怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

エミン・ユルマズ「エブリシング・バブルの崩壊」

2024-06-05 15:21:18 | 
何かの本で読んだ気がするけど、株式アナリストは長期の見通しという時に3か月先のことをいうそうです。
今や株式会社は四半期ごとに決算発表しており、アナリストは3か月ごとにある意味業績評価されているので3か月以上先のことは論じる余地はないのか。
経済評論家などの株式市場を論じた著書はその意味では陳腐化が激しく、1年も過ぎれば役に立たなくなる類で見向きもされないはずなのだが、エミン・ユルマズさんのこの本は2022年3月発行なのだが予約するとかなり待たされてしまった。陳腐化しない価値があると言うことなのだろうか。

それでも表題にある様なバブルの崩壊という点では予想は外れている。
2022年にはさしものコロナ禍も収束して来るのですが、その間各国とも金融をジャブジャブに緩和し、膨大な財政支出をしている。
リーマンショックの時にこれでもかというほど金融を緩和し市中にはマネーがあふれてバブルへの道を駆け上がっていた。コロナ禍に突っ込んでいくと共に金融緩和は修正されることなく逆に財政支出を拡大してきた。
コロナの収束とともに積み上がったマネーは、株式、債券、不動産、さらにはコモディティ(石油、銅、小麦などの商品)などの多様な資産バブル=エベリシング・バブルをもたらした。
弾けないバブルは存在しないのだがエミンさんはこの本執筆時には近い将来のバブル崩壊を予言している。
思えば当時エミンさんだけでなくいろんな人がアメリカ経済はハードランディングするだろうとみていた。既に中国経済は変調をきたしていて、FRBは早晩利上げを止めて利下げに追い込まれるだろうと言うのがある意味市場のコンセンサスだった記憶です。
ところがアメリカ経済は予想外に好調で、失業率は低く物価上昇も止まらない。インフレ懸念から2024年になっても利下げは先送りされている。小さな景気後退はあってもバブル崩壊などと言うことはなく、上手く行けばこのままソフトランディングできるという観測です。その面では予言は大外れでした。
でもバブルが崩壊していないと言うことは、積み上がったマネーは清算されぬまま残っていると言うことで、火種はまだ残っていると言うか問題は何も解決されぬまま膨張し続けていると言うこと!大統領選も絡んだりしてこのまま何も起こらないで行くのだろうか?
各国の産業構造の違いから、リセッションはまず世界の工場たる中国からはじまり続いて日本、最後にもはやサービス産業主体のアメリカに行くと言うのですが、米中対立の余波で今の日本は有利な立ち位置にいて大崩れはしないとみている。むしろこれから有利な立ち位置から日本経済は失われた30年を乗り越え大きく飛躍する局面にきている。
そう言われると新NISAでオルカン一択は考え物で、日本株のインデックスがいいかも。
ところで中国経済については不動産バブルはとっくに弾けていて苦境に陥っているのだが、これまで見えてこなかった巨大な問題が表面化してきて、それを習近平は締め付けを強化し強権で乗り越えようとしている。習近平の目指す共同富裕は文化大革命への回帰であり、西側の価値観を否定し準鎖国への道を進もうとしているかのよう。これからは中国とビジネスをするリスクがコストとして上乗せされてくる時代になる。
最後の2章では世界標準に比して日本企業の無防備に近いサイバーセキュリティへの警鐘や暗号資産のいかがわしさについても書いてあり、これは私自身が全く無知だと言うこともありますが今現在でも十分に読むに値するところです。
世界経済の先行きには困難な問題があるのですが、エミンさんは日本経済については世界の中で非常に有利な位置にあってこれから大きく伸びることについては揺るぎない確信をもっています。
コロナ禍といいウクライナ紛争といい、ガザ侵攻といい将来何が起こるのか見通せない時代ですが、日本経済は数多の障害を乗り越えて行ってほしいものです。

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