この写真だけを見て、何の仏様か言い当てたら
けっこうマニアかも。
実はこれ、「弁財天(弁才天とも表記します)」です。
ただし、通常の琵琶を抱えた姿ではなく、8本の手(八臂)を持っています。
実はこのお姿の弁財天は「金光明最勝王経」の記述を元にしたお姿です。
仏像自体はかなり傷みが激しいのですが
本来ならば弓・刀・斧・羂索などの武器を持っていたものと思われます。
今では弁天様といえば「財」とか技芸の神様とされていますが
もともとは水に関わる神。水は農業に欠かせないことから
豊饒をもたらす農業の守り神とされていたようです。
また、写真の弁天様にはありませんが、
頭の上に鳥居や白蛇をのせた形の弁天様もあります。(山口県の某お寺様に・・)
やはり八臂なのですが、そういうお姿の場合は「宇賀弁天」と呼ばれることもあります。
「宇賀」とは「宇賀神」のことでウィキペディアによると
宇賀神(うがじん)は、日本で中世以降信仰された民間信仰の神である。
神名は日本神話に登場する宇迦之御魂神(うかのみたま)に由来するものと考えられ(仏教語で「財施」を意味する「宇迦耶(うがや)」に由来するという説もあるが、少数派である)、元々は宇迦之御魂神と同様の穀霊神・福神として民間で信仰されていた神であった。
ということで、仏教に取り入れられて弁天とくっつけられた、ということです。
ちなみに弁天様にはその手足となって働く十六童子と呼ばれるお付がいます。
この写真の弁天様の場合は一緒に十六童子も厨子におさまっている、という
珍しい形になっています。