kmitoh 春夏秋冬

水生生物雑記帳・男鹿半島幻想・接写と拡大写真

収斂進化(しゅうれんしんか)

2010-06-17 13:53:13 | 霞んだ光景
Tutibuta10061701
 
 
 収斂進化とは、異なる生物種が、同じような環境にすみ、
同じような食物をとる生態的地位についたとき、
似てくる現象である。
 
 絵はアリを食物といている夜行性のツチブタであるが、
アリクイと似た姿形に進化してきている。
 
 同じ食物を摂取し、同じ場所に生息している夫婦は、
精神的・肉体的収斂進化の結果、「似たもの夫婦」となるはずである。
 
 
 しかし、多分多くの夫婦は(少なくとも私は)、
同じ環境で暮らしている時間よりも、仕事場の
別環境で過ごしている方が長かったから、
「棲み分け」していたといえる。
 
 だから、定年退職したとき、夫婦が同一環境で
暮らし始めるのではなく、妻のテリトリーに
侵入することになり、収斂進化は期待できないのである。
 
 
 フリーソフト trueSpace 使用。
 
 


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この花の咲くや姫(木花之佐久夜毘売このはなのさくやびめ) 2

2010-06-06 19:30:00 | 霞んだ光景
Konohana100607013
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 その後、コノハナノサクヤ姫は、ニニギノ命に、
「私は妊娠していて、まもなく出産します。
お腹(なか)の子は天つ神の子ですから黙って
産むわけにはいきませんので、お知らせに来ました。」
と言った。
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 それを聞いた二二ギノ命は
「たった一度の契り(ちぎり)で妊娠したなど信じられない。
きっと国つ神の子に違いない」
と言葉を返した。
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 すると、サクヤ姫は、
「私のお腹にいる子が、もし国つ神の子であるならば、
無事出産できないでしょうが、あなたの子ならば、
無事に生まれるでしょう」
と答えた。
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 そして、すぐに産屋(うぶや)に入り、入り口を土で塗りふさいでしまった。
その後、産屋に火ををつけ、燃えさかるなかで、海幸彦(うみさちひこ)、
山幸彦(やまさちひこ)など、3人の子を産んだ。
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 物語は、九州南部の薩摩・大隈地方に勢力をもって
いたインドネシア系異民族隼人(はやと)と
大和朝廷との関係を表している。
 産屋に火をはなち、潔白を証明しようとしたのは、
誓約(うけい)で、盟神探湯(くがたち)と同じものである。
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Azarasi10060801
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 自分が描いた絵を眺めて幻想に浸る一種のナルシスト
である私は、別のことに指向が向いてしまった。
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 旧約聖書 3:16
 禁断の木の実をとったイブに神は言われた。
「あなたは苦しんで子を産むことになる。」
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 女性の産みの苦しみは、男である私にはわからないが、
これからますます苦しみが大きくなっていき、
ついには生物として自然出産が不可能になるだろうことは
予測できる。
 出産に適した体型とはほど遠い女性が増え、
胎児の頭はさらに大きくなっていくからである。
 歩き方も骨盤の構造から左右に脚を開いて歩く
のが合理的だったはずなのに、女性はその逆を指向している。
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 いつの日か、人間は自然種とはいえなくなってしまうだろう。
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 【絵の説明など】

 詳しいわけではないけれど、いちおうの説明。

 ・昔、出産は血の穢(けが)れをともなう忌むべきことだと考えていた。
  そのため、「産屋(うぶや)」を設けて産婦を隔離した。
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 ・写真はゴマフアザラシの出産。
  出産後、胎盤が排出され(後産という)、それによって血だらけになる。
  写真には胎盤は写っていない。
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 ・上層階級の産屋内部は白ずくめであったという。
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 ・以前は、出産体位は座産。
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 ・絵に描いている綱は「力綱(ちからづな)」とよばれている。
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  時代考証などは適当で、イメージ画としてみてほしい。
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 しょせん男にはわからない世界なのだろう。
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 参考:古事記 次田真幸 講談社学術文庫
     ほか。
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 画:フリーソフト、trueSpace 、Inkscape、Gimp 使用。
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この花の咲くや姫(木花之佐久夜毘売このはなのさくやびめ)

2010-06-05 08:37:29 | 霞んだ光景
Konohana10060501
 
 
 天降(あまくだ)りしてきたニニギノ命は、薩摩の国の笠沙(かささ)
の岬で美しい乙女に出会った。
 
 「誰の娘じゃ」
 「私はオオヤマツミノ神の娘で、コノハナノサクヤ姫です。」
 「姉妹はいるか」
 「イワナガ姫という姉がいます。」
 「わたしはあなたを妻としたいが、どうじゃ」
 「私は返事できません。父がお答えすることでしょう」
 
 そこで、オオヤマツミノ神のもとへ使者を立てた。
 オオヤマツミノ神はたいそう喜んで、たくさんの献上物ばかりでなく
姉のイワナガ姫を副(そ)えて、コノハナノサクヤ姫を差し出した。
 
 ところがその姉は、ひどく醜かったので、親のもとへ送り返し、
コノハナノサクヤ姫だけを残して、一夜契りを結んだ。
 
 イワナガ姫を戻されたオオヤマツミノ神は次のように申し送った。
 「娘を二人送ったわけは、私の勝手な考えからではありません。
 イワナガ姫は、岩のような永遠の命をもっことができるように、
コノハナノサクヤ姫は、木の花が咲き栄えるように繁栄されるようにと
神に祈り、誓いたてて送ったのです。
 イワナガ姫を戻されたので、永遠の命をえることができず、
はかない寿命となるでしょう。」
 
 
 このようなわけで、天皇方の寿命はかぎりがあり、長くないのである。
 
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 この話のもとと考えられるセレベスのバナナ型説話では、
次のように語られている。
 
 "最初の人間は、創造神が天から下してくれるバナナを食べて
命を保っていた。
 ある日、神が石を下したので、人間が他の食べ物を求めると、
神はバナナを下して、
「お前たちはバナナを選んだから、人間の生命はバナナのように
はかなくなるだろう。
 石を選んでおけば、人間の生命は石のように不変であったろう」
と言った。"
(松村武雄著「日本神話の研究』第二巻・大林太良著「日本神話の起源」)
 
 インドネシア系種族とされる隼人族が伝えていたものが、
「古事記」に採り入れられたと考えられている。
 
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 旧約聖書のアダムとイブの話に似ている。
 なぜ命がはかないのかと誰もが考え、
物語を紡ぎ出すのかもしれない。
 
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 人間の美醜は、「アバタもエクボ」といわれるように
好きになれば、美しく見えるものである。
 

  
参考:「古事記」 次田次郎 講談社学術文庫
   ほか。 
 
フリーソフト Inkscape、Gimp、trueSpace 使用。
 
 


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