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「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

土手

2009年10月31日 | 極私的ベスト5
いま、ぼくのフェイバリットは土手だ。
毎朝、浅川の土手を走っている。

強烈に気持ちいい瞬間がある。ジョギングは、健康やダイエットのためではなく、おそらくこの快楽のために存在しているのではないかと思う、思うとなんだか土手にたむろしているジョガーが生真面目な人たちというよりも、快楽主義者に見えてくる。最近よくあう小学生の姉弟。末恐ろしい若年ジャンキー(?)かと紅さす頬を横目にすれ違う。朝日が美しい。美しすぎるので、あまり見ないで放っておく。多摩テックの観覧車は、ゴンドラの部分が取り外されて、巨大な輪が山の上に伸びている。気づかぬ瞬間に撤去され、消えてしまうのだろうな。などと考え走る。これまではラジオかipodを聴きながらだったのだけれど、最近は何もつけないこともある。ただ純粋に「走るからだ」になって、頭は違うこと考えながらただ足と腕が反復運動をして呼吸をして、純粋に機械のように体を燃焼させる。首周りが小さくなって、シャツのボタンが苦しくなく留められるようになった。でも、あんまりまだ周りからは何も言われない。

いいかげん飽きても来ましたが、車に乗れば昨晩もKREVA『心臓』を聴く。もう2009年秋をこれ聴けば全部思い出せるくらい染みこませてしまおうとさえ思う。金曜日は、現代女性ファッション誌の分析を先週終え優美の歴史に入った「美学」(古今の女性の生き方を「見る/見られる」関係から考察するという内容、いずれダンカン、ベイカー、オノ、マドンナ、スピアーズ、松田、浜崎などを論じる予定)の講義(昨日はルネサンスの宮廷人の優美論)の後で、ピカソ「アヴィニヨンの娘たち」をきわめて精緻に分析した名著「哲学的な娼窟」(スタインバーグ)を院生三人とあともぐりの学部生とで読む。金曜日は、学生たちが突然遊びに来ることが多い。先週は、V系にはまっている学生が来て、V系のむちゃくちゃ面白いポイントを教えてくれた。今週は、アイドル志願の学生が「わたしもっと若く見られたいんです!」と18才にして若作りの相談に来た。確かに、金色のリポンを頭に付けて、中学生みたいなパーカーを身につけていた。なんだろと話を聞いてみると、アイドル志願者にとって18才はもうぎりぎりの年齢なのだそう。そうか。「森ガール」について熱く語る学生も来た。このポップ(?)な空間で「先生の単著『未来のダンスを開発する フィジカル・アート・セオリー入門』がこの前出たんだぞー、読みたまえ!」なんて、口が滑っても言えない(みなさんはぜひ、お目通し下さい!)。あ、でも、生協書籍部でレジ脇に置いてくれて、一冊売れたと、書店の方が教えてくれた。ちなみに、小さな書棚では『sweet』がはばきかせまくっています。