案の定、防大卒業生の任官拒否が昨年の倍近いと嬉しそうに報じるメディアがあった。しかし、過去4番目の数だということはあまり報じないようだ。
毎日新聞のように、そこはスルーするのだろう。見出しに「安保法制」という字句を入れて、どうしても安保法制にリンクさせたいのだろう。こういうのは誘導とか情報操作というのだ。
これが産経新聞なら、国家防衛について何も考えてもなかった高卒生が4年間で国防を学び、95%も任官するという表現になる。
まぁ新聞社の姿勢にはいろいろあるなという感じである。
国という器をいかに守るかという国家の原則に無責任なはどちらであろうか?
さて、任官拒否の大きな理由は民間への就職がしやすいからに他ならない。そのようなことは各級の自衛隊の学校でも資格を取るために入隊する意識と大して変わらないものだろう。高卒から入り給与をもらいながら勉強できるのだから、あさましい考えの者でも入隊するだろう。
庶民からみれば給与までもらって無償で勉強できる防衛大が魅力的であろう。
実際、それで任官拒否ってどういう了見だい、と思うわけだ。だったら初めから入学するな!が正しいし、中退しろが正しいだろう、中退制度あるのかは知らんが。
最近は、任官拒否者は学費相当を返納するのだそうで、それは当然であろう。
どのような組織であれ、入ってみて違和感を持つ者は必ずいるはずで、それをことさらに言うメディアは信用できない。自分を生かせる場所や立場を求めてて働きやすくするという姿勢が求められるのではないか?
記事の方は意志が弱かっただけのようにしか思えない。どうぞ拒否して学費?返納してください。
<防衛大学校>民間挑戦の男子 安保法論じぬ硬直性に違和感 毎日新聞 3月22日(火)3時0分配信
「同じ釜の飯を食った仲間と帽子を投げたかったが、仕方ない」。男子学生は肩を落とした。学校側は任官拒否者の卒業式出席を防大の設置目的と照らして「適当ではない」と2014年春から認めていない。
入校したのは「流れ」だった。安全保障に関心はあったが、防大が第1志望ではなかった。本命の大学より前に防大から合格通知が届き「学費不要」「幹部自衛官」という響きにひかれ入学した。規律正しい生活に、厳格な上級生との関係。それでも、同期で国防の任に燃えているのは「10人のうち2人ぐらいの少数派」だった。
入校した年の夏に陸海空の部隊を訪れて気づいた。表舞台に立たない任務でも誇りを持つ現場の自衛官に頭が下がる思いがしたが「自己裁量の幅が狭く、自分が考えている仕事と違う」。任官拒否の思いが芽生えた。
昨年の安保関連法を巡る国会審議。「自衛隊の任務拡大は賛成だけど、その前に憲法改正して自衛隊の位置付けを明確にすべきだ。順番が違う」と思った。だが、校内で議論はほとんどなく、学校側から法の説明はなかった。「自分たちの将来に関係することなのに議論する雰囲気がない。まるで思考停止のようだ」。安保関連法を機に改めてみえた組織の硬直性。違和感が増した。
任官の意思を尋ねる調査は1年目から年数回ある。今年1月、任官のための宣誓に署名する紙が配られた。自衛隊は嫌いではない。だが、民間企業で自分の力を試す決意が固まり、拒否を伝えた。
担当教官ら延べ10人ほどと面談した。「就活で絶対に失敗する」「任官して2、3年した後でも民間に行ける」。そう説得された。同じく任官拒否した先輩から面談は5人ぐらいと聞いていた。「安保関連法で任官拒否が増えたと批判を浴びたくないのか、学校側は昨年より必死に食い止めようとしている」と感じた。ただ、自分の任官拒否の理由は安保関連法による自衛官の危険の増大ではない。周りでも聞いたこともない。「景気が良く民間に挑戦しやすいのが一つの要因」だ。
任官拒否をとりやめた同期も何人かいたが、考えは揺らがなかった。防大は「就職のための受験、またはこれに付随する行為」を規則で禁止しているため、就活を控えてきた。だから就職先はまだ決まっていない。だが仲間の同期は「おまえの道を進め」と応援してくれている。「税金で学びながら、自衛官にならずに裏切ったという気持ちがある。だからこそ、防大で培ったことを生かして社会で活躍したい」【町田徳丈】