バイリンガルとは2言語を併用する人という意味である。
自分のことをバイリンガルだと思っていた。
自慢できるような言語ではなく、生まれ故郷の福島弁と、生まれ故郷の2倍以上の歳月を過ごした男鹿弁である。
ところが、男鹿を撮影して歩くと、「どっからきたすか(どこから来たか)」と聞かれる。
怪しげな姿形だが、「催眠商法者」と見られているようでもない。
いまは飲み歩くことなどないが、かって男鹿温泉で飲むと観光客と間違われて、高価な郷土料理を出されそうになったりもした。
自分では男鹿弁を使っているつもりで飲んでいた。「小便たれてくる」とトイレに行った。戻ってくると「あんだ福島の人だすか」と言われた。「小便まげでくる(撒ける)」と豪快に話さなければならなかったのだ。
故郷の言葉は一生抜けないのだろう。
福島で飲んでいた。
そして訊かれた。
「あんた、変な言葉しゃべるけど、どこの人?」
バイリンガルどころか、1言語も話せないコウモリになってしまった。
写真はコウモリ。見慣れた中央の器官、その下方に頭がある。
(書き直した記事です。)