怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

田中森一「反転」

2009-09-20 08:32:47 | 
貧しい生活から苦労して大学に行き司法試験にとおり、特捜検事として辣腕を奮い、弁護士に転じては「闇社会の守護神」といわれる存在になり、ついには詐欺で実刑を食らう(この本を書いているときは高裁判決でしたが、今は最高裁でも判決が下り収監されています)という有為転変の人生を告白したものです。
検察時代、弁護士時代それぞれ当事者だからこそ知りえた話が実名でバンバン出てきて、何処まで本当かと思うところもありますが、見方が一面的なところがあるにしても事実なんでしょうね。400ページあまりですが、読み出すとやめられず、一気とは行きませんでしたが、2~3日に読了しました。でも表紙に顔写真がありますがいかにも悪役顔ですよね。こんな顔の検事に取調室で机をバンバン叩かれて締め上げられたら、すぐに申し訳ありませんとあることないことしゃべっちゃいそうです。
司法試験に受かるまでの苦労話はともかく、検事になってからの内幕話は、なるほど検察の捜査はこうなっているのかと思いますし、本当か嘘か誇張はあるにしても一昔前の(と信じていますが)警察とか知事とかと裏社会とかの癒着とたかりはなかなかのものです。特捜検事になってからの主に政治家をターゲットにした捜査は実名がどんどん出てきます。
しかしこの本の白眉はやっぱり弁護士になってから「闇社会の守護神」になってからの話です。兎に角バブル経済の真っ最中なので、弁護士を開業した途端、金がどんどん入ってくる。自分で金銭感覚が狂ったといっているのですがその額は半端でありません。そうした中で許永中を始めとした闇社会のバブル紳士たち、山口組の若頭宅見勝を始めとしたやくざたち、それにもう亡くなったが竹下、安倍、まだまだ現役の森、安倍晋三とかがその周辺に登場してくる。それにしても山口敏夫の醜悪さは目を蔽う。さすがの田中も辟易としたようだ。やくざのトップたちが、トップになるだけの力量と凄みがあるだけに目立つ。社会で何をしてきたはともかく、人間としては許永中とか宅見はそこらの金と保身に走る政治家と比べても非常に魅力的にみえるのです。
それでもこういった闇社会と付き合いが深くなるにつれて検察からは狙われる。本人の言葉によると嵌められたみたいだが、社会がバブルを清算する中で、バブル紳士たちも捕まったり殺されたりしていき、こういった守護神も清算されるのが必然だったのであろう。
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1 コメント

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Unknown (はるな)
2013-05-06 11:07:17
反転の表紙の写真は、けして悪党面ではなく、自信に満ちた田中森一だと思います。彼は、弁護士に転身した時点であちら側の人間になり、時には、田中森一の弁護士バッチはひし形だと揶揄されもしました。それも含め、田中森一であり、最近、彼に、今度生まれたら何になりたいと聞きましたら、来世も田中森一だよて言われた時、私は、田中森一のファンになりました。ここまでの悪党は、かえって魅力にさえ感じます。
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