3月23日、 また一人、大女優が逝った・・・・・・。享年79。感慨は深い。
生き続ける“リズ”の思い出…結婚&離婚を何度も繰り返し
ハリウッドの大女優で、団塊世代のあこがれだった“リズ”、エリザベス・テーラーさんが79歳で逝った。ハリウッドの黄金時代を彩ったテーラーさんの映画は、日本でも多くのファンを生んだ。映画評論家の望月苑巳氏と垣井道弘氏が、リズの思い出を語った。
「彼女の名前は、美女の代名詞としてクレオパトラに匹敵する。だからこそ、映画でクレオパトラを見事に演じられたのかもしれない」と話す望月氏の記憶に残っている映画は「ジャイアンツ」だ。
1956年の映画で、監督のジョージ・スティーブンスは第29回アカデミー監督賞を受賞した。のちにエイズで死ぬロック・ハドソンと、この映画の撮影後にゴーカートの事故で死ぬジェームス・ディーンと共演している。リズは当時、24歳。
「私は3年前、同じ監督の『理由なき反抗』でディーンの大ファンになっていた。そこに、リズとディーンの共演。大西部の油田をめぐる物語を、美女と2人の美男子が仕切っているスケールの大きさに感激し、リズの神々しさに感激し、それらがないまぜになって私のミューズになった」
団塊世代ど真ん中の望月氏は、「思い出は小出しにして楽しむもの。これからは伝説の美女を時々思い出してニヤリとするだろう」と語った。
垣井氏は、「いい意味でも悪い意味でも、ハリウッド黄金時代の華やかさを象徴する大女優だった。子役時代の『緑園の天使』『若草物語』の美少女ぶりも際立っていた」と振り返る。
そんな垣井氏が思い出すのは、60年公開の「バターフィールド8」で、スリップ姿でドアのところに立っていたリズ。「開き直った表情に迫力があった」。モデルをしながら高級コールガールというキャラクターを演じ、アカデミー主演女優賞に輝いた。
抜群の演技力とともに、ゴシップ欄をさわがせる常連でもあった。結婚・離婚歴は8回を数える。
「子役時代の彼女は、MGMスタジオ内の学校で教育をうけた。いわゆる世間の常識が身につかなかったのか、奔放な生き方や恋愛遍歴につながったのだろう。離婚がバッシングの対象だった時代に、結婚・離婚を何度も繰り返したのだから、正直に生きた女性だった」(垣井氏)
現役のハリウッド女優もリズに比べるとスケールダウンは否めない。リズは“銀幕の女王”にふさわしい最後の女優だろう。