kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『ブルーバレンタイン』を観て

2011-04-29 20:21:34 | アメリカ映画 2011

11-31.ブルー・バレンタイン
■原題:Blue Valentine
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:112分
■字幕:岸田恵子
■鑑賞日:4月29日、TOHOシネマズ・シャンテ(日比谷)
■料金:1,600円
 
□監督・脚本:デレク・シアンフランス
□脚本:ジョーイ・カーティス、カミ・デラヴィーン
□撮影:アンドリュー・パレーク
□衣装デザイン:エリン・ベナッチ
□編集:ジム・ヘルトン、ロン・ペイテーン
◆ライアン・ゴスリング(ディーン)
◆ミシェル・ウィリアムズ(シンディ)
◆フェイス・ウラディカ(フランキー)
◆マイク・ヴォーゲル(ボビー)
【この映画について】
あるカップルの出会いから結婚、そして破局までを描き、サンダンス映画祭やカンヌ国際映画祭など世界各地の映画祭で注目されたラブストーリー。壊れかけた夫婦には、『ラースと、その彼女』のライアン・ゴズリング、『ブロークバック・マウンテン』のミシェル・ウィリアムズがふんし、過激な性描写や体重増量も辞さない迫真の演技を披露。10年以上も脚本を練り上げたデレク・シアンフランス監督による、愛が終わる痛みを巧みな演出で紡いだ切ないストーリーが胸に迫る。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
結婚7年目を迎え、娘と共に3人で暮らすディーンとシンディ夫妻。努力の末に資格を取って看護師として忙しく働く妻シンディに対し、夫ディーンのペンキ塗りの仕事は順調ではない。お互い相手に不満を募らせながらも、平穏な家庭生活を何とか守ろうとする2人だったが、かつては夢中で愛し合った時期があった……。
そんなある日、愛犬が交通事故死してしまい、そのことを可愛がっていた娘のフランキーに気付かれないように庭に埋葬する。悲しみに耐えきれないディーンは、気分転換に郊外のラヴホテルに行こうと、嫌がるシンディを半ば強引に誘うが、途中立ち寄ったスーパーでシンディは学生時代の恋人だったボビーと偶然再会する。その場は挨拶程度で済ませた二人だったが、車内でディーンにそのことを話すと途端に彼は不機嫌に。

ホテルについても不機嫌なディーン、シンディは夫に対してもっと自分を高める仕事について欲しいと願いながらも、家族との時間を大切にしたいからと主張しいつものように平行線で終わる。結局、酒に酔って目覚めた時、ディーンはシンディが自分を残して仕事に出かけたことに激怒し、職場に押しかけ夫婦ケンカが始まりシンディは挙句にその場で騒動の責任を取らされ解雇される。
切れてしまったシンディは、フランキーを実家に連れて帰りディーンに対して離婚を突き付ける。何とか、妻をなだめて元の鞘に戻るように説得するが、妻の気持ちは揺るがず、最後はフランキーにも去られディーンはトボトボと妻の実家を後にするしかなかった。

ストーリー的には、この間の出来事はある一日の間に全て起きた設定になっているが、夫婦の出会いと現在をシンクロさせる形で展開する。お互いに不満を持ちながらも子供の為に我慢してストレスを溜めているのだが、その出会いの時から現在の状況は予測されていたような映像展開に終始する。
シンディは自分の両親の関係をみて反面教師として男性と親密な関係を築けずに悩みながらも、自らは勉強の甲斐があって看護師の資格を取得するが、対するディーンはそんなシンディの目からは頼りない夫としか映らなかった。それでもお互いの愛情が深まっていた時期にはそんな不満も表面化しないが、徐々にすれ違いが大きくなると、気ままな生活に終始する夫への不満が爆発する。
しかし、そのきっかけを直接作ったのはむしろシンディの方であり、偶然にも数年ぶりに再会した元カレの存在がディーンを不安に陥れたにも関わらず、しかもフランキーは元カレボビーとの子供の可能性までありながら、結局は最後は感情的に夫を受け入れ難くなり離婚を申し出る。と言うより日本風に言えば「三行半」を突き付けたのはシンディの方だった。

ラストシーンで、娘フランキーと抱き合いながらも娘は母と留まることになり、ディーンは寂しそうに立ち去るのだが、この時の彼の背中には陳腐な表現だが「男の哀愁」が漂っていた。男の視点からすれば、確かに優秀で稼ぎの良い妻を持っていて肩身の狭い思いがあるのだろうが、ディーンはあくまでも娘と一緒にいたいからという理由でペンキ屋の仕事をするのだが、妻からすれば男ならもっと良い仕事についてもらいたいという願望もあるのは理解できる。
夫婦関係がたった一日で崩壊してしまうのだが、これを演じたライアン・ゴスリングの情けない男の風情漂う演技に対してミシェル・ウィリアムズのどこか夫を上から目線でみる演技、この映画の登場シーンの大部分はこの夫婦関係なのだが二人は上手く演じ分けていた。
奔放な性格でありながら上昇志向も強い妻と、生活が成り立って娘と一緒にいたいからとペンキ屋の仕事をしながらも、最後はその娘とも離れ離れになってしまうディーン。管理人は男なので、ディーンのあのラストの寂しそうな背中...グッときますね。


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