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「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

川染、秋山

2009年04月09日 | Weblog
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夕方、大学で学生達と自主研究会KATの時間を過ごし(一人の学生がテレビに登場する「女性的な男性達」をマップ化してくれた。性同一性障害、オネエmans系、ニューハーフ系、おかま系などが見事整理させていて、今年度二年生になったばかりというのに、素晴らしい分析だった)、その後、円盤にて川染喜弘presentsを見た。ともかく、昨年の秋以来見た、秋山徹次のパフォーマンスはすごかった。少し暗くして下さいと、後ろの壁にチェ・ゲバラの旗を貼り付けた後に呟くと、目出し帽を被って秋山は新聞を読む。しばらくして、新聞を脇に置くと、次に目の前のターンテーブルを回しはじめた。レコードは二枚ともペコペコになっていて、針はうまく溝を刻めず、ちょんちょんと内側へ向かって何度か飛ぶと中心の紙の辺りで紙を引っ掻くだけになってしまう。その妙なスクラッチ音のなかで、秋山はしゃべる。詩のようでまた哲学的でもあるような、でも目出し帽の男の発言だから、すべてテロリストの声明のように聞こえてしまう、そんな言葉達。そうこうしている内、今度は缶で出来たガスバーナーを手にする、とそこにマイクを近づけその「スー」という音を拾わせる。でも「このままで済むはずはないな」と思っていると、その青い光をペコペコのレコードにあてていった。黒い盤に青い光が照る。美しく異常な景色。客席に笑いが漏れたのは、熱でぐちゃぐちゃになると思いきや、盤は次第に品行方正にというか平らになっていったから。あり得ない仕方で、時間が逆戻りしてゆがみが元に戻ったなんて、不可思議なイメージに戸惑う。けれど、また冷めていくと盤はゆがみだし、さらに一層溝は複雑に破壊され、針を拒む。なんてやっている間にも、秋山は時折平然と詩のような声明のような何かを喋る。ガスバーナーの音を拾っていたマイクは、今度は、青い炎の餌食となり、赤くなって、鉄の融けるノイズ音を最後に音が消え、それを秋山は脇に置いた洗面に浸け、水攻めに処す。炎にとろけていく機材達。融かす音と融ける音が一緒に音として並んでいる。残酷で官能的な、処刑のような時間。夜は、JR豊田駅から帰る。Aはいま豊田がお気に入りらしい。駅前のマックが大きくて、確かになんだか「アメ」っぽい。