現在連載中の「ゼットマン」もそうだが、変身ヒーローものを多く手がけるマンガ家・桂正和の連載デビュー作にして代表作。
正義のヒーローに憧れる中学生・広野健太が自分が考え出したヒーロー、ウイングマンに変身する力を得て活躍する物語。
だが、かわいい女の子を描くコトに定評がある作者だけに、単なるヒーローものではなく、画面に華を添えるウイングガールズのサービスカットや健太、アオイ、美紅の三角関係などラブコメの要素で女性ファンにも人気を博し、「夢戦士ウイングマン」のタイトルでTVアニメ化もされた。
週刊少年ジャンプでの連載開始が1983年と、ちょうど自分が中学にあがった頃で、同世代のヒーロー好きの主人公には素直に感情移入し、個人的にはとても思い入れのある作品である。
現在はだいぶ浸透して、市民権を得た(?)言葉になった感があるが、当時、ちょうど「オタク」(「おたく」or「ヲタク」・・まあ、表記は別にどーでもいーけど・・)とゆー言葉が世に出回り始めた頃で、中学生にもなって、アニメやTVのヒーローものを見てるよーな輩は「オタク」のレッテルを貼られ、マイナーで暗い奴・・という差別や蔑視の対象になったりしたものだ。
自分としては、ただ単に好きだから見てるとゆー感じであったが、当時は「オタク」という言葉がヘタに流行ってしまったため、”「好き」なものを「好き」と言えない”妙な空気が漂い、非常に窮屈な違和感をおぼえたものだ。
まあ、今にして思えば、中学生とゆー微妙な世代ゆえの、ありがちなコトだったのかもしれないが・・。
そんな中、このウイングマンの主人公の健太はとても脳天気とゆーか、前向きで明るく、正義のヒーローになるコトを夢見る直情径行型の少年。
マンガの中でも友人たちにバカにされたりしながらも、俺は正義の味方になりたい!・・と声高に叫ぶかのよーに、まっすぐ夢にむかって突っ走る。
そう、健太は”「好き」なものを「好き」と言える”主人公なのだ。
健太の正義のヒーローになりたい!とゆー”夢”から生まれたのがウイングマンなので、”夢”がなくなると変身できなくなってしまう。
そこをついて、バクプラスとゆー敵が健太の”夢”を食べてしまうエピソードがあるのだが、奪われたヒーローの”夢”を取り戻す際、過去の記憶をたどっていくと、健太の”ヒーロー魂”が誕生した原点ともいえる場面がある。
それは12歳の時、いつもの友人たちにヒーローゴッコをしようと誘うが、もうバカバカしいから、お前もそろそろやめろと断られてしまうのだ。
ここでの切り替えが健太のすばらしいトコロだが、健太は
ゴッコだからバカバカしいんだ。遊びだから幼稚なんだ。ヒーローを本気でやればいいんじゃないか・・と考え、
「テレビのマネもしないぞ。自分の考えたヒーローをやるんだ!」
―こうして生まれたのが、ウイングマンなのだ!
その翼のはえた漆黒のスーツ(当初、健太が考えていたのは赤であるが)のデザインのカッコよさもさるコトながら、、特にデンジマンやサンバルカンといった戦隊ものや宇宙刑事シリーズのような派手なアクションやけれん味たっぷりの決めポーズ!
地上では10分しか変身していられないため、体の色が青→黄→赤と変わるトコロはウルトラマンのカラータイマーから!
ストーリー序盤から最後の最後まで登場する、ただの敵というだけにとどまらないタイガージョーやハカイダーを彷彿とさせるクールで強い好敵手(ライバル)、キータクラー!
ソーラーガーダーから繰り出す必殺技、ヒートショックはまるでボルテスVの超電磁ボールと天空剣・・と、さまざまなヒーローへのオマージュ的な作品といえよう。
”オマージュ”というと聞こえはいいが、ともすれば”パクリ”になってしまう。
しかし、決して単なるヒーローもののパロディ作品になっていないのが「ウイングマン」のすごいトコロ!
ウイングマンのオリジナルにして、最大最強のデルタ・エンドのカッコよさ、スケールのでかさはマンガだからこそ出来た、80年代ヒーローものの集大成的な必殺技ではなかろうか?
20年以上たった今なら、実写でも出来るんじゃないかなー・・。
ぜひ見てみたいものだ。
健太のよーに、いくつになっても正義のヒーローになりたい!・・という夢を忘れずにいたいなあ・・。
叫べ!チェイング!!
悪!滅!ウイングマン!!