フェルトは、1981年にチェリー・レッド・レーベルから出したアルバムが最初らしいが、僕が初めて知ったのは、日本向けの編集盤「毛氈(もうせん)」という1984年1月に日本で発売されて、「クロスオーバー・イレブン」で、この曲を聴いたのが初めてだった。
1983年12月末YMOが散会し、ミュージックシーンというか、ニューウェイブシーンは、静かな方向に向かって歩み出していた。
ジャケットは非情に猥雑なデザインになっているが、中身の8曲中4曲はインストルメンタルで、2人の穏やかなギターの掛け合い、かと思えばヴォーカル入りの方はといえば、少しキュアーやエコー&ザ・バニーメンを思わせるようなぎくしゃくとした感じを特徴とした曲が多いが、全体としては、8曲聴いても、バンドの全体像は掴めないといった具合だった。
「僕は、と言えば」当然、インストルメンタルの曲ばかり聴いていた。
その中でも、この2人のギターの掛け合いの、穏やかな日の差す、夏のエアコンの効いた部屋で、ゆったりと流れていく入道雲を見ながら、土曜日の午後、じっとイスに座って聴き入る時間を、とても大切にしていた。
ドゥルティ・コラムと一緒にカセットを作ると相乗効果があって、美しい永遠の静かな午後が(もう戻らない)時として、カラダに染み込んで来た。。。
うつむく暗い青年にとっては、いつまでも、こんなぬくもりのあるおだやかな音が永遠に続けば良いと思った。