小部屋日記

映画、音楽、本…好きなものに愛をこめて・・
コメント、TB大歓迎です!

許されざる者

2010-10-24 | ヤ行の映画

Unforgiven(1992/アメリカ)【DVD】
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド/ジーン・ハックマン/モーガン・フリーマン/リチャード・ハリス/ジェームズ・ウールベット

クリント・イーストウッドの西部劇は観たことなくて、興味があったんで観てみました。
第65回アカデミー賞作品賞・監督賞・助演男優賞(ジーン・ハックマン)・編集賞受賞。イーストウッドが、師と仰ぐドン・シーゲルとセルジオ・レオーネに捧げた「最後の西部劇」。

かつて強盗や殺人を働き、その名を知られたウィリアム・マニーは子供と生活のため賞金稼ぎをしようと銃を握り、昔の相棒ネッドと共に町に向かう・・・。
Wikipediaでは数々のエピソードが書かれてて、製作期間はわずか39日、イーストウッドはこの映画の脚本を製作の10年以上前から既に買い取っていて、主人公のマニーと同じ年齢になるのを待っていた。満を持しての作品だったということ。


西部劇というと、善と悪が存在すると思ったら、この映画では誰が悪者なのか善人なのかわからない。イーストウッドが演じる主人公マニーは過去に強盗や殺人を働き、その名を知られたが妻と出会い改心、幼い子供と暮らしている。豚の世話も満足に出来ない彼は生活のためにやむおえなく銃を握ることになる。昔のような自分ではないといいながら、お金のために簡単に人殺しをする。このへんがいまひとつはっきりしない。


もうひとりジーン・ハックマンが演じる保安官。賞金稼ぎは許さない正義の味方にみえても、実は娼婦を人間とみてないし、人を拷問にかけたりして人権無視な奴なのだ。
マニーは仲間を殺され、最後復讐の鬼になるんだけど、はたして報復する事が正義なのか、捨て台詞をはき白い馬にのって去って行くマニーが哀れにみえた。誰も声をかけてくれない、めざすは荒野しかないのだ。暴力の連鎖は結局虚しさしか残らない。
マニーは足を洗ったつもりがまた重い十字架を背負ってしまった。

西部劇はもう現代では通用しないんだと思う。男の暴力はかっこわるい。
カウボーイハットが似合うイーストウッドでも馬から落ちる姿はぶざま。
今から20年前の作品、イーストウッドは近年のしわがれ声ではなくて、若い声です。
ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン、リチャード・ハリスの名優達が勢揃い!

★★★★(5段階☆は0.5)

公式サイト

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ヤング@ハート

2008-11-12 | ヤ行の映画

YOUNG@HEART(2007/イギリス)【劇場公開】
監督:スティーヴン・ウォーカー
出演:アイリーン・ホール(92歳)/スタン・ゴールドマン(75歳)/フレッド・ニトル(80歳)/ドーラ・モロー(83歳)/ボブ・シルマン(53歳、指揮者)

それでも、人生は素晴らしい。

アメリカで4館からスタートし、口コミでどんどん広がって212館まで広がっていったという話題作。平均年齢80歳のコーラス隊“ヤング@ハート”の活動を追った音楽ドキュメンタリー。
人生の大先輩に元気をもらいました!

story
アメリカ・マサチューセッツ州の小さな町で活動するコーラス隊“ヤング@ハート”。世界各地で公演を行うメンバーは平均年齢80歳の老人たちで、彼らは年に1度のコンサートに向けてソニック・ユース、ボブ・ディラン、トーキング・ヘッズなどの曲の練習を重ねていく。そんな中、コンサートまでの6週間の間に、メンバーにはさまざまなことが起こるが……。



「やんちゃな年金生活者たち」と評される『ヤング@ハート』は今から25年前にアメリカのノーサンプトンという小さな町で結成されたコーラス隊。
映画の公開後、入団希望者が急増したり、高齢者のコーラス隊が次々結成されたりと、社会現象を巻き起こしてるとのこと。監督インタビューはコチラ
本国だけでなくヨーロッパにも公演しているんです。


メンバー達は日本に置き換えたら昭和ひとけた、大正生まれの人たち。
ロック好きのおじいさん、おばあさんかと思ったら、クラシックやオペラ好きの方が大半。ロックの大音量に耳栓したり、歌詞がむずかしくてなかなか覚えられない。でも指揮者の方の根気強さと熱心さもあり彼らは歌う。
コールドプレイの最新の曲も歌っちゃうとは大したもんだ。

それでも彼等には常に病、死がつきまとう。
練習場には杖をつきながら来る人、体調が悪くて息子が止めてもくる人・・・。
みんなと歌う事が楽しい、病気のことを忘れられる・・そのエネルギーは若者以上かもしれない。

感動したのは刑務所のコンサートのシーン。
直前に仲間が亡くなり、その仲間を想いながら囚人の前で歌う「Forever Young」は涙出ました。
彼らの歌には同情とか関係なく、長い人生を生き抜いてきた力強さ、素の生き様がみえてくるんですよー。


もう年だからできないとか、疲れたとかいってられない。
高齢者にも可能性があるということを教えられました。ユーモアも忘れないことね♪

ありのままの姿、ありのままで歌う。人生を楽しもう!
特に若い人に観てほしい映画です。


★★★★☆(5段階☆は0.5)

「ヤング@ハート」公式サイト

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靖国 YASUKUNI

2008-10-22 | ヤ行の映画

(2008/日本=中国)【DVD】
監督・撮影・編集: リ・イン
出演:刈谷直治/菅原龍憲/高金素梅

誰もしらなかった、歴史がここにある。

靖国神社に関わるさまざまな人々を10年にわたり撮り続けたドキュメンタリー。
NHKでとりあげられたり、話題になった映画。
公開時、劇場にいこうと思ったら妨害があったそうで(!)公開延期になったため、結局観られず。DVDリリースされたので観てみました。
日本のタブーにここまでつっこんだ映画ははじめてかな。

story
戦後60周年を迎えた2005年8月15日、軍服を着て参拝する集団や合祀(ごうし)に反対する遺族たちなど、靖国神社は狂乱の様相を呈していた一方、神社のご神体である日本刀「靖国刀」を作る刀匠にもカメラを向ける。日本人が知っているようで実は知らない靖国神社の現実と精神構造に、中国人監督リー・インが切り込んでゆく。



知られざる靖国神社の歴史と実態。
靖国神社については戦争で亡くなった人たち(英霊)が祀られていることしか知らないけれど、なぜ戦犯も入っているのかがわからない。


3年前の8月15日の靖国神社の様子が描かれていて、マスコミには出ない映像ばかり。
滑稽というか、戦争中の頃に時間が止まっているよう。
旧日本軍の軍服を着て「天皇陛下万歳」と叫ぶ人たち(たまに見かけるよね、こんな人たち)、星条旗を掲げるアメリカ人(出ていけ!といわれ、警察に追い出される)。異をとなえた若者が袋だたきにあうシーンは恐いですよ・・。ののしる男たち、血だらけになっても引こうとしない彼。
憎悪うずまくというか、日本の別の一面でもある。

「靖国刀」という日本刀をつくる名匠にも取材してますが、彼は多くを語ろうとしない。90歳にしては足腰もしっかりしていて、仕事をきちんとこなすおじいちゃんですよ。でもインタビューは監督さんの誘導尋問にも思えてどうなんでしょう、、
終盤のモノクロ写真は、ショッキング。。

靖国という場所はどんな意味をもってるのか、日本人ならみて損はないかも。
語り継がなくてはいけないこと、これからも平和な世の中であってほしいと願います。
手ぶれのひどいところがあって、酔ってしまいそうなシーンもあり。

★★★☆(5段階☆は0.5)

「靖国 YASUKUNI」公式サイト

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4ヶ月、3週と2日

2008-09-17 | ヤ行の映画

4 Months, 3 Weeks, and 2 Days(2007/ルーマニア)【DVD】
監督・脚本・製作: クリスチャン・ムンギウ
出演:アナマリア・マリンカ/ローラ・ヴァシリウ/アレックス・ポトシアン/ルミニツァ・ゲオルジウ/アディ・カラウレアヌ

これは二人だけの秘密―。

2007年カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した人間ドラマ。
『ラストキング・オブ・スコットランド』『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』『クィーン』をおさえて見事勝ち取った作品。
徹底したリアリズム作品、楽しい映画ではないですがひきこまれました。

story
チャウシェスク独裁政権末期のルーマニア、大学生のオティリア(アナマリア・マリンカ)とガビツァ(ローラ・ヴァシリウ)は寮のルームメート同士。実はガビツァは妊娠していたが、中絶は法律で禁じられていた。中絶手術の当日、予想外の事態が重なり手術の機会を逃しそうになるが、オティリアは親友のためにある決断を下す。(シネマトゥディ)



独裁政権下のルーマニア。大学寮のシーンからはじまり、日常の情景が映し出される。
長回しのせいかずうーと緊張感をもって観てしまう。
中絶が違法とされてる世の中、主人公オティリアはルームメイトが中絶することになり、彼女を助けるためにひとり走り回る。


オティリアのまわりの人間は、皆あてにならない人間ばかり。
ルームメイトは事の重大さをわかっておらず、すべてオティリアまかせ。
あげくのはてに嘘をつき、オティリアがその代償としてとんでもないはめに陥る。。なぜそこまでしてオティリアは友人を助けるのかが、大きなポイントなんですが・・

オティリアの恋人も、もし妊娠したらどうするのか何も考えてない。こいつとは結婚しないほうがいいな。。彼の家族たちとの食事会でも、そこにいる大人たちは勝手なことばかり言って、初対面のオティリアは気まずさを感じる。
いつのまにか、自分がオティリアの目線になっていて、むかついてくる。苦笑


物がない、自由がない、希望もない、選択することができない世の中を体感できた感じがします。
オティリアは自ら犠牲になり、危険を承知で友人を助け、やり遂げたんだけど、空しさが残りましたね。
流れに身をまかせながらも、前だけ向いていこうとする主人公の姿は、男にも負けない強さがあった。

ホテルは電気がついていなかったり、街の中も暗くて独裁政権の末期を表してるのかな。
エンドクレジットの音楽にはびっくり!

『ある子供』と雰囲気が似ていて、こういう映画は嫌いじゃないです。

★★★★(5段階☆は0.5)

「4ヶ月、3週と2日」公式サイト

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やわらかい手 

2008-09-04 | ヤ行の映画

IRINA PALM(2006/イギリス、フランス、ベルギー、ドイツ)【DVD】
監督:サム・ガルバルスキ
出演:マリアンヌ・フェイスフル/ミキ・マノイロヴィッチ/ケヴィン・ビショップ/シヴォーン・ヒューレット/ジェニー・アガター

この穴から幸せが見える。

平凡な中年女性が風俗の世界で隠れた才能を発揮する。
際どいストーリー、好奇心をそそる内容ですが、よく出来たドラマです。

story
ロンドン郊外の町で、至って平凡な人生を歩んできた主婦、マギー(マリアンヌ・フェイスフル)。最愛の孫の手術費用を何とか工面するために、彼女はちょっと変わったセックスショップでの接客業を始める。そのサービスとは、壁に開いた丸い穴から手を動かし、壁の向こうの男性を絶頂に導くこと。やむなくこの仕事を始めたマギーだったが、その隠れた才能で、瞬く間に長蛇の列が出来る売れっ子となっていく…。



タイトルは主人公の風俗店での芸名。若い美女の名前かと思いきや実物は年増のおばさん。
愛する孫の手術費用を工面するため、マギーは風俗店に飛び込む。壁の穴から手を動かして男性をイカせるお仕事。
世間知らずの私にはできない!といいつつ、かわいい孫のため覚悟を決め、働くことになる。
ちなみにお店は日本式だそう・・・。

同僚が「さあ、やってみて!」といきなり実践。
その後マギーはゴッドハンドの持ち主と評判になり、たちまちお店の稼ぎ頭。彼女には意外な才能(?)があったわけだけど、穴がある殺風景な部屋に絵や花を飾ったり、可愛らしいところがあって「がんばれ!」と応援したくなったな。


仕事をとられた同僚に憎まれたり、母の仕事を知った息子の激怒など辛い経験もする。
でも冷たかった息子の嫁の感謝の言葉はいい場面でしたー。
マギーを仕事の道具としかみてなかったオーナーとも心のふれあいができ、お金以外に彼女にとっては大きな人生経験だったと思う。
孫のための人生だったのが、いつのまにか自分のための人生に変わっていく。
狭い街の人たちとの情景もイギリスらしい。職場に行くときのシーンのBGMが暗くてドヨーンとさせる^^;


華やかではないし、ひいてしまう内容でも一見の価値あると思う。
イギリスの秀作ものは、偏見に打ち勝つ人々のストーリー(下ネタがらみ)が多いです。

主人公役のマリアンヌ・フェイスフルは歌手だったのね。波瀾万丈の人生をおくれられた方のよう。
今の声はしゃがれてますが、昔はエンジェル・ボイスと言われてたらしい。

★★★★(5段階☆は0.5)

「やわらかい手」公式サイト

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善き人のためのソナタ

2007-03-22 | ヤ行の映画
Das Leben Der Andere(2006/ドイツ)
【劇場公開】

監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ/マルティナ・ゲデック/セバスチャン・コッホ/ウルリッヒ・トゥクール/トマス・ティーマ/ハンス=ウーヴェ・バウアー

本年度アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。
楽しみにしていた映画で、やっとこさ観にいくことができました。


1984年の東西ドイツに分かれていた時代。
旧東ドイツでは言論の自由を奪われ、人は監視されている。
裏切り、密告者など、人間不信になりそうな社会って、今のわれらにはピンとこないです。
これが今から20年あまり前のヨーロッパの国の現実だったのです。
芸術家が苦しんでいることも知らなかったし、命を断つ者もたくさんいたのですね。

主人公のヴィスラーは、シュタージ(国家保安省)の優秀な局員。
まじめで、冷たそうなおじさん。
反体制的であるという証拠を得るため、劇作家の男ドライマンと恋人である舞台女優クリスタの監視をするため、部屋を盗聴をすることになる・・・


淡々と仕事をこなすヴィスラーに思いがけないことがおこる。
盗聴器から聞こえてきたのは二人の自由な思想の会話、愛の言葉、ドライマンが弾くピアノの調べ・・・
今まで知らなかった世界に、ヴィスラーは魅せられていくのです。


シュタージという監視システム組織に驚きました。
盗聴というと覗きですからいい印象ではない。
国家に忠実にあるためといっても、上層部は出世のため、欲のために国民をマインドコントロールしようとする。
権力に屈しないものは、仲間はずれ。一党独裁政治の恐さでもある。
証拠をつかもうと、家にふみこんでいくシュタージは、ナチスを連想してしまうな。


時代に翻弄される劇作家と女優に出会い(間接的)、ヴィスラーは二人のためにある行動を起こす。
自の身も危ないのにね・・・

壁の崩壊でシュタージは消滅。
記録は残り、それがラストへとつながります。

最後がとってもいいんです。しみじみと泣けます~。
善き人というタイトル、効いてます!
あったかい気持ちになるし、人間が好きになると思う


ヴィスラーがシュタージでやってきたことは無意味なこと。
でも彼が最後に起こした行動は、無駄ではなかった。
人間としてなにが正しいことか、人間同士のつながりの大切さ、芸術は人間を変えるほどすばらしいものだということが、よく伝わってきた映画でした。


主役のウルリッヒ・ミューエの心の移り変わりを表現する演技は完璧でした。
劇作家役のセバスチャン・コッホは、ポール・バーホーベン監督作「ブラックノート」に出てるそう。私の地域ではこれから公開なので観たいですねえ。

★★★★★(5段階☆は0.5)

「善き人のためのソナタ」公式サイト

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夜のピクニック

2007-03-04 | ヤ行の映画
(日本)【DVD】

監督: 長澤雅彦
出演:多部未華子 /石田卓也 /郭智博 /西原亜希 /貫地谷しほり /松田まどか /柄本佑 /加藤ローサ

夜、並んで歩く。
ただそれだけのことなのに、どうしてこんなに特別なんだろう・・・


いい話でしたあ。
この映画を観てる間は、時間が逆戻りしたよう。
全国の書店員が選ぶ第2回本屋大賞を受賞した、恩田陸の同名ベストセラー小説を映画化。
原作はまったく知りませんでした。


高校の恒例の行事である、24時間かけて80キロ歩く「歩行祭」がはじまる。
こんな行事を行う高校が実際にあるのです。(Wikipediaより)
はた目からみると、行列というか行進してるみたい。
3年生最後の「歩行祭」を迎える甲田貴子(多部未華子)とクラスメイト西脇融(石田卓也)。
実は二人は異母兄弟という秘密をもっていた。
負い目を感じる貴子、無視する西脇。
しかし、貴子はある想いを秘めて、この歩行祭に望んだのだ・・・



団体行動、精神主義にブツブツいいながらも、楽しそうな生徒たち。
ちょっとしたことに大笑い。
はるか昔の自分の高校時代を思い出しますねえ。笑

主人公の貴子と西脇は、大人の問題を背負わされてもいる。
重たい現実。
西脇が言うように家の恥でもあって、二人はうちとけられない。
その悩みを解決してくれたのは友人たちでした。
貴子には内緒にしてるが、二人の間柄を知っている貴子の友人。
素顔を見せない西脇に熱くなれ!とけしかける友人。
NYにいった貴子の友人の弟。
いつも歩行祭で途中脱落していたロック野郎のクラスメートなど・・・


歩きながら「去年は星がきれいだったね!」といいあう姿にじ~んときた。
人生の中で一番美しい時間を共有した友。
懐かしさがこみあげてきました。10代の自分はのほほんとしてて、時間がゆっくりと感じたなあ。

歩き疲れでギブアップしそうな仲間を励ましあう姿に、あの頃は友人はかけがえのない存在だったことを思い出す。

「今話さないでどうする!」と後押ししてくれた彼等のおかげで、貴子と西脇は語り合うことができた。
それから貴子の母親の勇気。
娘の友人にそっともらした家族の秘密。それは娘の親友であるからこそ、打ち明けたのだ。

「いつの日か、また歩こうよ!」という貴子と西脇に涙。。
そしてみんなでゴール!
いつもなら言えないことが、何でも言えた!
友情、人とのつながり、日々を大切に生きること・・・
夜のピクニックは忘れていた何かを思い出させてくれる、大人のための青春ストーリーでもありました。

悪い人はでてこないので、安心して観られますね^^ゞ
アニメがでてきて理解不能もところもあるが、中盤からよくなった。
キレイすぎるかもしれないけど、こういう映画もあっていいんじゃないかな。

俳優さんは加藤ローサしか知りませんが、みなさんフレッシュな演技で好感が持てました。

「夜のピクニック」公式サイト

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40歳の童貞男

2006-10-27 | ヤ行の映画
The 40-Year-Old Virgin(2005/アメリカ)
【DVD】

このタイトル、目をひきます~
しらけるかと思ったけど、意外に面白かったです。
シモネタ満載のドタバタコメディですが、妙に真剣な部分もありで、最後は思わずにっこりしてしまう作品でした。
40歳の童貞男を演じたスティーヴ・カレルは適役。
とぼけたところと、真面目になればなるほどおかしい俳優さんですねー。

●ストーリー●
40歳のアンディ(スティーヴ・カレル)はこの年でまだ童貞。
今まで隠していたが、職場の仲間たちにばれてしまう。
仲間たちはアンディを女性とのパーティに誘ってみたりするが、みな失敗(>_<)
そのうち、自分の働く家電量販店の前に店をかまえるトリシュ(キャサリン・キーナー)と話をするようになる。トリシュは三人の子持ちなのだが、体を求め合うのは20回目のデートの時にしましょうと決める。
急速に親密になる二人だがトリシュには童貞とは話してない。そして20回目のデート。アンディのロストバージンはなるか~?



趣味といったらフィギュア集めとゲーム。通勤は自転車。休日は料理することもある。女性と過ごすことなんてないわけ。
同僚たちに童貞だとばれてしまったのは女性の体について話した時。
裸体に触れたことないから当然知らないのでおかしなことを言って、みんなを唖然とさせる。
はじめは驚く同僚たちでしたが多少の興味もあり、積極的に彼女探しをするのです。
といってもまじめな彼らじゃないので、まず軽めの女性から狙ってランクをあげていくんだよと・・・まあ勝手な奴等。
酔っ払いの女性を狙うがこれが大失敗。顔にゲロを吐かれて悲惨な目に。とほほほ


アンディの同僚たちは、はじめは親しくなかったのに、女性関係の話をするうちに同士のようになっていくところは面白い。
ゆかいな仲間たちでもある。
あちらのギャグは笑いのツボが違うので戸惑いますが、
シモネタはどこの国でも同じせいか(笑)テキトーにクスッとさせられます。
でもピンとこないギャグも多い。。。

アンディはオタク人間といっても、真摯なサラリーマンにもみえる。
潔癖で女性を崇高なものだと思っている。
たまたま女性とそういう関係に陥るチャンスがなかったって感じ(未遂あり)
別に経験がなくてもいいかっ!てね。

しかし運命の人は近くにいたんです。
女性とつきあうようになったアンディは自信をもったのか、積極的になり地味な製品管理部から販売部に移り、成績もあげる。
人間はこんなに変わってしまうもんなんですねえ。
トリシュの連れ子とのふれあいもなかなかいい。

DVDのNGシーンは、シモネタが多いせいか、俳優たちの吹き出す場面があり。
ラストの「アクエリアス」を歌って踊るシーンは爽快だったなー。
後味のいいはじけた物語でした。
スティーヴ・カレルは普通にしてると、顔も端正だしコメディアンには見えない。
トリシュ役キャサリン・キーナー、よかった。

「40歳の童貞男」公式サイト

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ユナイテッド93

2006-08-13 | ヤ行の映画
United 93
(2006/フランス=イギリス=アメリカ)
【劇場公開】

2001年9月11日の同時多発テロで4機がハイジャックされ、3機はターゲットに到達。
これは4機目の再現ドラマです。
結末をわかっていても、見応えがありました。
「ボーン・スプレマシー」のポール・グリーングラス監督が遺族、管制官の証言をもとに描いています。
どうしてこんなことが起きてしまったのか。
世界中の誰もが考えなくてはいけません!

●ストーリー●
2001年9月11日、ニューアーク空港発サンフランシスコ行きのユナイテッド93便は、予定時刻より30分ほど遅れて離陸しようとしていた。
乗員乗客44名。その中にテロリストが含まれているとは誰もしらなかった。
最初の異変はボストン管制センターが気づいた、アメリカン11便の交信不能とハイジャックされたということ。
その後、世界貿易センターへ飛行機が激突したニュースが。それがアメリカン11便だった。
そして今度はユナイテッド175便が南棟へ激突。誰もが言葉を失う。
その頃、ユナイテッド93便の機内では朝食が出されていた。突然テロリスト達が行動開始。操縦室を制圧。
機内は混乱する・・・


そのときの記憶が蘇ってきました。ちょうど夜の10時からのニュースを見ようかとTVをつけたら、世界貿易センターから煙が出ているライブ映像。
火事なのか?その時、横から飛行機が突っ込んできました。一体何が起きたのか・・。
その頃、このユナイテッド93便は快適な飛行をしていたのです。

冒頭からテロリストたちの祈りがはじまる。命をかけて仕事を遂行しなければいけない。
この作品は両方の立場になって映像化してますね。
テロリストたちの異様な目の輝き、必死さが伝わってきて緊張感がただよっている。
快晴、さわやかな朝、快適な旅であったつもりが、こんな悲劇が待っているとは誰もしらない。

出演者のほとんどは無名の俳優を起用。もしくは実際の管制官が出演しています。
はじめに標的にされた1機目が応答しなくなり、緊急体制がとられる。
ボストンなどの管制センターはパニック状態だったんですねえ。
これは内輪の話なので、とてもリアルでした。

もし自分が乗っていたら・・・と考えてしまう。
みんなケータイで自分の家族や知人に連絡。
やがて他の旅客機も乗っ取られ、ビルに突っ込んだことも知る。
もう着陸することはないだろうと悟る乗員乗客たちは、決死の覚悟を決めるのです。
家族に最後の言葉を伝える乗客たち「愛している、ありがとう」



カメラの振れはその場にいるような感覚を覚えます。
やがて乗員、乗客たちは知恵とそして勇気をもって、被害を最小限に食い止めようと、犯人たちに最後まで抵抗したのです。墜落するまで・・・
暗転そして静寂。
この最後の部分はボイスレコーダーから推測したんでしょうかね。
再現といっても、当事者はみな亡くなっているわけで、想像の世界でもありますが心が痛みます。



世界中ではテロの恐怖にさらされている。3日前もロンドンで未遂に終わったテロがありました。
私たちが住む日本も同じです。
映画のパンフのキャストの部分は、乗員乗客、テロリストたちの本人の名前、その横に演じた俳優の名前が記されていました。日本人の方も一人含まれています。

テロリストたちの祈り、乗員乗客たちの祈り、同じ祈りでも隔たりがあることが印象的でしたね。

★★★★★(5段階☆は0.5)

「ユナイテッド93」公式サイト

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歓びを歌にのせて

2006-08-09 | ヤ行の映画

SA SOM I HIMMELEN
(2004/スウェーデン)
【DVD】

人間くさいドラマ。人と人とが歌によって共鳴しあう。
人は生きていく中で居場所が必要なのです。
希望にあふれた物語。
歌は素晴らしい!

●ストーリー●
著名な指揮者ダニエル(ミカエル・ビュークヴィスト)は演奏後、倒れてしまう。
あらゆるプレッシャ-、疲労から心臓はボロボロになっていた。
疲れ果てたダニエルは生まれ育った村に戻る事にした。
古い学校を借り、自然と隣り合わせの静かな暮らし。
ひょんなことから村の聖歌隊を引き受けることになる。
その聖歌隊にはいろいろな悩みをかかえている人たちがいた。
外界から現われたダニエルの常識をやぶったふるまいで村の人たちも変化をみせる。
だが、不快感をしめす者もいて、ダニエルの邪魔をしようとするのだが・・・




小さな村にやってきた有名な音楽家。
この村の人たちは歌が大好き。
若者から年寄りまで世代もバラバラ。それぞれ人生の苦しみ、哀しみも味わっている。
歌う事でみんなと分かち合う事ができる。
でもほんとの気持ちは胸にしまったまま。
夫からの暴力におびえる妻、容姿のことがトラウマになっている男性、妻子ある男性に騙され傷ついている女性などさまざま。

音楽家の幼い頃からの夢は、人の心を開くような音楽をつくること。
素朴な人たちの心に触れ、ダニエルの中で芸術家としての意欲が高まってくる。
今まで内にしまっていたものが、歌によって吐き出される。

でも変化を拒む者もいる。
教会の神父は今までみんなから、尊敬されていると思っていたのに、ダニエルのおかげで自分の居場所がなくなってしまう。
新しいものを排除しようとする傲慢さと嫉妬に、妻も飽きれてしまう。
人間は複雑です。

心臓病を煩っているダニエルは、いつも怯えと闘っていたが、
村の女性によって、はじめて心を開くのです。
今生きてる歓びを感じるダニエル。
自分を必要としてくれる人たちがいる。
人間は一人では生きていけないもの。

そして練習の成果がコンクールで試される時がくる・・・

ラストはジワジワと感動させます♪これも歌の力。
ハリウッド映画とは違うエンディングではありますね。

暴力におびえる妻役のヘレン・ヒョホルムはスウェーデンの国民的歌手。
その歌声に聞き惚れましたね~
北欧の歌手は一時期ブレイクした時があって、メイヤが好きでした。

長くて寒い冬、緑がまぶしい夏。
北欧らしいぬくもりを随所に感じました。

「歓びを歌にのせて」公式サイト

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