認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の原因、治療と予防の方法ー総集編(B-61)

2016-06-01 | アルツハイマー型認知症の予防が国民的課題

     

      一億総活躍社会達成への具体策の    提       言                   

「アルツハイマー型認知症」発病の予防を目的とする特定市町村での「地域予防活動」の実証を基礎に全国の市町村における実施を将来的な課題とする実証研究の提言- 

                       有限会社 エイジングライフ研究所

  (B-61)とその 目     次

&1  プロローグ(「アルツハイマー型認知症」の知られざる真実)   

&2  エイジングライフ研究所の主張の概要と活動の歴史        

&3「アルツハイマー型認知症」の症状の発現と「前頭葉」の機能レベル                          

   

 &1 プロローグ(「アルツハイマー型認知症」の知られざる真実)

○ 「DSM-4」の規定の重大な誤りと私たちの主張

我が国には、現在500万人を超える数の認知症患者がいて、この先さらにその数は増大の一途をたどるというのが厚労省の予測です。私たちのデータによると、様々なタイプが数ある認知症の内、アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症を発病している人が認知症全体の90%以上を占めているのです(注1:脳血管性認知症が25%を占めるとされるが、そのうちの20%分は「アルツハイマー型認知症」を脳血管性認知症と誤診したもの。kinukototadaoA10及び11を参照)然も、肝心の「アルツハイマー型認知症」の診断に際して医師達は、米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定内容に依拠して「アルツハイマー型認知症」の発病の有無を診断するので、「アルツハイマー型認知症」を発病していると診断された人達は、「DSM-4」が第一の要件として規定する「記憶障害」の症状に加えて、第二の要件として規定する「失語や失認や失行」の症状が確認された人達ということになるのです(第二の要件に規定がある「実行機能の障害」の症状についての問題提起は&6(2)参照)。

注)最新の規定は、「DSM-5」なのですが、診断基準としては曖昧な要素が多く(例えば、Major or Mild Neurocognitive Disorder等の規定内容の曖昧さ)、「DSM-4」の方が曖昧さが少ないので、診断に使いやすいのです。なお、「DSM-4」の規定自体の問題点については、&6(2)での詳細な説明と重大な誤りについての問題提起を参照してください)。

ところが、「失語や失認や失行」の症状が確認される人達ということは、MMSEの得点でいうと、30点満点で「一桁の得点」しか取れない人達のことなのです。更に、認知症の専門家達から見逃されている重要なことは、この症状が確認される人達の脳機能、特に脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能レベルは、廃用性の加速度的で異常な機能低下が原因で、殆ど働いていない状態に在るということなのです。そうした脳全体の機能レベルが、この人達の症状に直接反映されていることが見逃されていて、「前頭葉」の機能レベルと言う視点が欠けているのです。

「DSM-4」の規定は、第一の要件である「記憶の障害」の症状には程度や態様に関する規定がなく、第二の要件である「失語失認失行(又は、実行機能の障害)」の症状は、極めて重度の症状であり、並びに第二の要件も第一の要件も共に同じ人物に同じ診断時に確認されることが要求されることから、「記憶の障害」の症状も極めて重い症状の確認が要求されることになるのです。その帰結として、昨日レストランに行って何を食べたかを忘れていても第一の要件には該当しないが(健常者の「物忘れ」の症状とされる)、レストランに行ったこと自体を忘れているのは第一の要件に該当する症状となる(認知症の症状とされる)等の極めて不明瞭な例示がなされるのが、認知症の専門家達の考え方の通例なのです。

その結果、「DSM-4」の規定に余りにも権威があるが為に、世界中の認知症の専門家とされる人達から、「アルツハイマー型認知症は、治すことができない」タイプの認知症にされてしまったのです。その詳細については後述しますが、私たちのデータでは「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症こそが、発病自体を予防することもできるし、早期の段階で見つけると治すこともできるのです。「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であると言うのが私たちの主張なのです(詳細は、&5で説明)。

そして、私たちが規定する「アルツハイマー型認知症」発病の「第一の要件」とは、60歳を超える年齢の「高齢者」であることなのです。脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たちが意識的に何かをしようとする世界を支配し、コントロールしている「前頭葉」(「前頭前野」を言うものとする。以下、同じ)の機能自体に、どのような脳の使い方としての「生活習慣」が維持されていようとも誰でも、加齢と共に働きが衰えていくという性質、私たちが「正常老化の性質」と名付けている性質が存在するからなのです。

そして、私たちが規定する発病の「第二の要件」とは、以下に述べるような脳の使い方としての「生活習慣」の継続ということなのです。

何かを「キッカケ」にして、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない「単調な生活」の継続、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々続いていると、出番が極端に少なくなったことを直接の原因として、「前頭葉」を含む脳全体の働きが廃用性の機能低下を起こしてくることになるのです。

その結果、「第一の要件」と「第二の要件」とが同時に充足される「相乗効果」により「前頭葉」を含む脳全体の機能が、「廃用性の加速度的で異常な機能低下」を起こしてくることになるのですその行き着く先に「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているということなのです。

  

廃用性の加速度的で異常な機能低下を発病の原因とする「アルツハイマー型認知症」の場合は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状が認知症の症状として発現してくるのが特徴となるのです「段階的症状」の発現が特徴となる)。その最初の段階が「脳のリハビリ」(脳の使い方としての生活習慣の改善)と言う方法により治すことが容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階であり、次いで治すことが未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階があり、最後に治すことが困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階があるのです。認知症の専門家とされる人達は、治すことの可能性と言う視点から「三段階」に区分されることも知らないで、末期の段階である「大ボケ」の段階で見つけて、それこそが「アルツハイマー型認知症」の症状であると誤解していて及び治らないものと誤解していて、それらの症状を「中核症状」であるとか「周辺症状」であるとかの意味のない区分に満足しているのが現状なのです。治すことが出来ない「末期の段階」である、「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけて、意味もない区分をして満足しているのです。

私たちが独自に開発した「二段階方式」と言う精緻な神経心理機能テストを駆使して、生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルとそれに厳密にリンクした症状、脳全体の機能レベルの直接のアウト・プットとしての症状、正常なレベルから、正常下限のレベル、並びに、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階での症状、就中、「アルツハイマー型認知症」の症状について、14689例と言う極めて多数の「脳機能データ」を集積したのです。その「脳機能データ」の解析により、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因(発病のメカニズム)を解明し、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症が廃用性の単なる「生活習慣病」であることを突き止めると共に廃用性の機能低下に起因して症状が段階的に発現してくる「アルツハイマー型認知症」の場合には、「前頭葉」を含む脳全体の機能に衰えていく明確な順番があることを発見したのです。

最初に、脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」の機能が加速度的で異常な機能低下を起こしてきます。次いで、左脳、右脳、運動の脳の機能の順番に衰えてくるのです。勿論、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していくその過程においては、「小ボケ」の段階では「前頭葉」の機能のみが廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていきつつ、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階にあっては、「前頭葉」を含む脳全体の機能が同時に廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことになるのです(このブログ中の、「アルツハイマー型認知症」の各段階の症状とその発現の基礎となる「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの説明の箇所を参照してください)。

「アルツハイマー型認知症」の症状の特徴として、「脳のリハビリ」という脳の使い方としての「生活習慣」を改善する方法により、「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常なレベルに回復させる(治す)ことができるという視点から、「小ボケ」(回復させることが容易)、「中ボケ」(回復させることが未だ可能)、「大ボケ」(回復させることは困難)という「三段階」に区分される症状が発現し、進行していくことになるのです。

  

私たちが開発した「二段階方式」では、「前頭葉」の機能レベルを「かなひろいテスト」によって、左脳及び右脳の機能レベルを「MMSE」によって判定します。「MMSE」で判定するとき、左脳と右脳の機能については、想起、計算、三段階口頭命令、時の見当識、所の見当識、、、、、、、の順番に、機能が衰えていくということなのです(14689例の臨床事例の解析結果)。

廃用性の機能低下を本質とする「アルツハイマー型認知症」の場合には、高度な機能から順番に衰えていくことになるのが特徴なのです。従って、この順番に衰えていかないときは、「アルツハイマー型認知症」ではないのです。その場合は、「アルツハイマー型認知症」以外の「認知症」であるか、或は、認知症と紛らわしい「病気」ということになるのです。

それ程この順番、「前頭葉だけが最初に衰えていき、次いで、左脳、右脳、運動の脳の順番に衰えていくこと」が極めて重要な診断基準となるのです。更には、MMSEで判定される下位項目の衰え方にも、「想起、計算、三段階口頭命令、時の見当識、所の見当識、、、命名の順番に衰えていく 」という「衰え方の規則性」があるのです(MMSE「下位項目」の項目困難度に関する資料は、私たちだけが有する極めて重要な資料なのです)。

「衰え方の規則性」というこの指標は、廃用性のものである「アルツハイマー型認知症」の場合、極めて厳密であり、他の種類の認知症との鑑別及び認知症と紛らわしい他の病気(例えば、重度の記憶障害の症状を示していても、アルツハイマー型認知症ではなくて、側頭葉性健忘症であることの鑑別、或いは、緩徐進行性失語であることの鑑別等)に極めて有効なのです(基礎データは、「個別事例判定マニュアル-A」の巻末を参照)。

  

○ 発病者数にかかわる真実

「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状が発現してくるのが「アルツハイマー型認知症」の症状発現の特徴なのです。

私たちは、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルという考え方の下に、「脳のリハビリ」によって正常なレベルに回復させることの可能性という視点から、軽い順に、回復させることが容易な「軽度認知症」(小ボケ)、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)、そして回復させることが困難な末期の段階としての「重度認知症」(大ボケ)という三つの段階に区分して判定しています(発病患者が訴える認知症の症状の重症化の順番については、私たちの「脳機能データ」を当時の東京都老人総合研究所が解析してくれた資料を基礎にしています)。

「アルツハイマー型認知症」は、緩やかにではあるが身体がもつ限り症状が進行していくので、(市町村での地域予防活動の実施により得られたものを含む14689例に上る脳機能データの解析結果としての、私たちのこれまでのデータでは)「小ボケ」の期間が3年間、「中ボケ」の期間が2年間で、発病して6年目以降になると末期の段階である、「大ボケ」の段階に入っていくことになる)、医療現場の現在の診断状況のように、正常なレベルに回復させることが可能な本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つけることなく、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が放置され、継続されたままの状態でいると、やがては、回復させることが困難な末期の段階である「大ボケ」の段階にまで進んで行ってしまうのです。「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが廃用性の加速度的で異常な機能低下によりそこまで衰えていってしまうと、もはや回復させることは困難になってしまうのです。「小ボケ」と「中ボケ」とを併せた数は、「大ボケ」の数の少なくとも2倍以上にはなるというのが、私たちの「地域予防活動」の実践体験に基づく数値なのです。現在、厚労省が発表している「アルツハイマー型認知症」を発病している人達の数というのは、上記「三段階の区分」で言えば、「大ボケ」の段階の人達の数である(「小ボケ」と「中ボケ」の段階の人達の数は含まれていない)ということに注目していただきたいのです。

  

○ 医療の現場における診断の実態とその問題点

「アルツハイマー型認知症」については、「発病を予防することも、治すこともできない」タイプの認知症であるとの考えが、認知症の専門家とされる世界中の学者や研究者や医師達の間で定着しているのが現状なのです。医療現場の実態に見るように、「アルツハイマー型認知症」の診断規定として世界的に権威がある「米国精神医学会」の診断規定である「DSM-4」の要件(診断基準としての「第一要件」及び「第二要件」)に依拠して診断している限り、「脳のリハビリ」によって回復させることが困難な末期の段階(私たちの区分でいう重度認知症「大ボケ」の段階の更に後半の段階)でしか見つけることができないのです。

○ 私たちの研究と市町村での実践活動の成果に基づく帰結

私たちが開発した「二段階方式」の手技の活用により集積した14689例の脳機能データと440を超える市町村で実施した「地域予防活動」の実践の成果に基づく帰結として、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「廃用症候群に属する単なる生活習慣病である」と言うのが私たちの主張であり、これこそが、アルツハイマー型認知症の正体なのです。

 私たちが開発した「二段階方式」のような、精緻な「神経心理機能テスト」を活用すれば、「本当の意味での早期の段階」(私たちの区分で言う、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で容易に発病を判定することができるし、詳細について後述する「発病のメカニズム」についての私たちの見解にみるように、廃用性の「生活習慣病」をその本質とする「アルツハイマー型認知症」は、本当の意味での早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つければ、「脳のリハビリ」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)により、正常なレベルに回復させることができる(治すことが出来る)ものなのです。

   

エイジングライフ研究所の主張の概要と活動の歴史

〇 主張の概要と「二段階方式」の手技の活用の成果

(1) 世界中の認知症の専門家とされる人達(学者や製薬会社の研究者や医師達)から、発病の原因が不明とされてきていて、発病者数が世界中で数千万人に上る超大型の病気である「アルツハイマー型認知症」について、発病のメカニズムを解明し、「アルツハイマー型認知症」が廃用症候群に属する生活習慣病であることを解明し、理論的に体系化しました

(2) 発病を予防する方法として、脳の使い方としての「生活習慣」の改善と言う方法を発見し、市町村での「地域予防活動」の実践により、その有効性及び有益性を実証しました  

(3) 治すことが出来ないとされる「アルツハイマー型認知症」について、回復させることが可能な早期の段階の存在の解明とその判定の為の精緻で且つ簡便な手法である「二段階方式」の手技を開発しました

(4) 「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常な状態に回復させるための手法としての「脳リハビリ」脳の使い方としての生活習慣の改善)の手法を開発し、その有効性及び有益性を実証しました

(5) 「アルツハイマー型認知症」の発病の予防と早期診断による回復の為の「二段階方式」の手技を柱として活用する「地域予防活動」について、累計で440を超える市町村で実践の指導をしてきました

(注)「二段階方式」の導入は、各年度ごとに契約を更新し、5年の期間を有償とする「使用許諾契約」の締結を条件としてきました。なお、対価の支払いが必要な有償の期間は現行様式では10年に変更されています。

(6) 「アルツハイマー型認知症」の本質は、廃用症候群に属する「生活習慣病」であり、発病自体を予防することができるし、早期の段階で見つけて脳のリハビリに努めることにより治すことができることを、Gooブログへの掲載(内容を公開)という方法により、広報活動を行ってきました(kinukototadaoと入力し、検索:2012年3月に投稿を開始して以来、これまでの掲載回数は、丁度160回です。字数でいえば、累計で400万字を超えます。「アルツハイマー型認知症」の発病の原因とそのメカニズム、症状が進行する原因とそのメカニズム、発病自体を予防する方法とそのメカニズム、早期の段階の判定と回復させる方法とそのメカニズム、更にはその根拠となる脳機能データと地域予防活動による実践の成果について、これだけ精緻に、体系的に且つ理論的に解説した書物は、日本だけでなくて、世界に例がないものと自負しています(二番手の走者は、その影さえ見ることが出来ない)。現在のところは、無償で公開していますので、関心のある方は、インターネットで検索して読んでみてください。

  

&3「アルツハイマー型認知症」の症状の発現と「前頭葉」の機能レベル

○「意識的な世界」を支配しコントロールしている「前頭葉」の機能

無意識の世界、意識は覚醒してはいないが意識度が低い世界、或は、条件反射の世界は脇に置いておき、覚醒された意識的な世界、私たちが意識的に何かを、或は何かの「テーマ」を実行しようとする世界では、「前頭葉」という脳の機能が脳全体の「司令塔」の役割を担いつつ活動しているのです。「前頭葉」が左脳、右脳及び運動の脳と協働しつつ、且つそれらを支配し、コントロールしながら思考や思索、言動や行動などを行っているのです。何かについての思考も、行為も、何かの「テーマ」についての言動も、行動も、或はその程度や態様も、その全てが「前頭葉」の支配とコントロールの下に、且つ「前頭葉」を介して為されていて、そのアウト・プット自体が症状として発現してくる(正常なものであっても、その発現の程度や態様に差異が生じてくる)のです。

言葉や計算や論理や場合分けなどのデジタルな情報の処理を担う左脳も、感情や情景、色や形や空間などアナログな情報の処理を担う右脳も、身体を動かす機能を担う運動の脳も、私たち人間の意識的な世界では、それらが単独で働くことは出来ない仕組み、メカニズムになっているのです。

私たちが意識的に何かを行う/行おうとするときに、言わば、「三頭立ての馬車」の御者の役割を担っているのが「前頭葉」なのです。従って、「脳が活性化」するということについても、或は、「脳の機能が衰えていく」ということについても、「前頭葉」が必ず関っていることになるのです(ここに言う、「三頭の馬」とは、左脳、右脳、運動の脳を意味し、「御者」とは、「前頭葉」を意味しているのです)。

脳の働き具合と言うとき、自分がその時置かれている状況の判断やテーマの発想から計画した内容の実行に至る過程での、「前頭葉」の関与の仕方/或いはその度合いがどのようであるか、そのことが極めて重要なのです。取り分け、「アルツハイマー型認知症」の症状の発現の仕組み及び段階的に発現してくる症状の特徴とその意味について、この視点を持つことが極めて重要なものになるのです。

「アルツハイマー型認知症」の症状、私たちが回復の可能性という視点で三段階に区分するその段階的な症状は、「前頭葉」の働き具合、言い換えると、「前頭葉」の機能レベルと密接不可分の関係にあるのです。認知症の専門家とされる人達は、未だにこのことに気づかないで、中核症状とか周辺症状とかの意味のない区分に終始し、満足しているだけなのです。それであるが故に、そうした状況の問題点について疑うことさえもしないので、「アルツハイマー型認知症の症状は、前頭葉を含む脳全体の機能レベルがそのまま認知症の症状として、発現してくるもの」であり、その症状は、小ボケに始まり、中ボケを経て、最後は大ボケの段階に進んでいくことさえ知らないのです。

上述したメカニズムにも気づかないでいて(「前頭葉」自体について無知でいて)、脳の活性化とか、「アルツハイマー型認知症」の予防という「テーマ」について、テレビに出てきて、物知り顔に語る認知症の専門家とされる人達が大勢いるのです。

三頭立ての馬車の老馬を若い馬に取り換えたからと言って、御者の腕前が良くなることには直結しないことが重要なのです。日常の生活面で「左脳」を使う場面が少しばかり多くなったからと言って、そのことが「前頭葉」の機能レベルの上昇には直結しないのです。

老人保健施設や介護施設で、脳を活性化するテーマとして、盛んに行なわれている、「日々の生活の中に簡単な足し算や引き算をする時間を組み込むこと、或いは、ひらがなで書かれたおとぎ話を音読する時間を取り入れた」からと言って、そのことが、「前頭葉」機能の上昇に直結する訳ではないということを強調しておきたいのです。

「物忘れ」の症状の軽減くらいのことを、「前頭葉」の機能の上昇の指標にするのは間違いだと指摘しておきたいのです(「地域予防活動」の実践に基づいて集積した私たちの「脳機能データ」からいえば、左脳および右脳の働き具合を調べるMMSEのテストの得点は容易に上昇するのですが、「前頭葉」の働き具合を調べるかなひろいテストの得点は容易には上昇しないのです)。

 そんな「テーマ」を脳の活性化に役立つと信じて生活に取り込んでいるお年寄り達が、趣味も遊びも人付き合いも中断して、朝も昼も夕方もそのテーマをやり続けるだけの生活を3ケ月間実行し継続してみれば、「前頭葉」が活性化するどころか、意欲が衰え、注意の集中力も衰え、注意の分配力の機能も衰えてきていることを知ることになるだけなのです。

  

○ 「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを客観的な基準で判定するのが、私たちが開発した「二段階方式」の手技の特徴

「二段階方式」の場合は、「前頭葉」機能の改善、維持又は低下について、それ自体を直接、然も客観的な基準で評価することができるのです。「地域予防活動」として展開される脳イキイキ教室に参加しているお年寄り達の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの変化を、「二段階方式」という神経心理機能テストを活用して、客観的な基準に従って評価しているのです(1年間につき2回定期的に判定する)。

「アルツハイマー型認知症」の発病の予防と早期診断による回復を目的とした「地域防活動」の枠組みの中で「予防教室」を長期にわたり継続して実践している市町村の場合は、個人別及び地域別、更には、男女別の脳機能データ、個人毎の「前頭葉」を含む脳の機能レベルの「改善、維持、低下」に関する経時変化のデータが取得され保管されているのです(脳機能データの管理ソフトは、エイジングライフ研究所が独自に開発)。

認知症の発病の予防、具体的には、いろいろな種類が数多くある認知症全体の90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」の発病の予防を明確な目的とした「地域予防活動」は、小さな単位毎に運営が行われています。それらの活動の拠点となる「予防教室」に参加しているお年寄り達の「脳機能データ」の推移を比較してみると、教室が長期に経って運営され維持されている「予防教室」に参加しているお年寄りの方が教室の運営存続期間がそれよりも短い予防教室のお年寄りの場合よりも、脳機能の改善効果が大きいという明確なデータが存在しているのです。要介護認定者の割合を比較してみても、同様の結果が確認されているのです。

 注)本著作物(Bー61に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

  エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

  脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする