京都つれづれなるままに

京都好きの旅日記。お寺、神社、グルメからスイーツまで!思いつくままに。

ART MON ZEN KYOTO 「古美術って何?」

2024年02月23日 09時58分00秒 | 日記
 2月17日は、京都古門前通にあるホテル・ART MON ZEN KYOTO へ。

この冬に開催されている「京の冬の旅」の"事前予約で楽しむ京都旅"のイベントのひとつです。







ホテルの2軒西側に店を構える美術茶道具商として知られる中西松豊軒さんがプロデュースされたラグジュアリーホテルです。








日本が世界に誇る数寄屋造りの美と技を随所に施した、おもむきの異なる15の客室があります。

それらを確かな審美眼によって選び抜かれた国内外の美術品が彩ります。

ベッド、バスタブ、空調、アメニティに至るまで、すべての部屋に最高級の設備を完備されています。











以前にNHK文化センターの現地講座で客室内を見学しましたが、オールドバカラや陶器、茶道具などの美術品が室内にさりげなく飾られています。

集合時間が12時と言う事もあり、ホテルに集合後にランチタイムです。











1階に併設されたレストラン・バーは、六本木ヒルズにある人気ステーキハウス「サーティーセブン ステーキハウス アンド バー(37 Steakhouse & Bar)」やパリ発のトリュフ専門店「アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリ(Artisan de la Truffe PARIS)」などを手がけるスティルフーズがプロデュースする「サーティーセブン グリル バー アンド ラウンジ(37 Grill ‒ Bar & Lounge)」としてオープン。日本の和の建材と欧米様式を合わせたスタイルで、上質な肉や魚介、オーガニック野菜をグリルした料理をメインに提供されています。

美味しいランチコースを頂き、次に中西松豊軒へと移動します。

通常非公開の2階でご自慢の古美術品を観賞されて頂きました。

茶道具を専門とされてるいるだけに、樂家の黒樂や赤樂、大西家の釜など歴代の利休七哲の作品が展示されています。







僕は、美術品は触ってなんぼ?、使ってなんぼ?との考えが強いので、間近で、しかも手に取っての楽家の作品には感動を覚えました。





手に取ると、手触りや重量感を感じますし、全体の形や高台の形など、美術館や博物館でのガラス越しでは決して味わえない事です。

個人的には「志野茶碗」好みで、自分の手に最も馴染む感じがします。











また、後水尾天皇さまの二条城行幸の屏風や宸翰のお軸、尾形乾山の器が展示されていました。

個人的な感想ですが、尾形乾山の器は美術館や博物館に所蔵されていてもおかしくはない秀品です。しかも5客が揃っているところに価値があると思います。





次に場所を1階のホールに移して中西松豊軒三代目中西輝之さまの"「古美術って何?」京都の美術商から聞くよもやま話"の講演です。

父親との美術品に対する考えの違いやホテル運営に対する考えや想い、オークションの事などを"ここまで言っていいの?"と本音で熱く語られました。

本当に"いい物"は、オークションには出ないそうです。
業界間での取引や所有者と直接取引する事がほとんどのようです。

「今まで大切に持っていた物をオークションに出しますか?誰が買うのかわからないのですよ!価値のある美術品には業界の相場と言うものがあって、その価値がわかる人がそれなりの値段で買うべきなのです!」

実にわかりやすくお話されました。
聞き入ってしまい、1時間があっという間でした。









la mura神戸会下山(関西の洋館)

2024年02月21日 11時57分00秒 | 日記
 2月19日は、よみうりカルチャー大阪の講座「関西の洋館ノスタルジー」で神戸市兵庫区にあるla mura(ラ・ムーラ)神戸会下山の現地講座でした。



講師は、研究歴40年を超える建築史家の川島智生先生です。









湊川公園駅の北側「会下山(えげやま)」の住宅街に、『La mura(ラ・ムーラ)神戸会下山』という発酵食品を中心にした古民家レストランができてます。













国の登録有形文化財として築80年を超える古民家で頂ケル「発酵フレンチ」は、完全予約制のコースのみ!ランチは3500円と手頃なお値段で頂けます。













『La mura(ラ・ムーラ)神戸会下山』は、同じく兵庫区内にある「酒のてらむら」という老舗酒店がプロデュースしているお店です。

2階建ての建物は落ち着いた色味の木造で、高い天井ギリギリまで窓があり、日差しを多く取り込まれた洋風民芸建築の粋を集めた古民家です。

エアコン・照明以外はほとんど形を変えず補修され、当時の空気感をそのまま残しています。





築80年余りの「国登録有形文化財」は、もとは兵庫津の石阪芳松商店のご長男 石阪さんの住宅だったそうです。
4年ほど前までは住んでおられたようですが、その後は長らく「空き家」状態で劣化も進んでいたんだとか。

主屋の裏側にはかつてあと2軒おうちが並んでいたそう。1つは「石阪さんの娘さん家族のお家」として、もう1つは「お手伝いさんの住まい」として利用していたんだとか。古くから石阪家を知る人いわく、当時は超豪邸だったそうです。

その石阪さんは、小磯良平の弟子石阪春生のことで、この建物はそもそも石阪春生のアトリエとして建てられました。

写真の材木だけが残っているのが「お手伝いさんの住まい」です。



真ん中のくぼんだ所は「引き戸」になっているんですが、当時はここから料理を出したりしていたそうです。















ランチも非常に美味しいです。
神戸特有の坂道を登らないといけないですが、歴史ある登録有形文化財で頂くフレンチはいいものです。


円空展 あべのハルカス美術館

2024年02月20日 07時24分00秒 | 日記
 2月13日、萬亀楼で美味しい有職料理を頂き、河原町丸太町を下がった所にある"お香"の老舗・松栄堂に来ました。







松栄堂さんが運営されている"薫習館"でお香の体験をした後、大阪へと帰り、やって来たのが「あべのハルカス美術館」です。





開催前から絶対に行こうと決めていた「円空」展です。



円空(1632〜1695)は、修行の旅に生涯を捧げた修行僧でもあります。

人々のために祈りを込めて仏を彫った円空。生涯に12万体の神仏を彫る誓願を立てたといわれ、飛神の剣のようにノミを振るい、神仏を彫り続けました。 謎の多い一生ですが、その生きた証として、優しく微笑む観音像、迫力に満ちた護法神像など、今も5千体を超える神仏の像が伝わり、人々に愛されています。 今回の展覧会では初期から晩年までの代表作により、創造の足跡をたどる構成になっています。

白洲正子さんの「十一面観音巡礼」にも登場し、彼女もその素朴さに心惹かれたひとりです。



近世畸人伝に描かれている絵図で、飛騨国にある千光寺へと遊行した際にきり立ったままの枯木に向かって仁王を彫っている円空の姿が描かれています。







今回の展覧会では一部の作品や1展示室の全ての円空仏が撮影可でした。















円空の所持品は鉈(なた)一丁のみだったそうで、常にこの鉈を持って仏像を刻むことを業とし、自己に課した修行でした。

職業仏師の作品とは異なり鉈一丁で地上げられ、ごつごつとした荒々しい円空仏ですが、仏像のお顔は丁寧に仕上げられています。

どの仏像も素朴でどこか懐かしさを覚えますが、己の気の赴くままに魂をこめて掘られているのは見応えがあります。

この仏像はどんな気持ちで、あの仏像はどの様なきっかけで彫られたのか?タイムスリップ出来るなら聞いてみたいですね。













円空が現在の岐阜県高山にある千光寺には多くの円空仏が残されています。
ご住職の舜乗(しゅんじょう)と意気投合し、しばし滞在されたそうです。













円空仏で有名な円空ですが、元禄2年(1689)には岐阜県関にあった弥勒寺を再興し、後に園城寺(三井寺)の末寺となっています。

天台宗寺門派の法脈を受け継ぐ、立派なお坊さまでもありました。

岐阜県の千光寺までは、なかなか行く機会が無いのでミュージアムショップで御朱印を授与して頂きました。
















萬亀楼 お昼の懐石料理

2024年02月19日 08時41分00秒 | 日記
 2月13日は、京料理・有職料理の名店「萬亀楼」さんへ。







京都仲間のKさんのご招待です。
と言うのはKさんは毎年、みやこめっせで開催されている"京都料理展示会"に行かれていて、そこでの懸賞でここ萬亀楼の食事券を当選されたのです。







そこで、僕を招待して頂き感謝の気持ちでいっぱいです。







広すぎる大広間にふたりだけの最高に贅沢な空間です。
(全部で7部屋あるそうです。)



「萬亀楼」さんは享保7年(1722年)創業。
京都の地で有職料理を受け継ぐ約300年の歴史を持つ老舗料亭です。
現在の店主は10代目であり、また生間流式庖丁の30代目家元でもあります。





炮烙焼の器の中には、利休麩や菜の花、白魚と"春"を感じる一品です。







椀物

卵豆腐かと思行きや、中には鱈の白子が隠れています。
お出汁も、昆布と鰹節との風味と旨みがたっぷりで非常に美味しい椀物でした。





刺身

中には平目、真鯛、中とろのお刺身が乾山写しの器に綺麗に盛り付けられています。

アンデス産の岩塩と醤油とが添えられ、白身の真鯛と平目は岩塩で頂くのが一番。
素材の旨さがダイレクトに伝わります。
(家では藻塩で頂いています。)

中とろにはわさびをたっぷりと載せて頂きます。
魚の脂分が多いので、わさびがいいアクセントになり、より中とろを味わえます。





八寸

八寸は京料理の"華"ですね。
二月の節分にちなんで柊が添えられ、八寸だけで季節を感じる事が出来ます。

料理人の方に取っても、どの様に季節を出して美しく見せるかの腕の見せどころの一品です。





蒸し物

三宝柑の中身をくり抜き、中に胡麻豆腐を入れて蒸された一品です。
田楽味噌が上に載っていて、美味しい一品でした。
お腹もぽかぽかになり身も心も満たされ、大変美味しかったです。



焼物

銀だらの幽庵焼にはのし梅を酒粕で包み油で揚げられた料理も添えられています。

素人が焼くと、どうしても焦げてしまいますが、さすがは一流料亭ですね。
焼き加減が絶妙です。

幽庵焼は、江戸時代の茶人・北村幽庵が考案した料理方法で、醤油やみりん、酒の調味液に柚子やかぼすの輪切りを入れた幽庵地を用いた魚の付け焼料理です。

北村幽庵は滋賀県堅田の人ですが、西京焼とともにすっかり京料理のひとつになっています。




ご飯

真鯛の塩焼きが入ったお茶漬けです。
真鯛とお茶漬け、、、最高に贅沢お茶漬けです。

これで、お腹が満たされるように計算されています。



水物

苺とグレープフルーツとのジュレです。
コースの最後を飾るのに相応しい水物です。

口の中がさっぱりとリセットされ、これまで出された料理の余韻が残ります。

宮中を発祥とする「有職料理」を看板に掲げられるだけの価値ある見た目も味覚も満足な懐石料理でした。






京町家らしい中庭です。
光悦垣に緑の苔庭が映えています。












春日大社(世界文化遺産)

2024年02月17日 10時21分00秒 | 日記
 2月10日、春日大社で行われた「珠光茶会」の後、その半券で世界文化遺産にも登録されている春日大社を拝観しました。













① 中門・御廊(珠光)

中門は御本殿の直前にある楼門で約10mの高さがあります。中門正面の唐破風(からはふ)は明治時代に取り付けられました。
御廊は中門から左右に約13m、鳥が翼を広げたように延びています。現在御本殿の祭典では、神職の座る場所ですが、昔は興福寺の僧侶が常に御経をあげる場所であり、その他にも東大寺の僧侶も御経をあげていました。

















御廊に名だたる戦国武将や徳川将軍も釣燈籠を寄進しています。

② ご本殿(国宝)




御祭神
第一殿
武甕槌命(たけみかづちのみこと)様が
第二殿
経津主命(ふつぬしのみこと)様が
第三殿
天児屋根命(あめのこやねのみこと)様が
第四殿
比売神(ひめがみ)様が、お祀りされています。

創立は神護景雲2年(768年)11月9日。
鎌倉初期に書かれた現存最古の由緒記『古社記』には、四所神殿の創建を奈良時代、 称徳天皇の神護景雲2年(768年)11月9日とされています。藤原永手が左大臣として活躍した時代でした。

ご由緒
春日の神々の御鎮座は奈良時代のはじめ、平城京鎮護のため、まず武甕槌命様を鹿島(茨城県)から 奈良・春日御蓋山頂に奉遷して祭られていましたが、それから数十年後の神護景雲2年に藤原氏の血を引く 女帝、称徳天皇の勅命により、左大臣藤原永手らが現在の場所に神殿を創建して、 さらに香取(千葉県)の経津主命様、枚岡神社(大阪府)に祀る藤原氏の遠祖・天児屋根命様と比売神様の四柱を併祀したのがその始まりとされています。



③ 社頭の大杉

目通り周囲8.7m、高さ25m、樹齢約800年~1000年と言われ、約700年前鎌倉時代後期に製作された『春日権現験記』には幼木の姿で描かれています。

その根元から斜めに延びているのは柏槙(伊吹ともいう)で樹齢は約500年といわれ、直会殿(重要文化財)の屋根に穴をあけてまで木を生かしているのは、特に樹木を大切にされる春日の神様の託宣(古社記)によるものです。

④ 萬灯籠再現・藤浪の屋(重文)



春日大社は燈籠がたくさんあることで有名ですが、平安時代から現在までに奉納された燈籠がおよそ三千基もあります。 







春日の燈籠は数が多いだけでなく、歴史的な資料としても重要で現存する室町時代以前の燈籠の六割以上が春日大社にあると言われております。

多くの見所のある春日大社ですが、一般に公開されているのは一部で、境内には貴賓館の様に一般公開さろていない所も多くあります。







非公開建物のひとつ「貴賓館」です。
庭園は重森三玲による作庭です。