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「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

I日記

2010年06月03日 | I日記
「幼年時代やその他あれこれの思い出からは、どこか買い占められていない感じ、したがって道をはずれているという感じがあふれてくるが、私はそれこそが世にもゆたかなことだと考えている。「真の人生」にいちばん近いものは、たぶん幼年時代である。幼年時代をすぎてしまうと、人間は自分の通行証のほかに、せいぜい幾枚かの優待券をしか自由に使えなくなる。ところが幼年時代には、偶然にたよらずに自分自身を効果的に所有することのために、すべてが一致協力していたのである。シュルレアリスムのおかげで、そのような好機がふたたびおとずれるかに思われる。」(ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』岩波文庫、pp.71-72)