カトリック社会学者のぼやき

カトリシズムと社会学という二つの思想背景から時の流れにそって愚痴をつぶやいていく

DNA二重ラセン構造 ー ポストゲノム時代のパラダイムシフト(2)

2019-11-06 17:10:49 | 神学


Ⅰ 歴史の流れ

 これは中学レベルの生物学の知識らしい(1)が、何も覚えていないので少し触れておきたい。

①19世紀に生物学・遺伝学が始まった

1802 J.B.Lamarck    生物学 進化論(獲得形質の遺伝)
1859 L.Pasteur      生命は自然発生しない
1859 C.Darwin      進化論(自然選択説)
1886 G.Mendel      遺伝の法則(遺伝因子)

②19世紀に生化学が始まった

1838  G.J.Mulder     タンパク説
1838 J.J.BErzelius      Protein と命名(タンパク質のこと)
1896 E.Buchner       酵母の無細胞抽出物によるアルコール発酵(Enzyme)

この遺伝学と生化学から20世紀の分子生物学が発生し、やがて21世紀に入る頃からからゲノム科学が登場してくるという。

③20世紀の遺伝子決定論 (DNA塩基配列の意味解明の第一段階)(2)

 いろいろな発見がなされるが、一番重要なのは、1953年の「DNA二重ラセン説」と1957年の「セントラル・ドグマ説」(中心教義説)の発表だという。そしてついに2003年に「ヒトゲノム計画の完了」が宣言される。

 高垣氏は詳しい年表を示されたが、大事そうなものだけピックアップしてみた。

1900 H. de Vries他     メンデルの法則の再発見
1902 T.Boveri他       染色体説(遺伝因子は染色体上に配置されている)
1941 T.Beadle他      一遺伝子一酵素説(One gene one enzyme theory)
1953 J.D.Watson他     DNA=二重ラセン構造 (double helix)
1958 F.H.C.Crick      セントラル・ドグマ (中心教義)
1957 V.Ingram       遺伝子・ポリペブタイド説
1961 M.W.Nirenberg他   遺伝子コード解読
1968 W.Arber他       制限酵素の発見・遺伝子工学の開始
1976 K.板倉 他       人工合成遺伝子が生物機能を発現
1977 A.Maxam他      DNSシークエンス法
2003            ヒトゲノム計画の完了宣言

(1) DNA二重ラセン構造とセントラル・ドグマ

 ここから氏は、DNA二重ラセン構造とセントラル・ドグマの説明を始められた。様々な図や表を使って説明されたが、正直あまりわからなかった。
 DNAは二重ラセン構造をもっており、遺伝情報を安定的に「保持」したり、「複製」したりする。だから、DNA二重ラセンとは、A:TとC:Gの塩基対による複製の原理のことだという(3)。他方、RNAは分解しやすく、情報を一過性に発現するという。
 セントラル・ドグマとは、遺伝情報は「DNA→転写→mRNA→翻訳→タンパク質」の順番で伝わるという説で、分子生物学を支える基本概念だという。この概念は細菌からヒトまで、つまり原核生物から真核生物にいたるまで共通する基本的な原理なのだという(4)。ドグマというのだからよほど基礎的な原理なのであろう。

 氏は、次のような図から説明を始められた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
                    複製
              DNA     ⇒    DNA

      逆転写    ↑      ↓      転写
              RNA

               ↓          翻訳


              蛋白質

               ↓       折れたたみ
                      修飾
                      切断

              機能構造

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 次いで、「二本鎖RNA」の説明をなされ、mRNA(5)の重要性を強調されたが、私には意味不明でノートさえとれなかった。興味のある方は参考文献やインターネットで調べていただきたい。

(2)遺伝暗号によってタンパク質が作られる仕組み

 ここから氏は遺伝暗号の説明に入られた。「3つで一組の遺伝暗号によって、どのようなアミノ酸をつないでタンパク質をつくるかをきめている」と述べ、コドンの説明に入られた。なにやら複雑な遺伝暗号表をポインターを使って説明し始められた。正直、私にはフォローできなかった。

 ただ、私なりに理解すると、DNAはいわば生物の設計図だから、そこにはどのようなタンパク質を作るかいう情報が書かれている。この情報がコピーされたのがmRNAで、文字列の3文字を一組にして一組のアミノ酸に変換される。この文字列(塩基配列)をコドン(codon)と呼ぶ。こうして変換されたアミノ酸がタンパク質になっていく、ということらしい。どうもこのコドンというのが大事らしく、遺伝暗号とか遺伝コードのことをさすようだ。
 参加者には理系の人が多いようでみなさん熱心に耳を傾けておられたが、わたしはフォローすることをあきらめた。休憩休みに助けられてほっとした。


1 中学校理科第二分野というらしい。わたしは細胞の話より宇宙の話の方が面白かったのを覚えている。
2 DNAという言葉もよく聞くが、英語の  deoxyribonucleic acid の頭文字をとった略語らしい。日本語では デオキシリボ核酸 と訳され、遺伝情報の伝達と発現を担うという。高分子の生体物質で、その構造が右巻きのラセン形態をとるので二重ラセン構造と呼ばれるようだ。われわれもどこかで一度は見聞きしたことがあるだろう。
3 A,G,C,Tとは核酸に含まれる塩基の種類のことらしい。アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)、チミン(T)の5つがあり、RNAではA, G, C, U、DNAではA, G, C, Tが含まれるという。と言われても実感はわかない。
4 原核生物、原核細胞とは要は植物のことらしい。真核細胞との違いは高校の生物基礎で詳しく学ぶという。
5 RNAとはリボ核酸のことで、英語の  ribonucleic acid の略語らしい。DNAと同じく遺伝情報の保存と伝達を担うが、RNAは、生物の遺伝情報を司るDNAとは異なって、ウイルスの遺伝情報の保存・伝達をするらしい。
 mRNAとは messenger RNA のことで、伝令RNAと訳されるらしい。DNAからコピーされた遺伝情報をもっているが、DNAよりも長さは短く、用が済めばすぐに分解されてしまうという。
 また、tRNAとは transfer RNAのことで、運搬RNAと訳されるようだ。
 なお、核酸とは、生物の細胞核に含まれる塩基・糖・リン酸からなる高分子物質で、「酸性」を示すから「核酸」と呼ばれるようだ。(中学生レベルの知識もない自分が恥ずかしい)。
 この辺の訳語の問題は高垣氏も、element を「因子」と訳す難点と一緒に簡単に触れられていたが、どの学問でも似たような問題を抱えているようだ。

コメント
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