怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

東海林さだお「ショージ君、85歳。老いてなお、ケシカランことばかり」

2023-06-07 11:18:08 | 
愛してやまない東海林さだおの新刊が出たみたいなので、すぐに予約。暫くして順番が来て借りてきました。

ところで内容を見てみると2023年1月初版発行なのですが、今までの発表済みの文をテーマに従ってまとめたものでした。
もっとも読んだ記憶のあるものもあれば全く初めてかと思ったものもあり、記憶のあるものもほとんど忘れていたので改めて東海林さだおを堪能できました。
最初の「見るもの聞くもの、腹の立つことばかり」では歳とともに怒りっぽくなる人間模様を活写してあるのですが、先日も図書館に行ったら携帯電話に出て話している老人に注意した係員に大きな声で逆切れしている姿を体験。まさにこのエッセイ通りの現象です。家族の病状が心配で大事な電話に出たのに犯罪者のように注意するとは何事かと怒っているのですが、それも館内に聞こえる大きな声で主張するので他の利用者に静かにしろと注意されていました。規則通り注意した係員は逆切れされてびっくりしたでしょうが、この老人は帰る時にも窓口で係員に大きな声で怒っていました。どんなに大事な電話でもすぐに館内から出てから話せばいいだけの話だし、その老人によっぽど係員は何も悪くなくてあなたがルール違反、逆切れするなんて非常識と言いたくなりましたが、そうなると泥沼の2回戦となりかねないのでスルー。私の方が怒れる老人になって喧嘩してどうするですよね。でも理不尽に怒られた係員の人が心折れているのだろうなと思うと一言言った方がよかったのかなと今でもちょっと思っています。
何時もの東海林さんの軽妙なエッセイの中で老いていく自分自身の姿を見せられて、笑いに出来るとなんだかホッとして心やわらぎます。
巻末にインタビュー「85歳のヨタ話」があって、これは今回の語り卸し。85歳の東海林さんの姿が分かって、ここだけでも読む価値ありの本でした。
東海林さんは2015年に肝細胞癌で入院手術(この記録は「ガン入院オロオロ日記」という本になっています)していますが、今では缶ビール2本くらいは飲むようにまで回復。7年以上経過しているのでがんサバイバーです。散歩も30分はしていて、まだまだ頑張れそうです。
それでも一時は本業よりも真面目に取り組んでいた草野球は体力的なこともあって71歳で引退。う~ん、私も草テニスは75歳くらいまではできたらと淡い希望を持っていますが、どうなることやら。
そんな東海林さんの創作活動を支えているのはズバリ好奇心!本人曰く小さい頃と変わりないとか。
だから近所のスナックで同世代の人といると昔の話ばかりで話が合わなくて、話がつまらないとか。同級生から電話がかかってきても、会う前から「だいたいこういう話だろう」と分かるから、会いたくない。発展性のない、話す前から結末の分かる老人の話を聞くよりは、工事現場を見るほうがよっぽど楽しいと言われると、毎日を呆然と過ごしている私にとって何かすごく耳に痛い話です。
因みに食事は今はコンビニのものをレンジでチンが多い、スマホは持っていなくてガラケーですが、タブレットを持っていて事典などの代わりにしてる。アイデアは思いつくとネタ帳に書き留めていて、既に673冊になるとか。アイデアに困ると言うことはないみたいです。アイデアが尽きるまで書き続けてください。
最後に、好奇心とユーモア、あとは引退しないで続けられる何かがあるといいと言っていますが、心に刻んでおきますが、東海林さんも努力して好奇心を持った訳ではないのでしょうから、毎日を呆然として過ごしている凡人の高齢者(私のことです)には難しい。心静かにして怒りをなだめキレないようにはしたいと思いますけど、ケシカランと言いたくなる今日この頃です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 椎名誠「失踪願望。」 | トップ | 鮎の干物つくり »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事