怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

21世紀の資本

2020-05-30 21:42:37 | 映画
5月末までの映画の鑑賞券をもらっていたので、前回「三島由紀夫vs東大全共闘」を見てきたのですが、まだ1枚ある。
という事で再度映画を見に行くことに。
この日は母の歯科受診があったので毎度ながらブチ切れつつ喧嘩しながら付き添いを務めてから、雁道からバスで名古屋駅に。
土曜日なので多少は混んでいるかと思いつつロビーへ行くと閑散としている。
余裕で空いていたのでこの日はHー12の席に。

席は時節柄前後左右ひとつあけてあるのですが、右端は並びが2席なので2席を一人で占拠できます。これは周りを気使うことがなくて快適です。
予告編が始まる頃に席についたのですが、観客は20人くらいかな。
「21世紀の資本」はトマ・ピクティのベストセラー。ハードカバーの結構分厚い本にもかかわらず結構売れて評判になったので知る人ぞ知る。でもこれをどうやって映画にするかというとフランス革命から植民地支配の時代、第一次世界大戦を経て大恐慌、そして第二次世界大戦、現代の金融資本主義、グローバルに展開する資本、そして広がる格差をいろいろな映像(記録映像、映画など)で表しつつ、ピクティ、スタイングリッツ、フクシマ、そしてよく知らない経済学者とか社会学者、歴史学者などのインタビューでつないでいくものです。

ピケティが「21世紀の資本」で論じたのは非常に単純で、各国の長期の経済統計を解析して結果、「資本収益率」は「経済成長率」大きく上回っているという事。結果として格差はどんどん拡大している。
格差が極限まで拡大すると社会がもたなくなって、1%の貴族層が90%以上の資産を独占する社会はフランス革命をもたらし、変わって土地と身分から解放された資本がとどまること知らず植民地収奪戦となり第一次世界大戦へと突き進む。
戦後疲弊したドイツはファシズムに活路を見出し、大恐慌からバブルがはじけたアメリカはニューディールから戦時経済へ。さすがにこの大戦では国家の総力戦となりこれ以上の格差を放置できないように。イギリスではゆりかごから墓場までで有名な社会福祉政策が展開され、修正資本主義の時代となり、中間層が形成されていく。例外的なのだが、膨大な犠牲を払ったこの時には格差は縮小された。だがグローバル化した資本はとどまることは知らず、自由に動き回れるようにレーガン、サッチャーの新自由主義の時代をもたらす。結果、格差はどんどん広がり、中間層はいつの間にか解体されていった。
今はご存じのように格差はますます広がって社会階層は固定化されてしまい、富めるものはドンドン富んでいきます。彼らはそれを自分の実力と理解していますが、単に運がよかっただけの結果かも。持たざる者は這い上がる術もなく貧困を再生産しています。
ピクティは社会の持続性のためにはこの状態は放置できず、相続による格差の固定を防ぎ、資産に課税をし、各国強調してタックスヘブンを取り締まらなければと説く。
色々考えさせられる映画でした。
この映画がフランスとニュージーランドの合作だそうですが、ほとんどNHKのBS1でよくやるドキュメンタリーにありそう。最近暇でよくこういう類の番組よく見ているんです。でもこの類の映画を商業ベースで作るのはすごいというか日本では絶対無理なのでは。フランス映画だから商業ベースで封切りされているのでしょうけど、興行収入は期待できるのか。
この日の観客は20人くらいだったのですが、正直、興行的にはかなり厳しいんでは。多分そのうちBSでやるかもしれないだろうし私的には鑑賞券をもらわなければ絶対に見なかっただろうと思います。いろいろな学者が説くところを字幕で必死に追いかけて読んでいくのは結構大変で疲れました。

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