大晦日、奥さんの実家に行った際、となりで皆が紅白を見てるのをよそに、自分はこちらを見ていてテレビの前を動けなかった。
現在、2連敗中の山本KID徳郁の復帰をかけた1戦と、吉田秀彦対石井慧の柔道の新旧金メダリスト対決・・と、注目のカードがならぶ。
しかし、結果は判定でKIDの3連敗、総合デビュー戦の石井は不甲斐ない戦いで、先輩の吉田に手痛い1敗を喫し、プロの洗礼を浴びた。
石井はもうちょっと期待してたんだけどなあ・・。
あれだけの体をつくってきたワリには、打撃はかなり課題ありだな・・。
―とはいえ、なんといっても1番の注目は魔娑斗の引退試合!!
60回目を迎える紅白に、サプライズゲストで矢沢永吉が出ていて「見たい~!」と思ったが、ちょうどその時、魔娑斗が宿敵・アンディ・サワーと引退試合を戦っている最中で、まさしく「時間よ、止まれ」状態だった。
2008年にMAXの王者に返り咲き、去年の4月に年内の引退を表明していた魔娑斗。
最後の引退試合を大晦日、このDynamite!の舞台で2009年の王者と戦い、最強のまま引退する・・というのが魔娑斗の構想で、過去2戦して2敗しているアンディ・サワーが王者になり、リベンジして引退・・という筋書きまで既に彼の頭の中にはあったが、王者は決勝でサワーを下したジョルジオ・ペトロシアンに。
ペトロシアンとリング上で握手を交わし、当然、魔娑斗の引退試合の相手はペトロシアンになるはずだった。(カテゴリー/格闘技:「K-1 WORLD MAX 2009 決勝戦+武田幸三引退試合」参照http://blog.goo.ne.jp/kinto1or8/e/7cb8b6bf0dbecf5e7da579cd3baa8a07)
筋書きとは違うが、最強の王者、相手にとって不足はない。
しかし、試合後、ペトロシアンが右拳を骨折していたコトが判明。
全治3ヶ月と診断され、大晦日の試合には間にあわないため、急遽、準優勝のサワーが対戦相手として浮上。
因縁の相手を自ら指名し、結局、当初から魔娑斗が思い描いていた通りの展開となった。
あとはリベンジして最後の花道を飾りたい。
入場の時から気合いののったいい表情をしており、万全の仕上がりをうかがわせた。
しかし、プロであれば当然であるが、「空気が読めてない・・」と谷川貞治代表から言われるほど、サワーもまったく手心を加えるコトなく、これが手向けとばかりに全力で倒しに行く!
魔娑斗もサワーの強烈なローに、何度も脚をもっていかれながらも、判定勝ちなどまったく頭になく、最後までKO狙いで真っ向から打ち合いに行く!
まさしく、意地と意地のぶつかり合い!
戦前の予告通り、バチバチに殴りあう両者。
4ラウンドに魔娑斗のカウンターが炸裂!
豪快な右がサワーの顔面をとらえ・・
ダウンを奪う!
そして、どうだ
!と言わんばかりのこのガッツポーズ!

この試合のために、魔娑斗は倒すためのパワー重視のトレーニングをして来たという。
KO勝ちこそ逃したものの、一進一退の勝負の中、これが決め手となり、文句なし!3-0、ストレートの判定勝ちで宿敵を下し、サワーから肩車の祝福を受けて、自らの格闘技人生を締めくくった。
ビッグマウスとでかい態度で生意気な奴!
・・と、魔娑斗を嫌う人も結構いる。
確かにちょっと・・と思うような発言もあるが、そうした言動で注目を集め、自分を追い込むプロ意識と、言ったコトをやり遂げてしまうトコロは素直にスゴイし、カッコいい!
派手な見た目とは違って、単なる口先だけではない、有言実行のストイックな漢である。
「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がある。
世界一になるためには、世界一の練習、陰の努力が必要であろうが、そうした努力は”運”をも 呼び込むものなのだなあ・・と感じさせられた魔娑斗の引退ロードであった。
リングを降りた後の人生も、幸多からんコトを・・。