは野球、リンジーはお仕事にはまる。
どちらかではなくて、お互い思いやる心ですかね。
でも、はまることがあるってことは幸せです。
それが日々の活力になっているからね。


まあラブコメディですので、全体にゆるい作りかな。
ドリュー・バリモアとジミー・ファロンは軽快な演技でした。


やっぱり物語の中のゲームが気になりました(苦笑)。
2004年のシーズンが反映されていて、レッドソックスはワールドチャンピオンになりますが、ヤンキースファンは、何度も言うがおもしろくないですよ~。単純な私(^^)ゞ

レッドソックスファンの李啓充氏のコラム→外野席差別と映画『2番目のキス』の嘘は必見ですよ!

ボストンレッドソックス公式サイト

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硫黄島からの手紙

2006-12-10 | ア行の映画
Letters from Iwo Jima(2006/アメリカ)
【劇場公開】

監督/製作:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙/二宮和也/伊原剛志/加瀬亮/中村獅童/裕木奈江

硫黄島プロジェクトの第二部。日本側からみた硫黄島の闘い。
まずこの映画がアメリカ人の製作というのが驚きますよ。
すべて日本語。言葉がわからずともここまで作り上げてしまう、ハリウッドの底力を改めて感じました。
一部、二部と間をおかずに観られたことで、いいも悪いもない、敵も味方もない戦争の真実について学ぶことができました。

●ストーリー●
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月。
アメリカ留学の経験を持ち、米軍との戦いの厳しさを誰よりも覚悟していた陸軍中将・栗林(渡辺謙)が硫黄島に降り立った。着任早々、栗林は本土防衛の最期の砦である硫黄島を死守すべく、島中にトンネルを張り巡らせ、地下要塞を築き上げる。
そんな栗林の登場に、硫黄島での日々に絶望していた西郷(二宮和也)ら兵士たちは希望を見出す。だが、一方で古参の将校たちの間で反発が高まり・・・。(goo映画)



もう祖国に帰ることはない。
戦局は不利なことはわかっていても、本土にいる家族たちのために、アメリカ軍をこの島で食い止めなくてはと!と日本軍は満身創痍で硫黄島を守ろうとする。
戦争は狂気でもあって、味方同士で殺しあうこともある。
日本兵は追いつめられ、手榴弾で自決するところはとても見ていられなかった・・・。。

なぜ日本人は死を急いだのか・・・
現代人には理解しずらい感覚なのに、イーストウッド監督の観てる側に何かを感じてほしいという気持ちは伝わってきた。
それにしても、本音を語らない日本人の気質をよく調べあげている。
内にこもる所、特に清水のような多くを語らない人間の心の内側をうまく表現してましたねえ。


硫黄島の水が体にあわず、戦わずに死んでいくものもいる。
過酷な状況にさらされても、彼等は上官の命令に従い、任務を遂行しようとする。
その中でパン屋の西郷は、さめた見方をしている。
“どうせここで死ぬんだろ・・こんな島、アメ公にやっちゃえばいいんだよ!”と・・・
思うのは身籠っている妻のこと。せっせと妻に手紙を送るのです。

元憲兵の清水はアメリカ兵が持っていた母親からの手紙を読んで、彼等もおれたちと同じ人間だと思い知る。
“おれは無駄死になんか、なりたくない!”
正直でまともな人間の姿。
西郷と清水の運命はこの先、明暗分けるのですが。。。

この硫黄島2部作を見て思ったことは、兵士たちは国のためというよりも、戦友のため、家族が幸せに暮らすことをいつも思い、人殺しをせざるを得なかった。
自決の前に「靖国で会おう」と言う言葉に胸が詰まった。


西郷がアメリカ軍の兵士と並んで横になってた場面、隣は「星条旗」の主人公ドク?だと一瞬思ったけど、違いますよね・・・似てたなあ。
手紙が舞う場面、心がいっぱいになった。

今私たちが平和に暮らせるのは、彼等の犠牲によって成り立っていることを、決して忘れてはいけない。
子供のときから、第二次世界大戦について教えるべきだと思う。
映画になっていなかったら、自分は永遠に知らなかったかもしれない。
愚かで悲惨な戦争は、二度と起こしてはならない。
無念にも亡くなられた全ての兵士たちに、手を合わせました。

キャストでは、渡辺謙よりも西郷を演じた二宮和也が実質主演ですよね。
こんなに演技がうまいとは思わなかったな~。
若さと素なところがうまくはまってましたね。それに清水役の加瀬亮もいい。

追記:ロサンゼルスオリンピック馬術競技金メダリストのバロン西(伊原剛志)が出てきますが、以前TV番組の「知ってるつもり」で彼が戦死し、一週間後に愛馬が死んだそう。(映画の中で、バロン西が栗林に愛馬の写真をうれしそうに見せてました。)
人間と馬の絆を感じて、涙したことを思い出しました。


この映画、語りたいことが多すぎますね。
アメリカ側、日本側と2本つくられたことは、すばらしい試みだと思いました。
観る価値あり!!

本当なら日本人が作らなくてはいけない映画なんですけどね・・・

★★★★★(5段階☆は0.5)

「硫黄島からの手紙」公式サイト

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ミリオンダラー・ベイビー

2006-12-08 | マ行の映画
Million Dollar Baby (2004/アメリカ)【TV放映】

監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド/ヒラリー・スワンク/モーガン・フリーマン

いろんな人から勧められた映画を今頃鑑賞。
予備知識なしで観たので、こんな展開の映画だとは思ってもみなかった。
イーストウッドの作品は重いですねえ。。
女性ボクサーのサクセスストーリーだと思ったら、大間違い・・・
ラスト30分は涙が止まらなかった。。
今生きてるこの瞬間を大事にしたいとしみじみ思う。
2005年アカデミー賞4部門受賞。

●ストーリー●
「自分を守れ」が信条の老トレーナー、フランキー(クリント・イーストウッド)は、23年来の付き合いとなる雑用係のスクラップ(モーガン・フリーマン)と、昔ながらのジム、ヒット・ピットでボクサーを育成している。
有望株のウィリーは、教え子を大事に思う余りタイトル戦を先延ばしにするフランキーにしびれを切らし、別のマネージャーの下へと去ってゆく。そんな折、フランキーの前に現れた女性ボクサー、マギー(ヒラリー・スワンク)。
マギーはフランキーの指導を乞うが、昔気質のフランキーは女のボクサーを認めようとしない。だが連日ジムに通い詰めるマギーの一本気さに、やがてフランキーの心も揺り動かされ始めるのだった。・・・(goo映画)



ロッキーのような映画かと思って途中まで観てたら、マギーに起きた予期しない出来事によって物語は急変していく。
前半部分、マギーがフランキーに父親のことを語る。

“マギーの父親は犬をかわいがっていた。後ろ足が不自由で、前足だけで這っている犬の姿にマギーと妹はいつも笑っていた。
ある日、父と犬がいなくなり、父だけが家に帰ってきた時、車にはシャベルがあった・・・・”

犬の話はとても悲しい。
まさか自分たちの人生に置きかえることになるとは夢にも思ってない・・・
一寸先は闇・・・人間は運命から逃れられないのか・・

脚本がいいです。
深刻なドラマでしたけど、いろんな感情がわきあがってきます。
ただひたすら夢を求めた女性が、夢にとどいた時、運命のいたずらとしか思えない悲劇に見舞われる。
そして一緒に夢を見ようとした男が、その運命に終止符をうつ。
あまりにも残酷・・・
その選択がいいのか悪いのかというよりも、そうすることしかできなかったのです。

後悔しない人生を送ることはむずかしい。
日々流される毎日ですが、いつ何がおこるかわからない。
マギーはフランキーに自分の人生を預けることになった。
辛い選択を強いられる時、自分はどうするか・・・。深いデス


家族の愛に飢えていたフランキーとマギーは、師弟関係から親子の関係になっていく。
固い絆に結ばれた姿が、とても美しい


マギーを演じたヒラリー・スワンクはボクサーしてましたねえ!
もともと華奢な人ですが、筋肉のついた体、ハングリーな姿に圧倒されます。
鋭いパンチの応酬のボクシングは生きてるパワーを感じさせ、寝たきりになる姿の対比があまりにも強烈。
イーストウッドはおなじみの演技で悲哀を感じる。
語り手でもあるモーガン・フリーマンは、救いのない物語に優しさを感じさせてくれた。すばらしい。


自分を必要としてくれる人が必ず世の中にはいるということ。
マギーとフランキーのように・・・・
そして人生は思いどおりにはいかないものだけど、希望を忘れてはいけないと思った。

「ミリオンダラー・ベイビー」公式サイト

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