この仏像は白檀製です。
白檀という木は香木として有名ですが、古来インドでは仏像といえば
白檀で彫るものとされていたそうです。
シャカの生前、弟子の一人が白檀で仏像を彫ったのが始まりとか・・・。
そんなわけで、白檀製の仏像はとくに「檀像」と呼ばれ珍重されます。
また、材質が硬いため彫りにくい反面、毀れにくいので緻密な彫刻が可能です。
この大日如来像も、そんな檀像の一つ。
細かい火炎を鋭く彫り出した火炎光背には真言宗のご本尊様にふさわしく
三鈷がいくつも彫刻されています。
写真の都合上、台座までは載せられませんでしたが
台座も華蔓座と呼ばれる細かな細工が施してあります。
胸の瓔珞や衣紋の流れも美しく表現されており、
在家用のお仏像としては最高級のものです。
ちなみに白檀の持つ芳香を殺さないよう、檀像には
ほとんど彩色をしないのが一般的です。
この大日如来像もショーケースの扉を開けるとふわぁっと
白檀の香りが漂います。
なお、仏教が中国に広まるとともに、中国では白檀が手に入りにくいため、
「仏像は栢木(ハクボク)を用いてもよい」という解釈が示されました。
その、栢木が日本では「栢(カヤ)、榧」とされたようです。
従って、当店のショーケースにも榧製のお仏像はたくさん並んでいます。