怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

楡周平「プラチナタウン」

2009-10-10 09:27:16 | 
たぶん日本中あちこちにありそうな財政破綻寸前の田舎町。ひょんなことから誰も引き受けてがいない町長になって奮闘する物語。
約150億の借金を抱え、植物園とか日に数える人しか利用しない屋内町民プールとかカラオケコンテストとか旅劇団が使うくらいの町民ホールとか箱物はやたらとあって赤字を垂れ流している。人口はどんどん減っているのに職員数は変わらないので過大。遠からず財政再建団体指定間違いなし。それでも抵抗勢力はいて改革は進んでいない。
そんな中での逆転の秘策とは、最初からネタばれになってしまいますが、造成して以来売れずに塩漬けになっている3万坪の工場団地用地を無償貸付して大規模な有料老人ホーム(定員7000人以上!)の開発をかつて在籍していた商社の開発部門に持ち込み、実現していくことによって雇用を確保し経済を活性化していく。
地方には地元の人は見向きもしていないけど都会人があこがれる資源はたくさんある。最寄の新幹線の駅から30分以内なら驚くほどの自然が残っていて、なおかつ東京から2~3時間あれば行ける。お荷物だった箱ものもうまく活用すれば老人ホームの魅力になる。ここでみそは町民病院も過大な投資をして立派になっていること。年寄りには医療がしっかりしていることは必須用件ですからね。
かつて岡本祐三さんが「福祉で町がよみがえる」という本で過疎と高齢化を克服した町として最上町を紹介していたが、これを民間商社ベースで描いたらこうなるという姿でしょう。民間ベースなので赤字自治体でも出来る。ただし民間ベースで成り立つだけのシビアな採算性が要求される。町長自らのトップセールスでいろいろな障害を乗り越え何とかこれを実現して町を活性化していく姿は、ありそうで出来ないだけに面白い。
まあ現実はこんなにうまくはいかないよねというのが実感だけどアイデア次第で道は開けるのではと思ってしまいます。それでもこれを書いたのは小泉時代だったんでしょうが、今となっては助役とか議員の民間主導に対する危惧というか既得権益を守ろうとする姿勢にも何処となく共感を覚えてしまうのは時代のせいでしょうか。
面白くて一気に読んだのですが欲を言えば妻の姿がほとんど見えないとか何のロマンスもないということが少し物足りないということか。
それにしても主人公はまさに私と同じ歳。実はこの後読んだ赤字ローカル鉄道を助ける「D列車で行こう」の主人公も55歳で銀行員から転じている。55歳というのはこれからの人生を考える転機かもしれません。それに引き換え私は何にも考えていないのかと反省すことしきりなのでした。
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