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屋久島ツアー ~トレッキング編(縄文杉とご対面!)~

2008年08月19日 | 旅のお話

ウィルソン株と対面を果たした後、もうしばらく山を登り、ようやくお昼休憩に入ります。時刻は11:00。トロッコ道を歩き始めてから四時間以上が経っていました。 私達のお昼ごはんは宮之浦にある『島むすび』という弁当屋さんの『島むすび弁当(600円)』。前日に民宿の人にお願いしておけば、早朝でも宿まで持ってきてくれるようになっています。空気が美味しい森の中で食べる弁当の味はまた格別で、とっても美味しかったです!少し量が多いかなと思いきや、ペロリと食べてしまいました ガイドの寺田さんはなんと屋久島の湧き水を沸かして私達一人ひとりにスープをつくってくれました こういうちょっとした心遣いって本当に嬉しいものです

お昼休憩を取った後はそのままザックを置き、とっても身軽になった私達。寺田さんによると、縄文杉まではあと40分ほどとのこと。エネルギー補給も完了し、デジカメと水だけ持って、再び山登り開始!!

         

        

標高が高くなるにつれて、次第に杉の大きさも大きくなってきます。縄文杉に逢う前に出逢った大王杉は「大王」の名にふさわしい風格があります 縄文杉が見つかるまではこの杉が一番大きいとされてきたのだとか。これ以上に巨大な縄文杉って一体どんな感じなんだろう!?

         

こちらは夫婦杉。よくよく見ると、二本の杉が一本の枝で繋がっています。長く生きていると、同じDNAを持った木同士がこのように繋がってしまうこともあるのだとか。まるで手を取り合ってお互いに支えあいながら生きているような夫婦杉。理想の夫婦像だなぁ~

         

                 

こちらはヒメシャラヤマグルマ。ガイドさんの話によると、ヤマグルマは『絞め殺しの木』と呼ばれていて、別の木に巻きついてその木を枯らしてしまうこともあるのだとか 赤い木肌のヒメシャラに黒い木肌のヤマグルマがめり込んでいるのが分かりますか?木も自分が生き残るために必死なのですね。

一般に杉の寿命が500年ほどであるのに対して、屋久杉が1000年以上生き続けるのはなぜか。

その理由は屋久島の土壌と気候にありました。屋久島は栄養分の少ない花崗岩でできているため、木の成長が遅く、木目が詰まっていて、さらに雨が多く湿度が高いため、樹脂分が多く腐りにくいという特徴を持つことで、屋久島の杉は通常の何倍も長く生き続けるのだそうです。屋久杉がこんなに珍重されるのは、この島ならでは風土が深く関係しているのですね

屋久島という島がどんなところなのか、少しずつ知識を深めながら着々と縄文杉に近づいている私達に、ガイドの寺田さんが「もうすぐ着くから絶対上を見たらダメですよ。私がいいというまで下を向いていてくださいね」と言うと、目の前に展望台らしきものが現れました。寺田さんの言うことを聞いて、下を向いたまま一歩ずつ階段を上っていくと、次第に縄文杉の気配を感じるようになってきます。この先にずっと逢いたかった縄文杉がある。一瞬、「どんな顔をして逢えばいいんだろう??」なんて、まるで好きな人を目の前にして顔を上げられない少女のような甘酸っぱい気持ちになったところで、寺田さんのゴーサインが聞こえてきました。

 

「はい、もういいですよ!」

 

         

トレッキング開始から約5時間、私達の前にやっと姿を現してくれました これが私が数年前からずっと逢いたかった縄文杉。他の杉と比べて格段に大きく、まるで血の通った筋肉のようなその幹は、この木が生きていることを証明するかのようにしなやかなうねりを伴っていました。樹齢2700年とも7000年とも言われている縄文杉は、いまだに正確な樹齢は分かっていないそうですが、そんなことはどうでもよく、今ここにこうして生きてくれていることにひたすら感謝せずにはいられませんでした。

        

私達がこの世に生を受けるずっとずっと前から生き続けてきた縄文杉。この数世紀に渡る地球上の劇的な変化をどう感じているのだろう。人間たちに神として崇められ大切にされていた時代には、嬉しい思いをしたかも知れない。たくさんの仲間達が切り倒された時には、悲しい思いもしたかも知れない。世界遺産になってから世界中の人が訪れるようになって喜んでいるかも知れない。いや、昔のように森の生き物達と静かに暮らしたいと思っているかも知れないな。こんな風にいくら思いを馳せても、縄文杉の気持ちには決して届かない。だけど、一つだけ言えるのは、たとえどんな状況にあっても縄文杉は自ら命を落とすことは決してないということ。これからもずっと命ある限り、この場所で逞しく生き続けるのだということ。「生きる」ということは、自分が生かされているその場所で、生活を続けるということなのかも知れない。たとえどんなにつらい状況にあっても、我慢強く生きてさえいれば、いつか必ず変化が訪れる。暗闇に立ち止まったとしても、朝になると必ず太陽が道を照らしてくれるように。    

         

屋久島の森にはたくさんのパワーが漲っている。それは縄文杉だけではなく、ここに息づく全ての生命が、水が、土が、岩が、そして空気が一体となってこの美しい森を造り出しているから。私にはそう思えました。観光客が大勢押し寄せることで根っこを傷めてしまうという弊害から、現在は縄文杉に直接触れることはできないようになっていましたが、縄文杉に触れずとも道すがら出逢った木々や屋久島ならではの風景にたくさんのパワーをもらいました 

屋久島の森と、一緒に旅をしてくれた仲間達に感謝

次回はいよいよ最終回です