こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

2011年10月17日 月曜日 YMO 「希望の路」'83.5

2011-10-17 22:02:27 | 詩、セリフ・・・そして、コトバ




はるかな道を越えて ボクはここへやってきた
重いカバンを捨てて 残したものは何も無いはず

窓のあかり いつもの通り
愛していた 部屋の空気

開けたままの 本のペイジ
灰皿には タバコの吸殻

僕は振り返れずに 誰かの呼び止める声にも
この手でドアを開けて 新しい道を見ている

きっと君は いつもの通り
テレビを見て 一人笑い

飲みかけの お茶を置いて
ベルの音に また立ち上がる


きっと君は いつもの通り
テレビを見て 一人笑い

飲みかけの お茶を置いて
ベルの音に また立ち上がる

はやる心を 澄ませば
何かの前兆(まえぶれ) 感じている

この不思議な気持ちを
今 君に伝えよう

この不思議な気持ちを
今 君に伝えよう・・・・・


(作詞・作曲:高橋幸宏 編曲:YMO アルバム『浮気なぼくら』より)

***

過去話したが、1981年「BGM」「テクノデリック」とウィンターライヴという怒涛のようなエネルギーを爆発させたYMOは、1981年末でやりたいことはやり尽くしてしまう。
1982年になって、3人3様やりたい方向に動く中、それぞれの確執が表面化しどうにも収拾が付かなくなり、アルファレコードの村井社長が「もう解散しろ」と言い、やっとコトが終結することになる。

この後、YMOというモンスターをどう終結させるかに向けて動き出す。
解散が決まった後、1982年10月17日に「浮気なぼくら」の打ち合わせがスタジオAにて行われる。

シングル「君に胸キュン」はカネボウのCM用として1983年3月25日に発売・アルバム「浮気なぼくら」はその2箇月後の5月24日に発売されたが、その録音には、かなり前から制作が開始されている。

アルバムは実は1982年12月29日に完成。
そこから年末年始を経て、1月になってシングル「君に胸キュン」の制作を開始し1月20日に完成。
全体のトラックダウンを再度行い3月中旬にアルバムが完成、という流れ。



***

アルバム「浮気なぼくら」は、つい「君に胸キュン」のイメージが強いため「YMOが歌謡曲をやる」と世間では思われていたが、自分にはそうは思えなかった。

初めてこのアルバム全曲を聴いたのは、夜中3時のFM東京「マイ・サウンド・グラフィティ」だった。
3人がゲスト出演し、1週間通してのYMO特集が流れた。

細野さんが「浮気なぼくら」を「裏テクノデリック」と言ったように、中身の濃いアルバムで、歌謡曲とは呼べず、やはりYMOという避けようの無い刻印がうっすらと曲の背後にあった。YMOならではの名曲がたくさん内包されていた。

「YMO」という十字架・タガが外れることからの開放への喜び、それとは一方にそれらが無くなっていくことへの郷愁がこのアルバムには漂っていた。
このアルバムは全曲、相変わらずのYMOらしい完璧さを持っていた。

見る側・聴く側には、この時点では解散など寝耳に水だった中、「希望の路」という名曲の歌詞には、その解散が隠喩としてちらついている。

28年経っても、自分はこの曲のナーヴァスさが好きで、今でもよく聴く・愛してやまない1曲である。


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6 コメント

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はじめまして (香川県に住む人)
2011-12-29 18:28:12
はじめまして、当方YMOやその周辺の音楽を一年ほど前から聴き始めた学生です。
YMOの事を検索している経由でちょくちょく訪問していました。
music plansや灰色の段階は私も大好きです^^*

浮気なぼくらは当時を全く経験していない私でも、YMOというグループが終結することのメンバーの素直な開放感と、旅立つことの寂しさが入り混じった複雑な心情が伝わってきます。
(基本かたちんばさんと言いたい事は同じですが、文章力の無さが決定的な違いですね・・・;_;)
音楽やロータス・ラブやワイルドアンビションズや邂逅も良いです。
返信する
ようこそ。 (かたちんば→香川県に住む人へ)
2011-12-29 19:33:36
こちらこそ、はじめまして。
そうでしたか。
世代を越えて、YMOを媒介とした出会いに感謝します。

自分は、ちょくちょく、良い歳して文章がヘタと揶揄されることも多々です。
自分でもそう思っています。

単に音楽を聴いていれば良いのかもしれません。
ただ・・・YMOへの思い入れ、そして(最近特に思うのは)30年が経過したのに、未だにYMOは日本国内で正当な評価と位置付けをされていないことが、ヘタでもこうして文字を書かせているのだと思います。

ゆえに、ワールドハピネスでは「オヤジ」だの言われて相変らずの「アウェイ」。
一方で、知らない間に行われたサンフランシスコのライヴでは、リラックスした雰囲気の中、熱狂的ファンに囲まれ、最高潮とも言えるグレードの高い演奏。
2011年のYMOの姿には、深すぎる想いを抱いた一方で「日本の音楽の構造は、やはり30年経っても何一つ変わっていない」のを実感した年でした。

***

「浮気なぼくら」もお聴きになっているんですね。
香川さん(笑)がおっしゃるように、良い曲がたくさん詰まっていますね。
「邂逅」の歌詞やチャイムの去っていく音も・・YMOの終焉への助走を感じさせます。
「ワイルドアンビションズ」は細野さんと教授が共作した唯一の曲ですが、渋くてカッコ良い曲ですね。

実質はこの段階では、YMO最後のアルバムにしようと3人は思っていたようです。
そこに・さらに「もういっちょ、サーヴィスお願いします」と依頼を受けての「サーヴィス」制作。。。と、常にレコード会社や周囲に振り回されてきたYMO。

今、やっと、何も無い状態で3人が素の姿でYMOに向き合えている。
それを自分が見て・聴ける幸福を感じます。
この最高潮の状態でのYMOは、このあとどうなるかがわからない中、何とか国内ライヴを開いて欲しいと思っています。

またまた、精神分裂病的に、脱線してしまいました。
是非、またおこしになってください。
「どんな想いや響きをしながら、聴いているんだろうか」という点、とても興味深く思っています。
返信する
Unknown (香川県に住む人)
2011-12-29 21:20:53
返信ありがとうございます。

>>自分は、ちょくちょく、良い歳して文章がヘタと揶揄されることも多々です。
>>自分でもそう思っています。

あわわ! ;o;
「かたちんばさんに文章力が無い」と受け取らせてしまったのでしょうか。

全く反対で、かたちんばさんの「浮気なぼくらがこうこうこういう風に好きだ」と語っている文章にとても共感し、自分も浮気なぼくらの良さを同じように語ろうとコメントをする気になったのですが、いざ自分が書こうとしても自分の文章力がないせいで、かたちんばさんのように好きな気持ちを文章にうまく起こせなくてもやもやしたので
「(基本かたちんばさんと言いたい事は同じですが、文章力の無さが決定的な違いですね・・・;_;)」
と言ったのです。

今読み返せばそう受け取ってしまう一文ですね・・・。
不快な気分にさせてしまった様で、ごめんなさい・・・。
返信する
いえいえ、違います。 (かたちんば→香川県に住む人さんへ)
2011-12-29 22:43:43
香川さん、違いますよ。
まったくそんなことは思っていないです。
全然、不快でも何でもないです。

自分は、思っていることが内面でふくらみ過ぎると、それをうまく文字に吐き出せない。
あくまで、ボクの内部で起きている感覚なので、全然気にしないでください。
ボク自身の感覚なので、香川さんの言葉でどうこうというのはありません。

ネットは、意思の誤解を生みやすいものですね。
ですから気にしないでくださいね。
返信する
希望の路 (hiroki_jive69)
2012-12-31 08:17:14
確か希望の路は、ユキヒロが作詩だったと?記憶がありますが、詩はユキヒロの愛していたフランス映画(タイトルは忘れました)のシーンを綴ったものかと思います。今までいた人が、いなくなり、その空気だけが、漂わせて、僕を悩ますといった感じかと(ユキヒロ風なんですが…)、思いますが、いい詩ですね!!来年で46歳になる私も、この曲だけは、しんみりさせる唯一の曲です。ちなみに、ユキヒロのライブのベストは、WHAT'S ME WORRY?時のツアーでの、新宿厚生年金会館のライブで、音源は残っています。
返信する
365日目のポストを開けると・・・。 (かたちんば→hiroki_jive69さんへ)
2012-12-31 10:16:34
9:30に起きると、今日もくもり空。
そんな中で、ポストを開けると、うれしいお便り。

hiroki_jive69さん、はじめまして。
文章から深い幸宏への敬意と愛を感じました。

「希望の路」。
これが、幸宏の好きなフランス映画のシーンをつづったものという考えは、まったく持っていませんでした。
なるほど、と思うと共に、じぶんで書き起こした歌詞をもう一度読みながら、ええなあ~と思いました。
hiroki_jive69さんのおっしゃる映画は「男と女」なんでしょうかね?

hiroki_jive69さんが「しんみりする」と言うように、幸宏の歌には、しんみり切なくさせるロマンティシズムが全開。
ぼくは、「サハヴァ」をつい思い出しました。

ライブのベストは1982年のもの。同感です。
当時、NHK-FMで放送されてエアチェックしたものは、未だに宝物です。
演奏もそうですが、ゲストのぜいたくさが尋常ではないですよね。
鈴木慶一さん・教授・加藤和彦さん・デヴィッド・シルヴィアン・・・・

実は、このライヴ。
兄から数年前にプレゼントされた海賊盤のCD(シルヴィアン&フリップの1993ライヴ)に、同時にこのライヴも収まっていて狂喜。
それもFMの音じゃなくて、FMでカットされた部分も収まっています。
誰か内部のスタッフが流したものなのでしょうか?
兄が買ったのは新宿のお店だったらしいです。

***

話しが逸れましたが、hiroki_jive69さんのお陰で、お茶を飲みながら12月31日に「希望の路」を聴いています。
ありがたい偶然の出会い。
こういう偶然が、じぶんの日々にあればよいのに。。。

来年で46歳になるというhiroki_jive69さんにとって、明日以降、良き日が続くことを祈ります。
音楽を愛する同世代の方が、健康でありますように。
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