カトリック社会学者のぼやき

カトリシズムと社会学という二つの思想背景から時の流れにそって愚痴をつぶやいていく

知覧・無言館・靖国遊就館・広島平和資料館

2023-05-25 20:56:08 | 観光

 全国旅行支援がもらえるというので鹿児島にツアー旅行にでかけた。旅行代金に1万円の補助と、クーポンが3000円もらえるという誘惑に負けた。天候にも恵まれ、種々の温泉を堪能した。いくつかハプニングもあり、印象深いツアーだった。

 ツアーの同行者は70歳代の方が中心だったが、戦前生まれの方(ほぼ80歳代)も6組近くおられ、ツアーには珍しく最初から打ち解けた雰囲気が心地よかった。色々なところを廻ったが、結局は知覧の特攻平和会館の印象が強かった。ホテルでの夕食時の話題は多岐にわたったが最後は知覧の印象に戻った。特攻はなかなかセンシティブな話題なので皆さんの話しぶりは慎重だったが、結局は、知覧特攻平和会館と、上田の無言館、靖国の遊就館、広島の平和記念資料館の与える印象との比較の話が多かった。私自身は、どこも訪ねたのは随分昔のことだが、どれも印象は鮮烈に残っている。展示の仕方はどこでも変化しているのだろうが、与える印象はそれほど変わってはいないのではないか。
 とはいえ、受ける印象は館によって全く異なる。展示の良し悪しよりは(1)、展示の趣旨が、意図が異なるからだろう。今は死語だがあえて保守・革新というカテゴリーを用いるなら(2)、どちらの陣営の人に語りかけようとしているのかが与える印象の違いを生み出しているのかもしれない。どの館でも使われている平和という言葉の意味が異なっているようだ。

 テーマは重いものだが、皆さんの話は暗いものではなかった。なぜか。80歳代の人々は、東京大空襲も原爆も体験していないけれど、思いは共通だった。つまり、いま自分たちが住んでいる、この現代日本は、かって子供時代に自分たちが知っていた日本とは、別の国になっている、という思いだ。これが同じ日本国なのか、という思いは共通なのだろう。現代の日本は、色々問題はあるが、豊かな国になった。明日の食べ物を心配する必要がない。だが先の戦争でなくなった方々にどのような言葉で語りかけたら良いのか、われわれはまだ共通の言葉を見いだせないでいるようだ。

【展示】

 

 


1 展示品が、遺書中心か、絵画中心か、収蔵品か一式戦闘機か、など展示品の違いも与える印象の違いを生み出しているのかもしれない。
2 宇野重規『日本の保守とリベラル』(2023)は、右・左ではなく、保守・革新ではなく、伝統・近代ではなく、保守・リベラルという軸で戦後思想を整理しようとしている。現代日本のイデオロギー論としての有効性はあまりはっきりしなかった。

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