認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の本質と認知機能低下のメカニズム(B-55)

2016-03-01 | アルツハイマー型認知症の原因

 的外れ 矢を射るべきは 別の森

  樹ばかり見ては 森は見えない By kinukototadao

     

(プロローグ)

様々なタイプのものがある認知症のうちの大多数、90%以上の割合を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症なのです。その「アルツハイマー型認知症」については、発病の原因もメカニズムもわからないし、治すことが出来ないし、発病を予防する方法もわからないとされているのです。

発病の原因については、アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説、脳の萎縮説等の学説(発病の原因として主張されているものと肝心の発病との間の因果関係が立証されていない、単なる仮説としての主張)が、まるで、よどみに浮かぶうたかたのように、浮かんでは、しばらくの間留まるだけで、やがて消えていくだけのものなのです。

医療の現場での診断はと言うと、記憶障害の症状を主とした認知症の症状らしき病状を呈している患者に対して、診断の基準が明確に存在する他のタイプの認知症、或いは認知症と紛らわしい認知症ではない病気を先に消去していき、最後まで残ったものを「アルツハイマー型認知症」と名付けているだけなのです。皆さんは驚かれると思うのですが、消去法による診断なのです。

 私たちの場合は、「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する生活習慣病、脳の使い方としての「生活習慣病」であると考えているのです。私たちが開発した独自の診断方式、「二段階方式」と呼称する神経心理機能テストを活用した、「アルツハイマー型認知症」の発病原因に直接的に迫る診断方式なのです。その場合、「アルツハイマー型認知症」を他の種類の認知症、或いは認知症と紛らわしい認知症ではない病気と鑑別する直接的な診断基準となるのは、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の機能レベルの判定、その機能レベルのアウトプットである症状、言い換えると、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状、並びに、廃用性の異常で加速度的な脳の機能低下をもたらせた原因である脳の使い方としての「生活習慣」及びその「生活歴」と言う要素なのです。そしてその診断の基礎となっているのは、14689例にも及ぶ「アルツハイマー型認知症」の精緻な症状群なのです。「二段階方式」の手技の中で、鑑別の際に適用する基準(極めて重要なノウハウなので、此処には詳細を記述できないのですが、「アルツハイマー型認知症」の場合には、脳の機能に衰えていく厳格な順番があるという「脳機能データ」の解析結果から得られた基準があるのです)は、「アルツハイマー型認知症」の本質が廃用性の機能低下であることを示唆しているのです。

     

従来の全ての学説(アセチルコリン説、アミロイドベータ説、タウ蛋白説及び脳の萎縮説)は、「アルツハイマー型認知症」を発病して、且つ末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の更に後半になって発現してくる症状が確認されたお年寄り達の死後の脳の解剖所見に立脚した脳の器質的な変化に着目した「仮説」であるのに対して、私たちの主張は、廃用性の異常で加速度的な脳機能の低下説なのです。従って、私たちの主張の根拠は、脳の解剖所見とは関係なく、逆に、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルとその機能レベルに厳格にリンクした症状、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの直接のアウトプットとしての症状に着目した主張なのです。「二段階方式」の手技を活用して、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルについて、使われる機会が極端に少ない「生活習慣」の下で廃用性の機能低下を起こしてきたその結果としての症状の変化の特徴について、話を進めていきたいと考えるのです。学説がマウスの行動の観察結果に基づく推測に依拠しているのに対して、私たちの「二段階方式」の主張は、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルにリンクした症状を何万例も集積し、解析した結果に基づく主張なのです。憶測や推測ではなくて、事実の解析結果なのです。

     

「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症の本質は、「前頭葉」を含む脳の器質的な変化が原因で起きてくるものではなくて、機能的な低下が原因で起きてくるものなのです。言い換えると、脳が壊れてもいないのに、意識的に何かのテーマを実行しようとしても支障が起きてくる世界こそが追及すべき世界なのです。そのことに注意を向けないで、アミロイドベータの蓄積であるとか、タウ蛋白の蓄積であるとか、脳の顕著な萎縮であるとかの誤った視点に拘泥したままで居たのでは、何時まで経っても、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(メカニズム)を解明することは出来ない相談なのだということを指摘しておきたいのです。

私たちが意識的に何かのテーマを発想し、発想したテーマの実行内容を企画して組み立て、実行結果をシミュレーションした上で選択した最終的な内容の実行を左脳や右脳や運動の脳と言った脳の各部に指示する世界、脳全体の司令塔の役割を担っていて、三頭立ての馬車の御者の役割を担っている「前頭葉」と言う脳機能の、器質的ではなくて機能的な衰えのメカニズムに注意を向けることこそが、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを解明し、回復や発病の予防のための方法を発見する上で必要不可欠の条件となるのです。今日のテーマである「アルツハイマー型認知症の発病及び症状の進行原因と認知機能の低下」と言う視点は、脳科学者や認知症の専門家達に対し、そのことを教示する目的で書いたものなのです。目を醒ましていただきたいと切に願うのです。

   

世の中の学者も研究者も医師も、「アルツハイマー型認知症」の本質を見誤っているのです。世界最高の権威とされながら、重大な誤りがあるあの米国精神医学会の診断規定、「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の第一要件及び第二要件の規定内容に惑わされているだけなのです。第二の要件が確認を要求している、「失語」や「失認」や「失行」の症状は、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の更に後半にならないと発現することが無い症状、「前頭葉」の機能が殆ど失われていて、左脳も右脳も運動の脳も、MMSEで判定される機能レベルが30点満点で一桁の得点になるまでに衰えてきた段階でしか発現してこない症状に着目していることにこそ重大な誤りがあることに気づいていないのです。「DSM-4」の規定こそ、「アルツハイマー型認知症」の本質を見誤った見解、廃用性の機能低下が本質であることを見誤り、器質的な変化が原因で症状が発現してくる病気だと勘違いしているのです。更に、「アルツハイマー型認知症」の症状の中核をなすのは、「DSM-4」が第一の要件に規定している「記憶の障害」ではなくて、「前頭葉」の機能の廃用性の機能低下を反映したものであることが、小ボケから中ボケを経て大ボケに至る症状の段階的な変化を詳しく分析してみれば容易にわかることなのです(ここを「クリック」してください)。客観的な根拠データに依拠することなく、外観的な症状の観察に基づく誤解がこのような規定、診断基準の重大な誤りを生む原因となっているのです。診断基準の第一の要件も第二の要件も重大な誤りに基づく規定内容であり、その世界的な影響力に鑑み、早期に破棄されるべき内容(診断基準)だと私たちは考えているのです。

     

& 私たち人間の意識的な世界と脳の働き方のメカニズム

○  脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」と言う脳機能

 私たちが意識的に何かを実行しようとする場合に、脳が壊れてもいないのに支障が出てきて思うように実行することが出来ない世界、それが、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症が関わる世界なのです。私たち人間の意識的な世界での脳の働き方のメカニズム、言い換えると、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働き方のメカニズム及び脳機能の衰え方のメカニズムを知ることなしに、「前頭葉」と言う脳機能を構造的に持たないマウスの極めて幼稚な行動の世界、餌を求めて迷路をさまようマウスの記憶に関わる行動を基礎に、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムが解明できるとする考え方自体に重大な誤りがあることを指摘したいのです。

脳全体の司令塔の役割を担い、左脳、右脳及び運動の脳と言う三頭の馬を制御する役割、三頭立ての馬車の御者の役割を担っていて、私たちが意識的に何かを実行しようとする世界を支配し、コントロールしている「前頭葉」と言う機能には、以下に列挙するような何十種類もの極めて高度で、且つ複雑な機能が備わっているのです。ある種の機能は、単体で、又ある種の機能は様々な機能の集合による複合体としての重層的な機能を、更には、複数の単体の機能が重合したものとしての機能をも発揮しているのです。左脳がらみのデジタルな情報を処理している世界、右脳がらみのアナログな情報を処理している世界、運動の脳がらみのアナログな情報を処理している世界、更にはそれらを統合処理している世界が、一つ一つの意識を構成しているのです。脳と言う機能部位は、一方では個別に機能分化されつつ、他方では統合されて機能しているという特殊性を有しているのです。それであるが故に、あの「iPS細胞」をもってしても、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因、或いは発病のメカニズムに迫ることは出来ないし、ましてや治療方法の解明にも役には立たないことを指摘しておきたいのです。

     

○  「前頭葉」の三本柱の機能と脳機能発揮上の「二重構造」

意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では、意欲、注意集中、注意分配、自発性、観察、分析、考察、洞察、想像、推理、表象、批判、理解、了解、把握、判定、興味、関心、着眼、発想、連想、空想、妄想、意図、企図、企画、計画、創意、工夫、創造、具象化、抽象化、シミュレー・ション、予見、予測、修正、比較、選択、確認、整理、統合、判断、決定、決断、監視、機転、拘泥、執着、憤怒、抑制、忍耐、及び感動等、「前頭葉」の個別機能を構成している各種の高度な認知機能を正常に発揮する上で、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠となるのです。認知度が一定レベル以下だと、例示した「前頭葉」の各種個別の認知機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。そうした個別の認知機能によるその「認知度」の高さ、或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉の三本柱」の機能なのです(私たちが「二重構造」と名付ける構造、個別機能の「認知度」と「発揮度」とが共に、「三本柱」の機能レベルと「リンク」しているという構造が存在するのです)。分かり易く説明すれば、「前頭葉」の個別認知機能自体は、潜在的な機能ボリュームが備わっているが、「前頭葉」の三本柱の機能の機能レベルにリンクして機能ボリュームが顕在化してくるという構造、私たちの言葉で言う機能発揮上での「二重構造」のメカニズムが存在しているのです。

 「前頭葉」を中核の機能として、その支配とコントロール下で、有機的な連携のもとに「左脳」や「右脳」や「運動の脳」も参加して、我が身が置かれている状況の判断に基づき、何をどのように実行するのかを組み立てるには(実行すべきテーマをいくつか発想し、その中から1つを選択し、その実行内容を組み立てるには)、先立って且つ常に、必要な機能レベルでの「意欲」の継続的な発揮が不可欠になるのです。自分が現在置かれている状況と環境の判断をベースとして、様々な状況の変化を予測して考慮し、いく通りかのケース・シミュレーションを経た上で最終的な内容を決定し、実行に移すには、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能の継続的な発揮も必要になるのです。意識的な世界を支配しコントロールしている「前頭葉」と言う脳機能は、幾種類もの及び幾層ものネットワークが有機的に結合された複合/集合/統合機能体なのです。その個別の及び/全体的な機能の発揮度及び認知度を左右している大本は、注意の分配機能を筆頭とした「前頭葉」の三本柱の機能なのです。

更にもう一つ付加すべき重要なことは、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」についても、同様のメカニズムが存在しているということなのです。すなわち、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」の機能自体は、潜在的な機能ボリュームが備わっているが、「前頭葉」の三本柱の機能の機能レベルにリンクして機能ボリュームが顕在化してくるという構造(同様の「二重構造」のメカニズム)が「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」の機能にも存在しているということも、意識的な世界を理解する上では重要なことなのです。「前頭葉」を含む脳全体としての脳機能の器質的な変化が原因ではなくて、機能的な変化、廃用性の機能の低下と言う視点を持つことが、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム(原因)及び症状の重症化、或いは発病の予防及び早期診断による回復と言うテーマを考える上で不可欠の視点となることを注意喚起しておきたいのです。

    

& 加齢による脳機能の衰え(低下)のメカニズム

○  第一の人生を送っていて、物忘れの症状が発現する年代

第二の人生を日々営まれていて、「アルツハイマー型認知症」の発病を恐れておられる60歳を超えた年齢の「高齢者」だけでなくて、未だ年若い人、30歳代の半ばの年齢から60歳までの年齢の働き盛りの人達を含めて、頻度や程度を除外して言えば、「物忘れ」の症状を自覚されていると思うのです。左脳が主役となる「仕事」と言う大きなテーマがあって、達成すべき目標があり、生き甲斐や喜びを覚える機会も多い、第一の人生を送っている年代の人達でありながら、気になる症状、「物忘れ」と言う症状を自覚されていると思うのです。

例外的な人は存在していなくて、全ての人達がこの症状を自覚しているはずなのです。それでいて、この物忘れの症状、言い換えると「記憶障害の症状」の発現の原因は、上述した4つの学説が根拠として主張しているメカニズムにより発現している訳ではないのです。アミロイドベータが蓄積し始めていることが「物忘れ」の症状の原因でもなくて、タウ蛋白が蓄積し始めていることが「物忘れ」の症状の原因でもなくて、脳の萎縮が始まっていることが「物忘れ」の症状の原因でもないのです。「アルツハイマー型認知症」の早期診断、言い換えると「記憶障害」の症状の発生原因であると考えて、アミロイドベータの蓄積が開始される早期の段階を見つけることが「アルツハイマー型認知症」の早期診断につながると主張している研究機関の人達に対し、注意を喚起しておきたいと考え、今日のテーマを選択したのです。

上述したように、30歳代の半ばを過ぎると「物忘れ」の症状(記憶障害の症状)が発現し始めるのです。そして、「物忘れ」の症状は、40歳代、50歳代、60歳代、70歳代、80歳代、90歳代と、年を取るにつれて、頻度が増していき、発現する症状の程度や態様が大きく、複雑化していくのです。この現象には、例外が無いのです。そうだからと言って、「物忘れは、ボケの始まり」という訳のものではないのです。「物忘れ」の症状は、皆さん誰でもが例外なく体験するものなのですが、「物忘れ」の症状が出てくる人達全員がボケる訳ではないからです。

○ 「物忘れ」の症状と「前頭葉」の三本柱の機能との関係

私たちだけが気付いていることなのですが、私たち人間の脳機能、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能及びその手足となって共同して働く役割を担っている「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」には、私たちが「正常老化の性質」と名付ける性質が生来的なものとして内在しているのです。その性質自体が、「物忘れ」の症状を発現させる原因、真犯人なのです。そのメカニズムについての私たちの考えを、私たちが集積してきた極めて多数で、且つ精緻な脳機能データ、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル及びその機能レベルに厳格にリンクした症状に関する「脳機能データ」を根拠に、説明しておきましょう。

     

&「前頭葉」の三本柱の機能に内在する「正常老化」の性質

 脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その個別の認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要であって、「前頭葉」の個別認知機能の「発揮度」や「認知度」の高さ、或は低さを直接左右している「前頭葉」の三本柱の機能である、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能には、以下に説明するように、趣味や遊びや交遊や運動を仲間と自分なりに楽しむ生活があり、自分なりの目標や生き甲斐がある生活(それなりに「前頭葉」の出番がある生活)を送っていても、「加齢とともに、機能が老化し、衰えていく」という重要な性質があるのです(私たちは、これを「正常老化の性質」と呼んでいます)。

○ 「脳機能データ」が意味するもの

私たちが集積してきた年齢別の「脳機能データ」を基にして簡潔に説明すると、「三本柱」の機能には、18歳から20代の半ばまでがピークで、20代の半ばを過ぎる頃から100歳に向かって、緩やかではあるけれど、一直線に衰えていくという性質があるのです。60代後半にもなると、「三本柱」の働き具合は、ピーク時の18歳から20代の半ばの頃に比べ、働きが半分以下になっているのです。70代、80代、90代、100歳代と、年をとればとる程、「三本柱」の働きが更に衰えていって、どんどん低空飛行になっていくという性質なのです。

 認知症の大多数90%以上を占めていて、高齢化率が高い市町村や高齢化率が高い地域等で、皆さんが普段よく目にし、或は耳にしている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、その発病のメカニズムを考えるとき、「前頭葉」の三本柱の機能に「正常老化」という問題が内在しているという理解が重要になるのです。「脳の正常老化」という問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は、若者には関係なくて、「60歳代以降のお年寄りだけが対象になる」のです。脳の司令塔は「前頭葉」であり、その「前頭葉」の三本柱の機能に加齢と共に働きが衰えていくという性質、「正常老化の性質」が内在していることが「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明する上で不可欠の重要な要素となるのです。

     

& 「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム

○  「正常老化」の性質と発病の「第一の要件」との関係

 世界中の認知症の専門家とされる人達から、発病の原因さえも分からないとされている「アルツハイマー型認知症」について、発病のメカニズム自体を解明し並びに発病の予防の方法及び早期診断による回復の方法を手技及び理論面から体系化したのは、私たちが世界で初めてなのです。その発病のメカニズムを解明する上で極めて重要な要素、それは、「前頭葉」の三本柱の機能には、「20歳を過ぎると、年をとるにつれて100歳に向かって、緩やかではあるが徐々に働きが衰えていく」という特徴を有する老化曲線、言い換えると「正常老化の性質」が存在することなのです。「前頭葉」の出番がそれなりにある「生活習慣」を日々維持していても、「加齢とともに、機能が緩やかにではあるが直線的に衰えて行く」という性質があるのです。「高齢者」の入口である65歳頃には、「前頭葉」の「三本柱」の機能レベルが最も高い20歳頃のほぼ半分くらいにまで衰えてきていることが注目すべき要因なのです。「二段階方式」の活用により、「前頭葉」を含む脳の機能の加齢による老化という要素を発見し、且つこの要因に着目して、60歳を超える年齢の「高齢者」であることと言う要件を「アルツハイマー型認知症」の発病の「第一の要件」として私たちは規定しているのです。私たちが規定する発病の「第一の要件」は、誰にでも共通する要因なのですが、私たちが規定する発病の「第二の要件」は、廃用性の機能低下と言う要因なのです。何かを「キッカケ」として始まるナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続と言う「生活習慣」に起因して始まる、異常で過速度的な脳機能の廃用性の機能低下と言う要因のことなのです。

○ 専門家達は、誤った「的」に対し、無駄な矢を射かけているだけ

私たちが主張し、440を超える多数の市町村での「地域予防活動」で実践して成果を出し、「改善、維持、低下」の三段階に区分され判定された「前頭葉」の機能レベルに厳格にリンクした症状群を含むそれらの「脳機能データ」で裏付けられているように、脳の使い方という視点から言えば廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」でしかない「アルツハイマー型認知症」は、世界中の認知症の学者や研究者や医師達から、「治すことも、発病を予防することもできない、原因不明の病気」、モンスターにされてしまっているのです。生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するだけの日々の暮らしの中で、「アルツハイマー型認知症」を発病し、更にはその症状が進行していき(私たちの区分で言う小ボケ及び中ボケを経由して)、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の症状が発現してきた上に、その期間が何年も続いた人の死後の脳を解剖して得られる「解剖所見」にみられる3つの特徴である「老人斑」とか、「神経原線維変化」とか、「脳の萎縮」とかが原因で記憶障害の症状が発現してくると誤解していたのでは、或いは「前頭葉」はおろか左脳さえもない下等な動物である「マウス」とやらを追い掛け回していたのでは何時までたっても、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(メカニズム)を解明することはできないのです。

    

○  私たちが主張し、規定する「アルツハイマー型認知症」発病の二つの要件

60歳を超えた年齢の「高齢者」と呼ばれるお年寄りであろうとも、自分なりに楽しめる「テーマ」を自分流のやり方で追及することにより、「前頭葉」の機能レベルが正常なレベルを保っている限りは(「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲、注意の集中力及び注意の分配力」の機能の出番が十分にある生活習慣を実践してさえいれば)、「アルツハイマー型認知症」の発病とは無縁で、「第二の人生」を完走することが出来ることになるのです。

 60歳を超えた年齢の「高齢者」と呼ばれるお年寄りが(私たちが規定する発病の「第一の要件」)、左脳の出番である「仕事」とは無縁の「第二の人生」を日々生きていく中で、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々繰り返されるだけの「生活習慣」のもとでは(私たちが規定する発病の「第二の要件」)、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてきて(「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足される「相乗効果」により、緩やかに下降するカーブであるそれまでの「正常老化の曲線」から逸脱して、加速度的に下降する異常な「放物線の曲線」をたどることとなる)、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まって、半年から1年が経過すると、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。その段階が、私たちが回復の可能性と言う視点から三段階に区分する最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階であり、次いで、「中等度認知症」(中ボケ)の段階があり、最後に末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階となるのです。

失語や失認や失行などと言う極めて重い症状の確認を要求している「DSMー4」の規定に依拠して診断が行われるがために、回復させることが可能な早期の段階、小ボケの段階も中ボケの段階も見逃されていて、回復させることが困難な末期の段階、「大ボケ」の段階になって初めて「アルツハイマー型認知症」を発病していると診断されているのです。末期の段階である「大ボケ」の段階になるまで、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが衰えてしまった状態が何年間も継続した、そのことの「副産物」としてもたらされるものが、アミロイド・ベータ説が注目する「老人斑」であり、タウ蛋白説が注目する「神経原線維変化」であり、脳の萎縮説が注目する「脳の顕著な萎縮」だと私たちは考えているのです。回復の可能性と言う視点から三段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の症状の本質は、加速度的で異常な廃用性の機能低下に起因するものなのであり、器質的な変化に起因するものではないのです。「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけて、「脳のリハビリ』(「前頭葉」を含む脳全体の使い方としての「生活習慣」の改善)を実行すれば、正常なレベルに回復させることが出来るのです。器質的な変化が生じてきていないからこそ、「小ボケ」(回復させることが容易)及び「中ボケ」(回復させることが未だ可能)までの早期の段階で見つければ、「前頭葉」を含む脳の機能が回復してくる(「アルツハイマー型認知症」が治せる)のです。「大ボケ」の段階で(回復させることは困難な段階)見つけているから、治せないだけなのです。

アミロイドベータの蓄積による老人斑の発生も、タウタンパクの蓄積による神経原繊維変化の発生も、脳の顕著な委縮も、それらすべての器質的な変化は、「アルツハイマー型認知症」の発病原因なのではなくて、「アルツハイマー型認知症」を発病し、末期の段階にまで症状が進行し、且つその期間が何年も継続したことの結果として生じてきているだけのものなのです。次いでのことに付言しておくと、アミロイドベータの蓄積もタウ蛋白の蓄積も「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムとは無関係の関係なので(発病の原因ではない)、「免疫療法」による治療法の開発と言う発想も、的外れの発想に過ぎないのです。

  注)本著作物(Bー55に記載され表現された内容)に係る著作権は、

 (有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

     エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

      脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

 

 

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